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38.一級フラグ建築士

久しぶりの更新。時間が出来たら今月中にまた更新できればいいなーって思ってたり思ってなかったり。

 飛んで現在、部屋の外。

 説明を終えた後、いくつか質疑応答をしてからやんわりと追い出された。

 まあ追い出されなくても勝手に出て行ったけどね。

 何せ私そっちのけで会議開始である。

 私がいる意味があるか?って考えたら100パーない。

 よって大手を振ってフリータイムって訳なのだ。

 やった!帰れる!バイバイ!


「護衛は私、ラウムが引き受けます。どうぞ大船にのったつもりで」


 目の前にはそう言って優雅に一礼する、まさしく騎士然としたラウムがいた。

 誰これ?

 頭でも打った?


「やーちょっとくらい反応するかなーって思ったけど微動だにしないね。寝てる?」


 と、顔を上げたラウムがウインクしながら言ってきた。

 驚いたわ。

 驚いたけどそれよりなにやってんのこいつみたいな感情が勝った。


「ま、なんか色々危ないから部屋まで護衛しろだって。さっきナタールがわざわざ使い出してきた」


 あーなんか説明してる時にドアが開いた気がしたのは気の所為じゃなかったか。

 そんなの気にしてる余裕なかったし気にも留めてなかったわ。


 いや、でも、まあちょうどいいか。

 邪魔だなとか思ってないよ?

 ほんとほんと。

 ごめんちょっと思った。


 けどちょうどいいってのは実際その通りで、どうせ行くならラウムがいると手間がなくていい。


「着いてきて」

「え?あ、ちょ!」


 どうせならこのまま用事済ませちゃおう。

 さっさと歩き出した私の後ろをラウムが着いてくる。

 うーん護衛対象が前を歩く違和感。

 ゲームでそんな事されたら張り倒したくなるな。


「ちょっと待ってストップストップ!着いてきてってどこ行くの?部屋に連れてけって言われてるんだけど?」


 腕を掴まれて振り返るとラウムが聞いてきた。


「商店街」

「何しに?」

「買い物」


 冷静に考えて欲しい。

 商店街に行くって言ってるんだからそりゃあ買い物でしょうよ。

 ウィンドウショッピングとかは知らん。

 そもそもウィンドウなんかないけどな。


「んん?君結構危ない立場な事分かってる?大丈夫?理解した?」


 ラウムに頭の心配されるのすっごい屈辱的……いや馬鹿ではないんだけどさ。

 言動が軽いんだもんこの人……。


「それで商店街行くのってだいぶ危険だってわかる?」


 すっごい言われる。

 わかってるっていうか、私としてはそこまで危険か?って感じがする。

 まあ、危険な事には危険なんだけどさ。

 魔法禁止の対処法とか分かってないし。

 けどだからこそここらで出会(でくわ)しときたいっていうのはある。

 なにせ原理が全くわかっていないのだ。

 そうなるとあいつと対峙してそれを探りつつ並行して対処法を考えるしかない。

 幸いラウムもいるし、今はナタール達も警戒してるから白昼堂々襲われても少し時間稼げば増援とかすぐ来るでしょ。

 そうなれば私も余裕ができるし、より対処しやすくなる。


「問題ない」


 私としてはそういうのを考えてのことだったんだけど。


「問題ないってさぁ……」


 不満そうだなあ。

 ま、ラウムがなんと言おうが護衛を任された以上着いてくるしかないよね。

 なので気にすることなくまた歩き出す。


「あ、だからぁ!」


 無視無視。

 襲われたら原因解明、襲われなかったらそれはそれでよし。

 ノープロブレムである。




 ───────────────



「で、なに買うの? わざわざ来なくても適当に誰かに言えばいいのに」


 その場合パシリはラウムになるがよろしいか?

 私が名前も知らない誰かに話しかけるわけないでしょうが。

 その辺ちゃんと考えて喋って欲しいものだよまったく。


「今すっごい謂れのない暴言を吐かれた気がする」


 ソンナコトナイヨー。

 まあそんなラウムはほっといて、だ。

 ラウムが倒れてからの間、私はほとんど毎日外を出歩いてこの町の地図を頭に叩き込んでいた。

 そりゃあ夜通し監視とかしてた都合上昼間に爆睡したりもしてたけど、それでもほぼ休みなく歩き回っていた。

 その結果、この町で知らない道はないと言っていいくらいにはなった。

 表の比較的大きめな通りはもちろん、裏の見通しの悪い路地まで。

 当然、露店の位置なんか全部覚えた。


 その脳内マップに従い訪れたのはブレスレットやペンダントなどなど、色とりどりのきらびやかな商品を並べた店、つまり装飾屋である。

 装飾屋とはいえそこまで高くもないんだけど。

 あの傭兵崩れからぶんどったお金をほぼ使い切れば1つ買えるくらいだから、まあそんなもんでしょう。


「おっ!ラウムか!騎士になって金持ちが良くなったからって質のいい店ばっか行きやがって。こっちにも金落としやがれ!」

「おっす!久しぶりおっちゃん!いやー騎士やってると相応にキラキラしてるようなの付けないとダメでさー。私としてはこっちの方が好きなんだけどねー」


 なにやら親しげな様子で握手を交わすラウムとおっちゃん。

 なに?知り合い?


「あ、そーそーおっちゃん、この娘に見覚えない?騎士団(ウチ)で保護した娘なんだけどさ、記憶ないみたいなんだよねー」


 ってラウムが私の肩を押して前に出す。

 私としてもこの人知ってるって言うかむしろ何も買わないで商品眺めてたらすっごい睨まれたから苦手って言うか……。


「もちろん知ってるぜ。いい身なりのクセして全く金を出す気のねー嬢ちゃんだろ」


 ほらー……棘が凄い……。


「ま、なんつーか、記憶がねーのは知らなかったっつーか、睨んで悪かったな」


 あれ?

