EP96 生まれ落とされたる鬱
「試練として我は産まれた、我を倒してみろ」
幻滅の渦が形を成したそれは、理で自身より低位の全てのものが抗えない終焉を強制的に付与する、そのものの名はブァリ・アーティア・フロン、偏在する世界終焉の意志、天地万物の再誕と言う回帰をす。
「さぁ、我を、我を倒してみろ、人間」
「ぐ!?(俺以外のシャラカルの皆んななら、超えられた筈なのに!いやだ、負けたく無い!)」
それは人の皮を被った人型の怪物、本質はその肉には無い、対面した瞬間に分かる絶望感、写し上がるイメージは無数の観測者の顔だった、無作為にの視線を浴びて終焉に感染して、崩壊するのだ。
「クソが!終われ!早く終われ!」
終末は終わらない、伝染する終末現象の総称で有りフロンって実像な訳ではなく虚像、真理につけらられただけの空白で有りそれを触れる訳じゃない、意思や姿形を持たず、思考1つで地球上に折り畳まれてる複数の宇宙が滅びる。
言うなれば虚無主義そのものだ、今この瞬間にて、地球上に展開される多元宇宙全てに対して無意味、無価値であり、存在してること時点で飲み込まれる他に無い。
「俺は、俺は!」
何かを無価値や無意味と思うだけで支配下、虚無の道に足を踏み入れていることと成る、虚無が消えたら宇宙は消える、なぜならばそれは宇宙に存在する裏側で牽制し合って宇宙を構築しているからだ、つまり地球上の宇宙が存在可能な存在論的な原因そのものも一応担っている。
「それに加えて次元や概念を超えてやがる、宇宙に居るあれらは人影、つまり投影された低次な存在、哲学的思想そのものじゃないか」
鬱に陥った、その時点でフロンに存在価値の証明が出来ない、世界という覇道を、個人的な存在の求道が塗り替えられる、そんな事は成せなかった、そんな彼は心から渇望する。
「死にたくない!誰か助けてくれ!こんな情けない俺だがまだ守らなきゃならない人々が居るんだ!だから」
救いや助けを求めるもの達の救世主への意志や信仰心が集積する、蹴落とされたすべての人のそう言った涙が零れ落ちて善意が集まり、英雄の集合的無意識にエネルギーは伝達される。
「助けて、ヒーロー!」
その声はエネルギーを孕み始める。
「シュア!」
「あぁ、ヒーロー!ヒーローよ!」
救済思想と言うアイデアそのものが姿形、意志を持ち始めた、概念的存在が現実に顕現したのだ。
「なんだ貴様は?知識の樹から派遣された仲間か?ぐぁ!?」
ドガァーン!
「救いを求める声がした!我の名前はジャスティスター・ライト!」
集合的無意識を経由して人々の物理的・心理的な声が響いてくる、そんな時必ず正義の味方が現れる。
「我が崇高なる使命!任された試練の番人果たす為貴様を殺す!」
っとまずは手始めにライトは、すべての勝利すると言う未来に起こる事象、起こり得る事象、事象が起こる可能性、可能性に繋がる可能性、もはや自身という存在が勝ることそのものの概念などなど、諸々の勝利の運命を封印(否定)される、だが。
キーン!なんと!
「正義は、必ず勝つ!まだだ!まだ終わってない!この俺が勝利を掴み獲る、ただその時まで!決して俺は負けない!」
「なんだそれは!(相性が悪すぎる、まさか、否定や負け自体をエネルギーにして勝利に変換してるのか?事実上の絶対勝利じゃないか!)」
別の方法を模索せずして、論理的に不可能で有る自身の勝利と言う矛盾を押し通しやがったんだ!どれだけ不可能なことを矛盾を押し通せるかだ!それこそが強さだ!傲慢な強さの本質こそそれだ!世界線は自分自身が切り開くものなんだ!そう言わんばかりに口角を不気味なほど上げている。
「ならば更なる否定で貴様を排斥してやる」
「やれるものならやってみろ」
負けるライトなどライトじゃない、そんな偽物のライトとして否定が処理される、偽は真のヒーローには明らかに遥かに劣る劣化品、そんな劣化品ではどれだけ精巧に模造しようが2次創作なのだ。
「(真のヒーローを否定したか)」
「甘ぁい!」
偽物に変わる、届かない、如何なる否定もヒーローには届き得ない、繰り返し繰り返し、二人の時間は加速して、繰り返し繰り返し上昇して、繰り返し繰り返し偽物に変わっていく。
勝利不可能性に打つかる、物理的につまりは確率的不可能に、だが負けない、だがそんなの序章で有り100、つまり決定的に、論理的に勝てないって勝利不可能性に、だが負けない、形而下ではなく次はそんな表面下の姿形ではなく形而上、存在論的な意味が絡む程の勝利不可能性、そう言う勝利不可能性の階層的な濃度も、襲いくる縛り(否定)の量も増え続ける。
今の物理的、論理的なんて形而下は一層、存在論的な形而上は二層に過ぎずたった二層目ですら今現在進行形で助けてもらっている彼の理性もあらゆる言語も削ぎ落とされるレベルに見えた、語れないと言うことすら語れない。
彼から見ればその2度目の攻撃はただただ静寂であった、空虚なる静寂にその実在たる力が満ち満ちていた。
一層事に勝利の不可能性が無限に底上げされ続ける、そこから階層は更に3階、4階と形而下的な否定→形而上学的な否定→超形而上学的な否定→超々形而上学的な否定、、、って感じに上昇していく。
