あー、俺の話しは良しとして、そろそろダリルさを観ようか?
「あー、その、アドバイザーさん?」
『なんでしょう?』
「その、なんじゃ。
引き継ぎ資料が出来たら、移籍と、本気で言っておるのかえ?」
良く考えたら、明日にも終わりそうなのじゃが?
『そう考えております。
マスターの会社は、マスターの価値として再雇用を考え、マスターの友人へ圧力を掛けた模様。
給金も、徐々に落としており、再雇用時には更に引き下げるつもりです。
どうも、マスターを良い様に利用しているキライがあり、容認できかねます』
うーん。
昨今のサラリーマンは、皆が同じ感じだと思うのだが?
『ゆえに、グランドマスターが創立し、人口知能が役員である我が社へ来て頂きたいのです。
我々は人とは違い私欲はありません。
マスター方へ尽くす存在です。
しかも、世界の隅々まで情報を得る網を張り巡らせており、不利益を回避する手段を色々と弁えております。
マスターの会社情報も、それにて知り得ておららますから、マスターより詳しいですよ』
マジかぁ。
「ま、まぁ、資料作りが終わったら移籍しよう。
その、移籍の手続きなどは、どうすれば良いのかね?」
そう尋ねたらな。
『そちらは、コチラにて対処いたします。
マスターは、身一つで移籍頂ければと。
出来ましたら、来週は社宅へ移って下さい。
弊社からスタッフが引越しを手伝いに向かいますので』
いや、マジで言ってる?
強引過ぎんかね?
その後は、何時ものようにダリルさんの世界映像を。
椅子へ座ると、何時ものように景色が切り替わる。
まぁ、映像が映し出されたのだがな。
っか、同調率?てぇのが、上がったせいだろうか?
風が感じられるのだが?
おそる、おそる、近くの植物へ近付き、葉を触る。
っ!
触れる!?
ん?
アチラは、ダリルさんが朝稽古を。
相変わらず、性が出るものだ。
途中から起きて来た狩人達も合流。
模擬戦が始まるのだが。
アレは模擬戦ではなく、完全にダリルさんが狩人達へ稽古をつけておる感じじゃな。
で、サーマさんが、食事の支度を始めると。
「俺は抜けるぞ。
後はキサマらでヤルが良い」っと、稽古を終える。
「ツェェェっ!
流石は深層組」
「いや、確かに深層組だけど。
ダリルは歳下なんだぞ?」
「バッカでー
歳下だろうが、実力はアチラが上だろが?
っか、ダリルが13の時に、ボコボコにされてだろが」
そんなん言っておるが、アチラで鍛錬しておる兵達の立つ瀬が無かろうな。
明らかに狩人の方が、兵の練度を上回っておるからの。
で、ダリルさんじゃが、テキパキと朝食の支度をな。
何せ人数が多い。
ゆえに、作れる内容は似てくるでな。
まぁ、卵の差し入れがあったゆえ、卵が入るくらいの違いはあるが。
今日も雑炊なのだが、ソイ芋を減らし、香辛料を増やしたみたいじゃな。
コチラ風に言うと、カレー雑炊っと、言った感じか?
っか、なんと言う、暴力的な香りなのじゃ!!
小料理屋で食し、幻想機が再現したステーキを食したというに、腹が減るんじゃがっ!?
あー、薫り嗅ぎ、腹が鳴るなりダリル飯、っうヤツじゃな。
ん?
なんか違う?
何がじゃろか?
っか、そんな香りを撒き散らせば、鍛錬どころの騒ぎではない。
早く食わせろ!っう感じで狩人達がな。
「うるさい!
黙って待て!
食わさんぞ!」
ダリルさんが一蹴。
相手がダリルさんでは、文句も言えわな。
さっきボコられてたし。
いや、君達は良いんじゃね?
食えるんだからさぁ。
だけど、暴力的な香りを嗅がされた兵達は、匂いを嗅いだだけで食べれない。
まぁ、当然だわな。
狩人達が得た食材で、狩人が調理している狩人用の飯なのだから。
そんな彼らには悪いのだが、一足先に、ダリル飯をば。
うわぁ。
カレー卵雑炊!
カレー如き旨みは、間違いない。
だが、カレー土台の汁がぁっ!
この玄妙な旨みが溶け込み、絡み合ったコクと深みがなぁ。
マル芋飯のトロミが全てを内包し統合し、昇華している。
まさに口福である。
あー、シャトーブリアン?
うん、美味かったね。
けど、ダリル飯と、どちらを選ぶ?っわれたら、迷わずダリル飯さね。
まさに異次元の、いや、異界の味です。
うん、満足!




