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――やっぱりな。
三人目、桐谷正孝もそうだった。
これはもう偶然ではない。俺が轢き殺した人間は全て、虐待を行っている人間だった。
この事実こそが、俺から罪悪感を奪った理由だった。
自分で産み落とした命を、自分の手で蹂躙する。とんだ鬼畜共だ。死んで当然だ。
俺は絶対にそうはならない。だから結婚などしない。子供も産まない。
人に話せば、人を殺しておいて何を偉そうにと思われる主張だが何を言われる筋合いもない。
運命なのだ。あいつらは全て俺に殺される運命だったのだ。
彼らの子供を苦しみから解き放つ為に、執行役として俺はこの世に生を与えられたのだ。
積み重なった事実はそれだけの説得力を持っていた。
夜の道を走りながら思う。
もし今日四人目の犠牲者が出たとしても、そいつも鬼なのだ。退治されるべき鬼なのだ。
ひとしきり走り終え、車を降りた。
今日もいい気分転換になった。
「こんばんは」
唐突に後ろから声を掛けられた。振り向いた先に初老の男がいた。
見た事もない男だった。
「こんばんは」
戸惑いながらも返事を返した。じっと顔を見るが、やはり見覚えはない。
「どちら様、ですか?」
そう尋ねると、男は少しだけ笑った。
「あなたが殺した娘の親です」
「え?」
その瞬間、男が何かを思いっきり降り下ろした。
俺が覚えているのは、頭に強烈な衝撃と痛みが走った所までだった。




