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49.ダンジョンあったー!

 目を覚ますと岩の天井が見えた。

 ここは……聖龍の巣穴か。

 えーと、あーそっか。

 私寝ちゃったんだっけ。

 昨日のことを思い返しながら体を起こす。

 あれ、聖龍いないな?

 どこ行ったんだろう。

 川に洗濯とか?

 昔ばなしに出てくるおばあちゃんだし。

 気になって魔力を探ってみたら、全然そんなことはなくて普通に外にいた。

 いるんかーい。


 あ、そういえば結局腕がどうなったのか見てない。

 腕を掲げて魔法の光に照らしてみる。

 おお、伸びてる!

 ほんの少しだけど!

 他の人から見たらどこが?って感じだと思うけど、私から見たら結構違う。

 あんなに痛い思いをした意味はあるって訳だ。

 まあ今日も明日も明後日もするんだけども。

 なんならこの先二ヶ月は毎日痛い思いするんだけども。

 そっか……そういえばそうだったわ……。

 二ヶ月か……長いな……。


 ちょっと憂鬱になりながら立ち上がろうとして、一瞬ふらついた。

 ぬぅ……血が足りぬ……もっとだ……もっと血を寄越せ……。

 そういえば昨日つまみ食いしたのが最後で何も食べてないっけ。

 聖龍は食べろとか言ってたけど結局すぐ寝ちゃったし。

 お腹が空きました。

 立ち上がって、そのまま外に向かおうとして、いつの間にか着替えさせられてるのに気づいた。

 ベッドに置かれる前に聖龍が着せたのかな。

 そんなことをつらつら考えながら外に出たら、私が置いた蛇の近くで聖龍が焚火で串焼きを片手に肉を焼いていた。

 あ、美味しそう。


「おはよう」

「起きたか。もう昼じゃがな」

「起こせばよかったのに」

「あれだけ心地よさそうに寝られては、起こすのも忍びなくての」


 そういうと聖龍は自分も肉を頬張りつつ、焚火から肉の刺さった串を抜いて差し出して聞いてきた。


「食うか?」

「食べる」


 丁度お腹空いてたしね。

 生で食べようと思ってたけど、焼いてくれるって言うならありがたく貰おう。

 別に生肉でも焼いた肉でもどっちでも美味しいんだけど、人間の姿の時は焼いた方がなんかおいしく感じる。

 なんでだろうね。

 やっぱり消化器官的な問題でもあるのかな?


 その辺の適当な大きさの石を移動させて、聖龍と焚火を囲んで座る。

 聖龍が棒で炭を突いて薪を足した。

 パッと上がる火の粉を眺めつつ肉を齧る。


「調子はどうじゃ?」

「平気」

「ならばよい。お主が寝てる間に確認しておるが、念のためもう一度見せてみよ」


 はい。

 断る理由もないので素直に右腕を差し出す。


「ふむ。特におかしなところはないか。なにか違和感はないか?」


 首を振る。

 むしろちょっと気分がいいくらい。


「ならば良い。昨日も言ったが、あのやり方は運次第で元通りにはならんことがあるからな。肘が二つになったり、指が増えたりと。その時は余計な部分を切り落としてやり直すことになる」

「運?」

「そうじゃ。こればかりはどうにもならん」


 運か……運なのか……。

 どうにもならんのか……。

 まあねえ……流石に変な腕になられたら私も困るし、切り落とすのはやむ無し、かなあ……。

 痛いのは嫌だけど、それは仕方ないよなあ……。


「そんな顔をするでない。痛みだけで言うのなら、切り落とすほうが遥かに少ない。骨から剥がす必要もなければ、時間をかける必要もないからの。さっと切り落としてすぐに治す。それで終いじゃ。恐れることはない」


 そして頭を撫でられる。

 あ、そんな簡単に済む話?

 まあ、全く痛まないって訳ではないだろうけど、それなら耐えられると思う。

 てかいつまで撫でてるんだ。

 限度を考えろ限度を。

 猫とか、ペットでさえ構いすぎるとストレス溜まるんだぞ。

 私龍だけど。

 いい加減鬱陶しくなったので頭を振って振り払う。

 聖龍は気にする様子もなく言葉を続けた。


「今日も日が暮れる頃には終わらせるとしようかの。それまでは自由にしてよい」

「分かった」


 そして聖龍も串に手を伸ばして肉を食べ始めた。


 自由ねえ。

 それならちょっと離れたところに行こうかな。

 聖龍の目の前でなんかしようとしたらちょっかいかけられる気がするし。

 それじゃあ落ち着けるわけもない。

 もちろん聖龍に色々教わりたいってのはあるけど、それにしたって色々確認しておきたい。

 人に教えを乞う時は、分からんけどとにかく教えろよりもここが分からんのだけどなにこれ?って言ったほうが心証がいいものである。

 これ大事。

 これができるかで人付き合いがだいぶ変わってくる。


 ……あれ?

