あー、ダリルさん?うむ、本当に若いの、やもな。
とりあえず、ダリルさんはロゼッタ嬢達と、共に行動することになりそうじゃ。
でな。
「話しは纏ったみてぇだな。
で、買取だが、解体も済ませてくれてるし、コイツでどうだい?」
そうドトマさんがロゼッタ嬢へとな。
「あいよ。
この値なら有り難いねぇ。
他所だと買取がシブくてさぁ。
最近、特に酷くないかい?」
ロゼッタ嬢が困ったように。
「ああ、アンタの工房が圧力掛けてるみてぇだな。
だから既に俺は、取り引きを止めてんだわ。
まぁ、代わりに、アンタらが取り引き先だが。
っか、アンタらが、本来の工房主と思ってるからな。
で、申し訳ないんだがな。
旦那からの卸して貰った鎧熊の素材。
場合によっちゃぁ、そっちに回せんやもな」
そう告げられ、ハゲルさんが渋い顔に。
「かぁ!
なんでぇい、なんでぇい。
そんだけの品をけぇ?
そりゃぁ、無いんじゃねぇかぁ?」っと。
したらな。
「まさか、アンタも弟の?」
そうロゼッタ嬢が悲しげに。
したらドトマさんが怒ったようにな。
「バカを言っちゃぁイケねぇよ。
オリャぁ、そんなに腐ってねぇ!
こん鎧熊だが、コレだけ綺麗な素材は稀だ。
そうなると、剥製を集めてる方に知らせない訳にはいかんのだよ。
何せ、アチラは、お貴族様だからな」
そうドトマさんが告げるとな。
「ふむ。
貴族とやらが、無理やり買い取るならば卸さんぞ。
師匠が貴族と揉めて国を半壊させたそうだが、無理を通すなら国を落とすでな」
いや、物騒だな、をいっ!
「いやいやいや。
シャレにならんからな、止めてくれんか?
この、お貴族様は、無体なことは為されん方だ。
話しも分かるお方だからな。
だが、お貴族様にも面子てぇもんが、ありなさる。
ゆえに、そこら辺は、コチラから譲歩しねぇと」
そうドトマさんが慌ててな。
「なるべく、穏便に願えるだろうか?
ダリル様が動けば、国としても、その貴族を罰するしかない。
だが、まだ何もしておらんのだが?
それでコトを起こされても困るのですがね?」
ミハガ隊長が困ったようにの。
したらダリルさんがの。
「ふむ。
どうも俺は経験が足りぬようだ。
知らぬ事で激してしまった。
済まぬな」
まぁ、里内では人々との交流が、それなりにあったようじゃが、社会へ揉まれた訳ではない。
しかも十八歳の若者じゃてな。
若者特有の正義感にて激し易い頃なのやもな。
まぁ、若者特有の青い考え、っうヤツなのじゃろ。
ダリルさんじゃと、違和感しか無いがのぅ。
しかし、若者が激して軽はずみな行動を取る場合がある。
そんな彼らが、やり直しできぬ事態を起こす場合ものぅ。
じゃが、それでも何とか場を収めることは、出来るじゃろう。
じゃが、じゃがじゃ!
ダリルさんが暴走したら、国レベルでの被害が出るでな。
全くもって、シャレにならんわいっ!
「えーっとぉ。
それって、御伽話の国落とし?
まるで、本当にあったみたいでは?
アレ作り話しですよね?」
ファマル嬢が不思議そうにの。
したらダリルさんがな。
「いや、実話らしいぞ。
まぁ、その話し自体、里を出て知ったのだが」
「はい?
なら、なんで、事実だと?」
まぁ、そうなるわな。
それへダリルさんがな。
「うむ。
それを行ったのが、俺の師匠であるガウランドだからな。
無茶をすると、最初聞いた時には思ったが、師匠を無体にも狩ろうとしたらしい。
狩られる前に狩れ、それが深層組の理念だ。
狩ろうとしたんだから、狩られて当然だわな」
いや、そんな物騒な理論で生きているのは、深層組の君達だけだからのっ!
そがぁな理屈で、本当に行動する輩が居るとは、本来は思わぬからっ!
「おいよぉ、お嬢。
本当に旦那と一緒に行動すんのけぇ?」
ハゲルさんに問われ、ロゼッタ嬢が額へ手を。
「約束してしまったからねぇ。
ちと、後悔してんだけど。
なんだい、素材得られないとかで、国落としって。
物騒過ぎるわよっ!」
うむ、見事なシャウトじゃ。
まさに、心の叫びじゃな。
良く表現できておるわい。