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勇者魔王の日常冒険譚  作者: ゆーひら
【魔王生誕祭編】
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30/122

26. それは勇者な誕生日③

久しぶりの更新。これからも不定期になるかもしれませんが、せいぜい頑張ります。

「……勇者、入っていい?」

 ドア越しに許可を求めるベゼルの声は、レイドにはどことなく元気が無いように聞こえた。


「……ああ、いいぞ」

 レイドは上半身を起こし、そう返答する。ベゼルから話しかけて来る事自体が珍しいので、素直に部屋にいれる事にしたようだ。


 ……しかしそれを聞いてすぐに入ってくるかと思いきや、中々入ってこない。疑問に思ったレイドだが、ドアを見てすぐに気がついた。


 どうやらドアノブが高い位置にある為、子供のベゼルには届かないようだ。


「ったく、世話の焼ける……」


 レイドはベッドから下りて、少々おぼつかない足取りでドアを開けた。


「あ……」

 ドアの向こうには、レイドの想像どおりというべきか、心配そうに彼を見上げるベゼルの姿があった。

「どうした、なんか用か?」

 相変わらずの言葉遣いだが、この前のようなトゲのある言い方ではなく、少し穏やかさも混ぜたような、そんな口調でベゼルと視線を合わせた。

「えっと、あの……」

 レイドの問いかけにベゼルは手をモジモジさせてうつむく。その挙動にはっとしたレイドは、何かに気が付いたのか、目を手で隠し上を見上げた。


______ベル様は……アナタが風邪を引いたのはご自身のせいだと思っているのよ_____


 先程のエリスの言葉を思い出す。ベゼルはレイドが心配で、一人でここまで来たのだ。


「…………」

 レイドは無言でベゼルの頭部に視線を戻す。


 思えば、ベゼルはいつも誰かと一緒にいた。いくら魔王といえど、まだ子供……。寂しがり屋なのだろう。側に誰かがいることが、ベゼルにとって何よりも安心できる薬なのだ。

 そんなベゼルがレイドの部屋まで一人で来たということは、エリスの言う通り、自分を責めている何よりの証ではないだろうか。……レイドはそんな風に考えていた。



______明日はベル様の誕生日______


______ベル様は今、元気をなくしているわ______



「むむ……むむむむ……」


 腕を組んで難しい顔をした後、レイドははぁーっとため息をついた。

 そのため息にベゼルはひょこっと顔を上げ、不思議そうにレイドを見上げる。レイドはいつものだるそうな顔に戻り、だるそうにベゼルに声をかけた。

「おいガキ、腹減ってるか?」

「え……」

 その問いかけにベゼルは首を横に振る。

「ううん。さっきエリスにお菓子貰ったから……」

「……じゃあ喉は乾いてるか?」

 この質問にはベゼルは頷いた。

「う、うん。少し……」

 それを確認すると、レイドは道をあけて部屋を指差して続けた。

「そうか。じゃあ上がっていけ。茶くらい出してやるから」

「え……」

 ベゼルの返答も待たずに、レイドは部屋の中へと戻って行く。それを見たベゼルも慌てて、彼の後ろについていった。

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