公益場で品を卸そう。って、なんか揉めてね?
それを聞き、マジでダリルさんがガウランドの直弟子だと悟った隊長が、慌てて報告へ。
うーむ、慌て過ぎじゃろ?
転けるなよ。
あ、躓きよった、ふむ、転けはしなんだか。
「して、俺達は通って良いのか?」
そうダリルさんが。
残された兵から一人進み出て告げる。
「どうぞ。
一般の方を足止めする理由は、ございませんゆえ。
我らは、不審者を見定め入口で阻むのが役目。
既に身分を示す割符と符牒にて、確認は取れておりますので」
ううむ。
あんな確認で大丈夫なのじゃろか?
割符を奪い、符牒を聞き出した賊である可能性もあろうに。
『いやいや。
それを言い始めたら、どんな証でも偽造可能ですから。
アチラの世界で、明確な証明書など不可能ですよ』
まぁ、科学も発展しておらず、ファンタジーな魔法とやらも無い世界では仕方ないなかな?
で、輸送隊が村の中を進み、公益場へと。
っか、店でないゆえ、そのような場所だと思うのだが?
『合ってますよ。
村周辺の里から、ココへ収めに来る場所ですね』
市場とは違い、物を納める場なのは理解できるのじゃがな。
他に誰も納品に来ておらぬが?
『時間的な問題も有るでしょうが、何よりも賊が跋扈している地域です。
ゆえに、遠出を控えている里は多いでしょうね。
まぁ、各里へは兵が派遣され、事態の終息を告げるでしょう。
だから明日には公益場は賑わうでしょう。
なにせ、品を出し仕入れたいのに、賊が現れ危険と避けていたみたいですから』
なるほどのぅ。
ん?
なにやら揉めておるのか?
「いや、だからさぁ。
高値で買い取ってくれるのは有り難いんだよ。
けどさぁ、アタイらは物資が欲しいの!
買える物資が無いって、どう言うことさね?」
サーマさんが、公益場の所員に苦情をな。
「いや、ですから。
賊の所為で公益が滞っておりまして。
買い取りは可能なのですが、物資が無いので」
まぁ、仕方ないのだがな。
ヘラヘラ笑いながら告げねばのぅ。
舐めとるのか、コヤツ?
『この辺りで公益できる場所はココだけですから、強気なのでしょう』
いや、それでもじゃなぁ。
ん?
「ならば、町で売るか。
どうせ彼女達を送らねばならん。
ならば、町で売った方が良い。
まぁ、里から出る俺が決めることでは無いが、少なくとも、俺が狩った獲物は、ココへは卸さんからな」
そうダリルさんが告げると。
「ふん。
アンタの狩った獲物は卸さんで良いよ。
残りを買うからな」
そんなことをな。
「バっカっだぁねぇぇっ。
ふう。
中層深部と深層の獲物は卸せなくなったよ」
サーマさんが呆れたように。
「はぁ?
それは困るのですが!?」
慌てる職員へサーマさんが。
「いや、アンタが今、卸さなくて良いったじゃないさね。
コレらはダリルが狩った品さね。
他にも結構な数がダリルが狩ったヤツだよ。
まぁ、仕方ないねぇ。
町まで行くか」
そうサーマさんが言うと、旦那のワーラントさんがな。
「その方が良さそうだ。
今迄は村の公益場を尊重して来たが、コチラを蔑ろにするなら別だ。
確かに町までは遠い。
だが、我ら狩人にとっては、大した距離では無いからな。
今迄は付き合いもあり、コチラへ卸していたが、蔑ろにするようなら話しにならん」
静かに訥々と。
無骨で不器用な話し方だが、それだけに迫力がな。
「なっ!
それは困るのですがっ!」
したらダリルさんがな。
「キサマが困ろうが、コチラには関係ない。
で、自分が不利になったら、先程の蔑むような顔と笑いは止めるのかね?
キサマのような弱者に蔑まれる覚えは無いのだが?」
いや、結構、怒ってらっしゃる?
『実力も無いのに、立場でマウントを取る輩をダリル殿は嫌いますからねぇ。
ま、これはガウランド殿の教えにあるみたいですが』
ああ、そらぁ、そうか。
喧嘩売られたからって、他国の王侯貴族を狩り尽くしたみたいだし。
まぁ、狩られないだけ益しなんじゃないかな?