無限に先に進むとそれは万物の再帰も、回帰する虚無すらも既に超え意味を超え、沈黙は層を超えるごとに無限に巨大な沈黙に溶け込んで行く、だがその程度には終わらない、個々各自を浸透するではなく、区別無く徹底的なまでに統一的に一つとして纏めて壊し尽す、否定し、相手を前提すら網羅して非成立にし続け、滅尽と化し。
2度目に無限に、ω×3回、ω^2、無限を無限回も無限累乗、、、上限無く果てしなく続く合戦の果てに勝利を、その可能性も権限も掴み取ったのは、、、霧が晴れていく。
勝者が名乗りを上げた。
「私は正義の味方、ジャスティスター・ライトだぁ!哲学的思想、単一の概念!誰かは知らないが試練とやらを作るお前を作った設計者の一つの理論に過ぎない!」
彼はここ以外にも活躍する、その版図は地球全域に広がっている。
「お腹が空いたかい?ならばこのパンとチーズと干し肉をあげよう」
作り出した食事を与えて。
「私は正義の味方、ジャスティスター・ライト!人呼んで正義マン!只今見参!」
「出たなぁ正義マン!今日こそ倒してやる!」
「シュア!」
悪人を成敗する、彼は意識ありし場所すべてに偏在する、人々の頭に眠る潜在的なもの、移動して、悪を倒して、飛び立つ演出をして消滅、彼は人々に根付く助けてほしいって願望、渇望から具現化、その空間で正義マンが再構築、顕在するのだ。
何で彼はこんなに強いのか?その理由は彼がメタ的な領域ですらお墨付きを貰うほどの存在だからだ。
、、、。
始まりは人だった、アンチプロットアーマーとも呼ぶべきか、作者から嬲られ続け一切の庇護は無く運気が消滅させられ永遠に死に戻りする物語の中でただ生き続ける、だが彼は諦めなかった、そんなところで遂には作者にすら呆れ返り根負けして執筆を停止させる程の根性を見せつけたのだ。
結果として、作者により壊され続けた結果、情報や概念、いうならば量子レベルで遂には肉体は壊れた、だが彼は意志が強すぎたのだ、死なない、そしてこんな自分を増やしたくない、それが救済思想と言う理、そしてヒーローの集合的無意識、世界のルールの一部と成り、誕生したのだ。
正義マンと言うみんなからの通り名、ジャスティスター・ライトと言う自称をもつ彼のその真名、死に戻りの物語でつけられし名はファピュロス。
《弩弩弩弩級の弩根性》無限の物語の中で誰1人としてかの男の根性を圧し折るどころか擦り傷一つすら与えられ無かった、記述、執筆しないと言う選択肢に陥った時点で勝利が確定する、まさにアンチアンチプロットアーマーとでも呼ぶべき闘魂と精神性はそれがピッタリである。
その意志はいずれ物語を越えて、それを描くことがまず出来ない、描こうとしても捉えられず、また物語の囚人になることは無く、あらゆる檻や枷が奴を縛り付けるには脆すぎて、本は勝手に燃焼し、いずれは全ての本を収納する図書館ごと英雄譚を中心に全てに燃え広がるだろう。
、、、。
「俺ですら、、、まだ先が、見えない」
主役が必ず勝つポジティブな舞台、劇場に希望を満たす、舞台裏でプロットを動かす幕が落ちた後のフィクサーすら認識すらせずに。
「構築され足るは物語、君の努力も、一層のものに過ぎないとしたら、どうする?」
「何を言ってるんだ!」
「作家がさ、シナリオを組んで、プロットを動かして、設定を書き込んで、絵を描いて、、、君は思ったことは無いかな?君が乗り越えた筈の無限の作者達が、実は一層に収まる程に矮小な物語だとは」
「ガハ!」
ジャスティスターの心臓部に背後からペンが刺さる。
「なぜ!?意志力が、想像力が!復活しない、時間が巻き戻らない!視聴者の皆んな!俺に力を!いや、まだだ!僕は視聴者の記憶に残る限り、概念が、救いがある限り、絶対に死なな」
ガシ、ライトの首が締め上げられていく。
「いや〜君は素晴らしい物語をありがとうね、良い演技だった」
「うぇうぃうぁうぇー!!!(演技じゃねぇ!)」
「うんうん、君が乗り越えてきた全てが無駄だった、ただそれだけだってさ、物語の世界の層はね、分かりやすく言いたいな、君はさ、劇中劇って概念を知ってるかい?」
「けきちうげき?(劇中劇?)」
「そう、劇中劇、今の君らの段階でやっと目にし始めるだろうものさ、お話の中に無限にお話が存在する、そしてその本を読んであまつさえクレヨンでぐじゃぐじゃにしたり燃やしたりなんだって出来るペラペラのね、その1つ1つの中にもまた無限と話があってそれが永遠に繰り返しているんだ」
「、、、たから、なんだ!」
「君さは、たった一層目の再帰的に格納されてる世界に居る存在でしか無いんだよ、各層が同様に繰り返しコンパクトにして満ち満ちに詰め込んでるんだ、沢山の種類の本を見て楽しむためにね、本棚はいっぱいさ、永遠に層が連なる、それこそ無限、絶対無限と言う数すら超えてどこまでもね、数え切れないほどある一つ一つのそうでさえそのように内部に繰り返すような無限収納の一つ一つの中に無限収納が入りまたそのなか一つ一つの中に無限収納が集まりってね、まぁ詰まるところあんたは紙屑な訳」
パキン!バラバラ、、、。
「佳境を迎えての大団円、なんて素晴らしいんだ、本来の物語的運命はね、さぁてと、次はなんの本を読もうかな」




