あ、撤収ですか、そうですか。って、野営すんのね。
そんな彼らへ他の狩人がな。
「しかし、余りににも暴れ回るから、思わず土塊を顔へブン投げたったが、まさか当たるとはな。
しかも、当たったら止まって、俺を睨んで来やがるし。
ヤベ!って思ったら、上からなんか落ちてくっし!
なんだぁ!?って思ったら、虎の首落ちてっしさぁ。
あれ、おまえの仕業なんだろ?」
「仕業とは、失敬な。
まぁ、首を落としたのは、確かに俺だが。
だが、虎の動きを止めたのは、良い仕事だ。
激しく暴れるゆえ、流石に手が出せなんだゆえ」
あー、なんか動かず虎を見てる、って思ってたんだが、隙を伺っていたんだな。
しかし、いきなり飛び降りた、っと思ったら、虎の首が落ちてるからビックリしたわっ!
この晶獣化した虎の討伐にて、人喰い獣の駆除は完了したみたいだ。
他にも居るやもしれんが、流石に何時迄も滞在は出来ない。
だから撤収することに。
賊のアジトへ有った荷車も使い、全ての物資を運ぶ。
で、流石は狩人の集まりだけあり、狩った獲物は全て解体した模様。
不用物は埋め、必要な物だけを荷台へとな。
アジトへは牛が数頭飼われており、それに荷車を牽かせている。
鶏数羽が荷台へ積まれているのは、ご愛嬌かな。
『まぁ、放置したら獣に狩られるだくですので。
それなら里へ連れ帰り、里で飼った方が良いでしょう』
まぁ、そうなるわな。
ダリルさんと、賊討伐の後始末へ出張った狩人が、輸送隊へと帰隊。
直ぐに出発かと思ったのだが、どうやらココで野営するらしい。
「今から村へ向かっても、途中で夜になる。
それに駆除した賊から没収した物資は、村へ運ばぬ方が良かろう。
そうなると、そちらは里へと送ることになるが、こちらも途中で夜になろうよ。
夜は獣の動きが活発になる。
なれば、皆が揃う今、ココで野営する方が安全だ。
俺達が賊駆除中に、場を整えたようだしな」
そうダリルが提言し、リーダーがそれを飲んだ感じか?
しかし、藪を刈り、下生えを整えた広場が、そこそこの広さで確保されているんだが?
え?
これ、ダリルさん達が討伐してる間に整えたの?
マジでぇ?
『だから、マスター。
この人達は人造種の末裔なのですよ。
コチラの世界に住まう人は無論ですが、普通の人と同一に考えてはなりません』
あーねぇ。
見た目は普通の人だから、ついな。
しかし、スゲェな、人造種の末裔。
で、保護した女性達なんだが、鎮静作用の有る薬湯を飲んだことで落ち着いたようだ。
全員の身内が町に居るらしく、サーマさんが付き添い送るらしい。
まぁ、ダリルさんが同行するのが前提らしいのだが。
「ふむ。
サーマさんに請われれは、嫌とは言えん。
だが、帰りは流石に送れんので、他に2、3人は付けて貰うぞ」
そう承諾したダリルさんへリーダーがな。
「流石に里立ち序でに護衛を頼んだオマエに、そこまで言わんよ。
そうだな、サーマさんが行くなら、バンカとモビラだな。
バンカが行くなら、カカナもか。
それだけ行けば大丈夫だろう」
そう告げるとダリルさんがさ。
「ああ、サーマさんの身内か。
なら大丈夫そうだな」っと。
したらな。
「ちょっとぉ!
私は、まだ身内じゃ無いんだけど!!」って、女性からな。
したらな。
「“まだ”、ってことは、まんざらでも無いのであろ?
良い加減に進展させてはどうかね?」っと、あしらわれている。
どゆこと?
『同行を告げられたバンカはサーマの息子ですね。
モビラは娘です。
苦情を告げていたカカナはバンカの幼馴染であり、恋人みたいな存在です。
まぁ、奥手二人にて進展なく、恋人未満ですが。
ちなみにサーマは、捨てられた赤子のダリルを保護し、乳を与えた存在です。
この度の輸送隊へ参加してないサーマの息子カムスは、ダリルと共にサーマの乳で育った乳兄弟ですね。
有る意味、義母と言えるサーマは、ダリル殿が頭の上がらぬ人物でもあります』
はぁ?
あの女性って、そんな人だったのっ!?




