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分は此方にあるよ

「……ハネ……。おい、ヨハネ……」

 遠くで私を呼ぶ声がする。耳に心地よく響く低いテノール。どうにも聞き覚えがあるのは気のせいだろうか。そのままその声を子守唄として、今度こそ心地の良い世界へ落ちようとした時だった。肩を掴まれて左右に揺さぶられる。私は鏡の国の女王じゃないっての。

「ヨハネ!!」

「んぅ……?」

 重たい瞼を無理矢理こじ開ける。目の前には般若顔の 。サラサラした黒の髪が今だけは逆だっていた。現状が理解出来なくて一度瞬きをする。

「『 んぅ……?』じゃねぇ」

 どうやら此処はよく利用する喫茶店のようだった。琥珀色のステンドグラスが、外からの眩い光を和らげて甘く床に落とす。柔らかい木製のテーブルの上には銅マグのアイス珈琲。うん。必須と言ってもいい物は全て揃っている。

 だが不要なものも。 は不機嫌さをあからさまに出した状態で、思い切りソファにふんぞり返った。行儀悪くテーブルに着いた肘を降ろし、脚を組んだ姿が本当にふてぶてしい。私がさせたのだけど。

「赤ん坊の頃から寝るのが大好きでね」

 私は悪夢からの焦りを誤魔化すように、肘を着いてすっと瞼を閉じた。鼓動が鳴り止まない。落ち着けるように、彼奴から貰った(?)ダボついた袖で口元を隠す。自分の匂いと の匂いが混ざって気分が平常化していく。また眠ってしまいそうだ。

そうね。ヨハネはそうだよね。

今も昔も、寝るのは大好きだと思います。


そんでもって、目の前でやってるから良いとは言えないと思います。

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