 私……人付き合いが……ちゃんとやってたはずなのに……。


 ……考えるのはよそう。

 あれだ、ただ私ができすぎるから人に聞くまでもなかっただけのことだ。

 うん、そうだ。

 そうに違いない。

 決してそういうの全く関係なく敬遠されてたとかそういうことはないはずだ。


 ふー、さて。

 そろそろ行くか。

 トラウマがいい感じに刺激されたところで立ち上がって服を脱ぐ。


「どこへ行くのじゃ?」

「その辺」


 そして龍に姿を変え、地面を蹴って飛び上がった。


 どこにしようかなー。

 できれば広いところがいい。

 龍のまま動き回っても大丈夫そうな所。

 まあそんなのちょっと山の方行けばいくらでもあるんだけど、だからってあんなところ目立ってしょうがない。

 大文字焼きですかってくらい目立つ。

 実際下手すると焼きかねないんだけど。


 ん?

 そう思って下を見ながら飛んでたんだけど、そしたら一瞬森が途切れたところに何かがあったように見えた。

 石の建築物みたいな。

 で、建築物と言えばここに来る直前に、謎男が意味深なことを言ってきた遺跡が思い返される。

 気になるな。

 ちょっと行ってみよう。

 Uターンしてさっき見えたあたりに降りてみる。

 そしたら、地面に埋まって入口だけが出てる建物があった。

 さっき見えたのこれか。

 火魔法で明かりを出しつつ覗いてみる。

 うーん、なにかあるようには見えないな。


 ていうかさ、なんかこれ、ダンジョンみたいに見えない?

 魔力を探ってみると奥の方に結構強力なのとかあるし、前の遺跡よりも相当深そうだ。


 久しぶりに私のゲーマー的な部分が騒ぎ出した。

 誰が作ったんだろう?

 絶対意味あるはずだよね?

 前のはなんかの宗教関係者が作ったらしいから、これも同じ感じだと思うんだよ。

 だとしたらどんな目的で作ったんだろう。


 気になるなー。

 わくわくするなー。

 ちょっと潜ってみよ。

 入口は人間サイズだから人間になって中に入る。


 うえ、埃臭い。

 中はちょっとした広間みたいになっていて、真ん中に歩くスペースを残しつつその左右に等間隔に柱が立っている。

 左右の壁には、前の遺跡でも見たような絵画が描かれている。

 柱に付いてる金属の輪っかは松明立てたりするやつかな。

 物陰に魔物が隠れてたりしないか魔力を探知しつつ奥に進んでみたら、途中で左右に分かれている通路に突き当たった。

 さて、こういう時ってどっち側に行けばいいんだっけ?

 右手の法則?

