ん?仕事?しましたが?内容なんざぁ告げても詰まらんだろ?まぁ、食いねぇ。
夕方と言うか、夜です。
既に退勤済みで、地元へ戻っておりますよ、はい。
むろん、小料理の源で飲んでいる。
今日は、良い刺身が出るとのことで、刺し盛りを純米酒にてな。
俺は、米が香り、米の旨みが有るポン酒が好きでな。
これが、刺身と実に合う。
そんな晩酌をしていると、常連さん達との話しも盛り上がるわけでな。
気付いたら刺し盛りが無い。
あらら。
一合程度の温燗も、既に呑み切っている訳でな。
何時もならば締めに入る所だが、ちと口寂しい感じか。
したら源さんがな。
「ターさんよぉ。
最近、妙に食えてんじゃねぇかね?
今日はパスタがあるんだが、食ってみるかい。
まぁ、昔風に言えば、ミートスパゲッティってぇヤツさね。
今風に言うと、パスタボロネーゼ、っうヤツかねぇ。
コイツを赤ワインにて頂く趣向なんだがな。
どうぜぃ?」
ふむ。
最近はパスタを食べてないなぁ。
しかし、やはり源さんだね。
小料理屋なのに、日本食に拘らないし。
たまにピザとかチゲなんかもな。
ネギ焼き頼んだら、粉物出て来て驚いたりな。
いや、そう言うネギ焼きが有るのは知ってたぞ。
だがなぁ、ココ、小料理屋なんだよねぇ。
まさか串のネギ焼きでは無く、粉物の方が出て来るとは、思わないじゃん。
まぁ、美味かったけどさ。
しかしなぁ。
「なんで、パスタ?」
思わずな。
「おぅ、それなんだがねぇい。
モリセナ粉が安く売ってたんだよ。
で、つい買い過ぎちまってねぇ。
自分で食う用だったんだが、量がねぇい。
しかも、パスタマシーンを使うのが面白くなっちまってさぁ。
麺も大量なんだわ。
一人で食う量じゃぁ、無くなっちまったんで、店でな。
挽肉やベーコンにソーセージなんかも余り気味だったからよ。
この際、ボロネーゼにして店に出すか?ってね。
ちと趣味に走ったからよ、利益度外視なモンになっちまったが、赤字にならん程度に抑えてのご提供ってな。
まぁ、何時ものヤツさね」
はぁぁぁっ、呆れるねぇ。
たまに源さんが暴走して、とんでも料理が出て来る場合がある。
この人は料理人っと言うか、料理が好きで、料理を趣味とした玄人なんだわ。
素人では無いから腕は確かなんだが、時々、趣味に走った料理をな。
まぁ、絶品料理が安く食えるから、客からは好評ではある。
っても、たまにしか提供されない幻の逸品ではあるのだが。
で、そんなん言われたら食わないハズが無い訳でな。
っか、聞いてた常連は、全員頼んでたよ。
さらには、知り合いへ連絡している連中もな。
ま、源さんの気まぐれ料理が出たのを黙ってたら、絶対に後で揉めるからなぁ。
分からんでもないか。
しかし、刻み野菜や香草っかハーブか?それと挽肉にベーコン、粗挽きソーセージを微塵切りにして混ぜ合わせてある。
色々と調味料も使っているんだろう。
正直、俺は調理しないため、どのように作られたかは分からない。
まぁ、食い専だな。
そんな俺でも、美味いてぇのは、分かる。
俺は平打ちパスタが好きでねぇ。
まさに、その麺だわ。
ただ、麺の表面に刻み模様がな。
んだぁ?って思ってたんだが、飾りじゃねぇな、これ。
麺へ刻まれた模様みたいなのに、ソースが絡むんだわぁ。
ボロネーゼソースも、食感を残しつつ刻まれた肉類が濃厚でな。
コレが麺に絡むから、麺の食感と味わいに合わせて口内へと。
しかも、野菜とハーブが、ソースを爽やかに。
いや、なに、これ?
コッテリなのに、爽やかって?
頭がバグりそうなんだが?
で、このパスタにチリ産の赤ワインが合うのなんのって。
いやぁ、思わず2杯も呑んじまったぜっ!
大満足の逸品だった訳だが、なんとなく、締めっうかなぁ。
「源さん。
タリスカーをロックで貰えるかね?
ナッツを摘みで」
「おや?
ターさんがウイスキーかい?
しかもタリスカーとは、渋いチョイスだねぇい。
ちと、待っとくれ」
そう言われ、しばらくしてタリスカーが。
身体を壊し、ウイスキーを絶っていたのだが、つい呑みたくな。
ほーんと、俺、どうしたんだろうな?




