47.国によっては忍殺されてた
明日も更新あるよ!!
私は村への報告を終え、左腕に聖龍を乗せて飛んでいた。
えらい目にあった。
あの私たちに蛇のことを教えた男の感じからして、そこまで困ってるわけじゃなさそうだなんて思ってたのに、やたら感謝された。
村長曰く、冬の間の大量の雪で傷んだ家屋の修復に必要な釘とか、冬ってのはその他色々ものが不足するらしい。
それを持ってくる商人が麓で足止めされていると、今すぐは影響なくともいずれ家屋の倒壊とかが起きる可能性があったとか。
そうかいそうかい。
私としてはそんなことより早く帰らせてくれって感じだったけど。
や、もちろん感謝されて嫌な気持ちにはならないけど、正直村の人間がどうなったって私には関係ない話だし。
いざとなったら聖龍がなんとかするだろうし。
だから頼むそのぶんぶん振りまわしてる手を解放してくれって思ってた。
なんかやたらガタイがよくて、私と身長差あるもんだから振れ幅がすごくて痛いんだもん。
っと、聖龍の巣穴が見えてきた。
その前の空き地に向かって高度を落とし、翼腕をついてから聖龍を降ろす。
「あの蛇を食うなら今のうちに持ってきてもよいぞ。準備があるからの」
すぐやるんじゃないんだ。
じゃあ取ってこようかな。
着陸してすぐだけど、また翼を広げて地面を蹴る。
「取ってきたら下の川辺に来い。そこでやるぞ」
はーい。
そしてまた蛇を仕留めたあたりにとんぼ返り。
私が帰って来たのを見て、死肉を漁っていた狼みたいな魔物が慌てて散っていった。
いやそんな慌てなくてもそのくらいで怒らないから。
どうせ全部持っていくなんてできないし、残ったほうは勝手に食べていいよ。
蛇の体の、頭の方を咥えて持ち上げる。
そしたら蛇の体からなにかがぽろっと零れた。
おや?
これは……石?
ソフトボールくらいの丸い石だ。
なかなか綺麗な緑色をしている。
へー。
これ、装飾品として価値あったりするかな?
私が着けるわけじゃないけど、もしまたなにか必要になった時にこれがあれば面倒なことをしなくて済む、とかないかな。
なんかこう、商人とか来るらしいし、その時に渡してもらうとか。
一応持って帰って聖龍に聞いてみるか。
「おー珍しいね」
そこで突然、すぐ近くで声がした。
び、びっくりしたー!
思わず飛び上がったわ!
嘘だけど!
「どっか変な環境にいたんじゃないかな、それ。近くで大規模な魔法戦があった場所とか」
そこにいたのは、まあこんな気配のない奴なんてこいつくらいだけど、謎男がいた。
私の顔の横で一緒に石を覗き込んでいる。
「滅多にある事じゃないけど、たまにそういうことがある。人間が見つけても原因は不明。大概は一匹しかいない変種の魔物と考えられて処理されるようなもの」
なに、この蛇のこと?
聖龍は途上とか言ってたけど?
「さあ? 種として定着する途上とか、そういう事じゃない? 実際単為生殖で増える魔物とかいるしね。そいつも両断してしばらく放置したらそれぞれ再生して増えるかもよ?」
そんなプラナリアみたいな……。
「あ、ほらリンゴぽーん」
わーい。
空中に放り投げられたリンゴを口でキャッチして飲み込む。
小さい。
悲しい。
しくしく。
『用は?』
「大した事ないけどね。聞きたいことがあるんじゃないかと思って」
聞きたいこと……?
あ、そうだ。
『聖龍が空間魔法は使えないと言ってた』
「誰が?」
『私』
まあ正しくは使える奴はいないって話だけど。
謎男が使えないって話は信じてない、
だって明らかに転移でもしてなければあり得ない神出鬼没さだもん。
「ふーん。でも基礎はできてるでしょ?」
まあ、確かに。
「じゃあ問題ない。程度に差はあれそれができるなら問題なく使える」
ふぅむ……私が危惧してるのはそこじゃないんだよな。
どっちかが、あるいは両方が私を騙そうとしてるってことが気になるんだ。
けど、騙したところでどっちにも利点があるようには思えない。
だから判断に困ってる。
「ていうかね、転移の魔法具なんて才能がない人が手を出したら制御できずに発動まで魔力を搾り取られるものだよ。君はそうなってないでしょ」
なるほど。
確かにあのペンダントは色々弄りまわしたけど特に何もなって無い。
なら使える、ってことか?
まあ謎男がまだ嘘をついてる可能性はあるけど。
けどそれはこのペンダントを誰かに使わせてみれば分かる話だ。
今は保留。
あ。
そういえばなんだっけ、名前忘れた。
ケクロプスか。
あいつも使えてたよね。
じゃああいつも才能があったってことか?
聖龍曰くレアらしいけど、そうポンポンいるものなんだろうか。
「あれ、才能だけはあったからね。ちゃんと訓練してれば魔法具無しでも使えたんじゃない?」
ふーん。
才能があっても生かせなければ意味がないってことだね。
私もそうならないように、できるだけのことはしておかないと。
「じゃあもういいかな? ちょっと行かなきゃいけないところがあってね」
その前にもう一つ。
あんまり信じてないけど、念のため。
『貴方は転移が使える?』
聞くと、謎男は悪戯する子供みたいな顔で笑った。
「自分で確認してみたら?」
そして消える。
うん、やっぱり間違いない。
本物だ。
魔力は感じられなかったけど、姿を見えなくしてるとかそういう小細工じゃなくて、間違いなく転移して消えてるのが感覚でわかった。
これに関しては聖龍が嘘をついているのが確定した。
何のためにって聞かれたらそれは分からないけど。
けど敵意というか、害意は感じないんだよね。
むしろそれとは全く別のような……。
まあ、とにかく危険はなさそうだから大丈夫でしょ。
予想外の奴が来たせいで時間食ったし、さっさと帰るとしますか。
嘘つくのよくないと思います!!