 とりあえず右側に行ってみよう。


 っと、その前に壁に目印を付けておこ。

 翼腕を出して、爪で右側の壁に引っかき傷をつける。

 これで良し。

 じゃあ行きますか。

 右に曲がって、また歩き出す。


 今のところは特に何があるって訳じゃなさそうだなー。

 何の変哲もない

 けど、魔物の反応はすぐ近くにある。


 例えばそこの曲がり角の先とか。

 一歩踏み出して、左から飛び掛かってきた魔物を翼腕で受け止めて跳ね返す。

 それから少しずらして左側から飛び掛かってきた、デカいイタチみたいな魔物は闇魔法で応戦。

 一発でか細い断末魔を上げて地面に落ちた。

 で、一匹目だ。

 仲間が一瞬でやられたのを見て、警戒しているのか距離を保ったまま牙を剥き出して威嚇してくる。

 けどな、私魔法使えるねん。

 また同じように闇魔法を放つ。

 お、一発目は避けるか。

 じゃあこれでどうだ。

 続けざまに二発、三発と回避先を狙って魔法を撃ったら三発目で捉えて弾き飛ばし、壁に叩きつけた。


 よし、終わり。

 これくらいなら人間の姿でも負ける要素ないな。

 魔法で穴の開いた魔物に近づき、どんな奴だったか確認する。

 ふむ、イタチみたいってのは間違ってなかったな。

 けど普通のそれと違うのは、額になんか目みたいな紫色の石があるところ。


 なんだろう、これ。

 綺麗だけどなんか不気味だなー。

 うん、持ち帰ったりはしないでおこう。

 呪われたりしたらやだし。

 されるのか知らんけど。


 丁度いいし一匹おやつにしよう。

 肉の損傷が少ない方を選んで拾い上げ、翼腕で雑に毛皮を裂いて食べやすくする。

 これでいいか。

 一口齧れるところができれば、あとは結構食えるものである。

 りんご飴みたい。

 まあどっちも赤いし大体同じだよ。

 うん。

 さて、また二又の道だ。

 次も右にしようかな。

 こうしておけば戻るとき、分かれ道に差し掛かる度に左に曲がれば迷わないで済むしね。


 そんな感じで順調に進んでたら、なんかすごい場所に着いた。

 何がすごいって、道の左右に骨が大量に転がってる通路に出たのだ。

 さっきのイタチの骨と思わしきものとか、犬の頭蓋骨みたいのとかある。

 あれは狼かなんかかな。


 でだ。

 どうするかなー。

 さっきのイタチを齧りつつ考える。

 あれどう見ても罠だよね。

 周りの壁とか死体の配置とか見る感じ、左右の壁から何か突き出してくる感じかな。

 多分壁から突き出した何かが刺さって引っ張られて、それが端っこに溜まってるんでしょう。


 もっきゅもっきゅしながら、もうほとんど食べ終わった毛皮と骨の塊をポイっと放ってみる。

 ドチャって湿り気のする音を立てて左右の骨の間に落ちた。

 そのあとはなにも起こらずシーンとしている。

 うーん、だめかあ。

 あれが映画とかでよくある系の罠なら反応するかと思ったんだけどなあ。


 さて、そしたらどうしよう。

 次は……壁にスイッチとか?

 一番手前の骨から、念のため少し距離を空けて壁に触れてみる。

 ふむ……特に何もない……かな?

 出っ張ってる部分は無いし、押しても動かない。

 それは反対の壁も同じだった。


 困った。

 本気で打つ手なしである。

 や、魔法で壁吹っ飛ばしたりすればどうにでもできるんだけどね?

 ここ地下よ?

 やったら生き埋めよ?

 そうなったら流石に助からない。


 うーん。

 よし、じゃあ引き返そう。

 いやいや諦めたわけじゃないって。

 私は考えたわけよ。

 ここまでの感じ、この遺跡って祭壇的な意味合いが強そうなんだよね。

 松明掛けがあったり、壁に絵が描かれてたり、明らかに人が往来することを前提としているように感じる。

 だとしたらこういった超える手段のない即死トラップをいちいち通ると思う?

 いーや私は思わない。

 一本道ならまだしもここまで分かれ道とかもあったし、それならまた別に正解の道があるはずだ。

 そんなわけで私はここに拘っても仕方ないと考えたんですよ。


 じゃあ戻るか。

 まだ行ってない道もあるし、そっちに行ってみよう。

 あ、てか人の往来があったなら地面に跡残ってたりしないかな?

 何かしら擦れた跡とか。

 まあ、ここに最後に人が立ち入ったのが何年前なのか知らないけど。

 謎男の話によるとこういうのが多かったのはだいぶ昔らしいから望み薄かな。

 残念。


 さーて、そんなこんなで最後に通った十字路に戻った。

 そういえば気になったんだけど、探索を初めてどのくらい経ったんだろう?

 起きたのが昼くらいだったから、もう結構な時間になってない?

 そろそろ戻らないと聖龍にどやされそうだな。

 ……怒られる前に戻ろ。

 左に向かいかけてた足をぐいっと戻して右に向ける。


 ちょっと小走り気味に元来た道を戻る。

 途中何回か魔物に襲われたけど、さっきみたいに悠長に相手したりせずに飛び出した瞬間魔法乱射で仕留めて駆け抜ける。


 そうして入った時の倍くらいの速さで外に出たら、久しぶりの日の光に目が眩んだ。

 手で庇を作って目が慣れるのを待つ。

 ようやく慣れたところで空を見上げてみたら、日暮れまであと二時間ってくらいの空だった。

 よし、まだ間に合うな。

 龍に姿を変え、すぐに地面を蹴って飛び上がる。

 で、そのまま聖龍の洞穴に向かう。


 ああっと、この遺跡の場所は覚えておこう。

 強制人間殴り合い会場にされるから、人間の姿で戦う練習をするには丁度いい。

 よし、じゃあ戻ろう。

 今日は昨日みたいな無様は晒さないようにするのが目標だな。

 これ密かな目標だけど、いずれは自分で腕を治せるようになりたいのだ。

 だからちゃんと耐えて、聖龍が何してるのかちゃんと見ておかないと。

 どこまで再現できるか、その辺りも気にしないとね。

ところでここまで読み進めた人、評価とか感想とか入れてみない? ここの下の方に最近リニューアルして分かりやすくなった評価システムがあるよ?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読んでて楽しい(^^♪ [一言] 無理のない範囲でいいので 次話投稿待ってまっせ〜! はよ(ノシ 'ω')ノシ バンバン
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