 なんか照れ臭そうに謝られた。

 まあそりゃ話したことないのにいきなり睨みつけるのはどうかと思うわ。

 ていうか今日はちゃんとお金払う気で来たんだから、そんな邪険に扱われても困る。


「とにかくラウムが期待してるような事は知らねーぜ。半月くらい前からしか見てねーからな」

「まあそんなもんか。ありがとね」


 そこからは昔話に華を咲かせ始めたけど、全く興味無いのでそれをBGMに商品を物色。

 てかちゃんと客来てんのに放ったらかしってそれどうなのよ。

 いや話しかけられても鬱陶しいけどさ。

 こう、店的に大丈夫なの?って感じはする。

 まあこうして店は成り立ってるし大丈夫なんだろうけどさあ……お、これとかいいかも。

 値段的にもギリギリ買えるレベル。

 別に使い切っても騎士団にいる間は大丈夫だし、町を出ればそんなものゴミになるからむしろちょうどいいくらいだ。


 青い宝石……では多分ないけど青い石がはまったペンダントを無言で店主に突き出し話を遮る。


「おっ、なんだ今日は買うのか。ちゃんと相手しときゃよかった」


 ……もう何も言うまい。


「それなら今日は銀貨4枚と銅貨14枚だな。つーか記憶はねーのに金はあんのか?」


 そこに触れてはならぬ。

 強盗したとか言ったら隣のニコニコしてる騎士様にしょっぴかれる。


「お洒落っ気が出てきたねー。やっぱり可愛いんだからそういうの気にしないとね?」


 うるさいわ。

 ニコニコっていうかニヤニヤだわこれ。

 ぶんどった小銭入れから銀色と銅色の硬貨をそれぞれ言われた枚数出し、店主の手のひらに乗せる。

 こういう時色で区別されてると価値が分からなくてもいいから凄く便利。

 何を隠そう、これがどのくらいの金額か分かってないです、ワタクシ。


「うし、確かに」


 その枚数を数えた店主が手を引っ込めてニカッと笑った。

 笑うとなんか盗賊の親玉が金数えたみたいな顔になるなーこの店主。

 そんなの見たことないけどさ。

 なんかこう、イメージ的にね?


 で、買ったペンダントをそのままラウムに突き出す。


「ほへ?」

「快復祝いと、お詫び。私も原因みたいなものだから」


 実際やったのはケクロプスとはいえ、その発端というか視界を遮ったのは私だし、そうじゃなくてもトラウマを抉ったのには変わりないということでつまりあれだ、別に申し訳ないなんて思ってないんだからね!


「私に?」


 ペンダントと自分を交互に指さして聞いてくる。

 だからそう言ってるだろうが。


「うん、そっか。うん。ありがとー!」


 だぁー!

 飛びつくな引っ付くな重いこら離れろ!

 なんて必死に抵抗するも、そもそも全力のラウムに力で適うはずもなく為す術もなく抱きすくめられる。

 こいつゴリラかなんかじゃない?


「おっちゃん!これちょうだい!」


 私を捕まえたままラウムが店先のペンダントを拾い上げお金を払う。

 そのペンダントは私が買ったやつの色違いで、青ではなく白い石がはまったものだった。


「じゃあ君はこれね。つけてあげるよ」


 待て、ちょっと待てストップ。

 なんでわざわざお揃いのを買った?

 何がしたいんだ?


「ほらほら、大人しくあっち向いて」


 嫌だわ。

 断る。

 百歩譲ってそれ渡すのはいいとして何故付けようとする。


「む、いいからいいから」


 よくないです。

 私そういうペア的なのをスっとできるほど人に慣れてないんで。

 ニンゲン、コワイ。


「よーしよしわかった。素直になれー!」


 素直になった結果ですー!

 とか言えないまま肩を掴まれ、強引に後ろを振り向かされる。

 しくしく、乱暴なんて酷い……悲しいかな、力に差があるんだよね。

 力こそパワーってやつか。

 強くならねば……。


 なんて余計なことを考えて全力で意識を逸らす。

 じゃないとなんかこう、恥ずかしいし。


「はいっ、できた!」


 また肩を掴まれぐるっと元通りにされる。

 ゴリラには……適わなかったよ……。


「にひひ、おそろいだね」


 ラウムは無視してペンダントを持ち上げ眼前にかざす。

 よく見てなかったけど、この石なんかガラス質だな。

 なんだっけ、七宝焼き?

 なんかそんな感じっぽい。

 だとするとそこそこ安いみたいなのは納得かな。

 この世界だとどうかは知らんけども、あれってそこそこ手軽に出来るらしいからね。


「仲がいいのはいいんだけどよ、お前らそれの意味知ってんのか?」

「チッチッチッ、おっちゃんはそれだから奥さん貰えないんだよ。こういうのは意味とか由来よりも気持ちなの、気持ち」

「あっそ。そーかよ。俺は商人なんでな。人は信じなくても迷信は信じるんだよ」


 店主の言葉にラウムが勝手に私の気持ちを代弁してた。

 なに?

 この石なんか意味あるの?

 そう思ってまじまじと見ていたら、私がよく分かってないのに気づいたのかラウムに手を引かれた。


「こんな女心の分かってないおっちゃんはおいてさっさといこ! 今日はご飯奢るよ!」


 ヤッター!

 私焼き肉が食べたいです!

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