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第32話

マジックアイテムのガラスの盾を作ってもらえる事になった。

出来上がるまで何日かかかるそうだ。



朝、翌日の宿泊の手続きをしていたアラン。

1人の見知らぬ男が宿に入ってくるのに気がついた。


「ここに泊まりたいのだが。」

男がマリーに話しかける。


「では205号室で、よろしいですか?」

冒険税の支払証明書を確認し、鍵を渡すマリー。



アランは男をそっと観察する。


まだ初心者らしい装備で、ヒゲが生えていて額に傷があり、斧を持っていた。



じっと見ているアランに気がついた男。


「今日からここで世話になる。よろしくな!」


「あ、はい。よろしくお願い致します。」

慌てて返事をするアラン。



「俺様は、ジャン・マルガスだ!」


「アラン・ケタブリルです。」



2人が挨拶していると、ケイトが降りてきた。


「アラン!クエストに行こう!」


銀色の髪飾りがキラッとしている。



「おーう?女の子と一緒か、青春だな!ガーハッハッハ!」

ジャンがアランの肩をバシッと叩いて大笑いしている。


勘違いしているようだったが、気にしないで宿を出る事にした。






冒険者指名特別クエストの名簿を確認してから

掲示板のクエストを読んで丁度良いクエストを探す。


いつもと変わらないパターンだ。



「たまには、誰か他の人ともパーティ組んでみるのも良いと思うのですが。」

アランは、ケイトに言ってみた。


「気分転換も、いいかもねー。」

ケイトも、うなずいた。


2人はキョロキョロと周りを見ている。



遠くにロッキー・エフモンドが見えた。


「おーい、ロッ・・・。」

ケイトが声をかけようとしたが、その前にロッキーが叫んでいた。


「おいら、雷魔法使えるよ!!誰かモンスター探しに行こう!!」



皆が必要としている雷魔法。

雷魔法の需要が半端ないので、ロッキーの周りに人だかりが、すぐ出来た。



「大人気ですね、ロッキーさん。」


「今100ゴールド以上するよね、雷の魔法って。

 ロッキーって大金持ちなのかなー?」



レミ・ファとシド・ファが2人の横を通った。


「あ、待って下さい!」

すかさずアランが声をかける。






アランとケイトとレミとシドは、黄色の砂漠に居た。


「へ~、ケイトって植物に詳しいんだね~。」

シドがケイトとペチャクチャ喋りながら前を歩いている。


その後ろにレミとアラン。


「『黄色の砂漠に住む、デザートルを捕獲して下さい。

 1匹につき2ゴールド。』ですね。」

アランがクエストを広げて確認している。



「デザートルって何なんだろう!?気になるよね!」

レミが笑顔で言った。


「知らないで受注したんですか!?」

驚くアラン。



「えー、ボクわかんないよ?」

ケイトも立ち止まって振り返る。


「大丈夫だよ~。僕はわかるから~。」

シドがそう言ったので、また一同は歩き始めた。



4人は岩が多い場所に着いた。



「この辺りに居るんですか?」

アランがシドに聞く。


「うん、ここらへんに居ると思うよ~。」

そう言うと、岩陰を覗き込むシド。



「・・・何か、おびき出す物が欲しいね~。」

シドがレミに合図をする。



「はいはい、これで良い?」

カバンから細長く切ったニンジンを取り出すレミ。


「なぜ、ニンジンがカバンの中から出てくるのでしょうか・・・?」

ポカーンとなるアラン。


「ボクも気になる!」

ケイトが耳をピクッとさせる。


「あのね、レミはカピバラを飼ってるんだよ~。」

シドが岩陰に頭を突っ込んで言う。


「あ、そのカピバラの餌なんですね?」

アランが納得する。


「へー、名前は、なんていうの?」

ケイトがレミに尋ねる。


「ピーさん!」


「ピーっていうの?」


「いや、ピーさんってさんをつけるのが正しい呼び方なのよ♪」


「・・・・・・。」


「・・・・・・。」


「デザートルが出てきたよ~。よいしょっと。」


シドがデザートルを持ち上げる。

40センチくらいの亀だ。



「あー、砂漠の亀だからデザートルなんだね!よーし探すよ!」

ケイトが腕まくりして、別の岩に向かって走っていった。


「ちょっと、ケイト!ニンジン無くて大丈夫なの!?」

レミが慌てて追いかける。






アラン、ケイト、レミ、シドがそれぞれ1匹ずつデザートルを持って

乗り合い馬車に乗っている。


「なかなか重いですね。」

アランが腕をプルプルさせている。


「この亀達、誰かのペットになるのかな?」

ケイトはデザートルを撫でて言った。



「多分そうだね~、2ゴールドで買い取って

 5ゴールドくらいで売るんだと思うよ~。」

シドが言った。


「ペットショップって、売れさえすれば、かなり儲かりそうね!」

レミが言った。



「シドさん、動物に詳しいんですか?」

アランは聞いてみた。


「子供の頃、よく動物園に連れて行って貰ったんだ~。」


「レミも一緒じゃなかったの?」

今度はケイトが聞いた。


「わたしも動物は好きだけど、シドほど熱心に色々覚えたりはしないのよ。」


「そうなんですね。」



雑談していると、馬車が街に着いた。

4人は歩いて赤いレンガの小路までデザートルを運ぶ。






街中を歩きながら、ケイトは植物の豆知識を

シドは動物の豆知識を語り合っている。



特に話題もないので、黙って歩くレミとアラン。


「あ、そういえば。」

レミが口を開いた。


「なんですか?」


「ムーエ・カリナって子いるじゃない?」


「え、ベールをつけている方ですよね?」


「そうそう、その子。」


いたずらっぽく笑うレミ。



「正直言って、どう思ってるのアランは?」


「どう・・・思ってるのかですか??」

なぜそんな事を聞くのかと質問するアラン。


「ふーん、なるほど。そういう感じか・・・。」

黙って考え込むレミ。



「ムーエさんがどうかしたんですか?」


「いいや、何でもないのよ。気にしないで!」



レミは、小さく咳払いすると話題を変えた。


「アランは苦手な物ってあるの?」


「メロンが食べられないんです。」


「えー!?美味しいのに!?

 あ、この前ケイトが代わりに食べてたよね、そういえば。」



「じゃあ、好きな物は?」


「うーん、なんでしょう。本ですかね。」


「本って漫画とか?」


「いいえ、文章がしっかり書いてある物が好きです。」


「(実は本の虫なの!?)」






赤いレンガの小路で、この前アランとケイトがクエストに失敗した

オレンジ色のターバンを巻いた依頼人が待っていた。


「今日の仕事は良いですね。」

うんうんとうなずく依頼人。


「この前は、すみませんでした。

 あのドラゴンフルーツは、もしかして餌だったんですか?」

アランは聞いてみた。


「そう、足りないから時間制限つけて頼んだのに

 すぐ届かなくって参りましたよ。」


「そうだったんだ。ごめんなさい。」

ケイトがもう1度謝る。



「今日持ってきてくれたデザートルは目が輝いてる元気な子で非常に良いです。

 また機会があったら、よろしくお願いしますね。」



アラン、ケイト、レミ、シドの4人は揃ってお辞儀すると宿の方へ歩き出した。

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