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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
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135 「根性がない」を笑い飛ばす2

 しかし、ひとびとの根性論への信奉は根強い。

 それは何故だろうか?

 その最たる理由は、子供のころの成功体験によるものだ。


 生まれてから、およそ10代で第二次性徴を終えるまで。

 あるいは、脳の成熟を考えたら20代でもまだまだ成長期と言えるだろう。

 自身の身体が大きくなっていく。脳はより複雑に発達していく。

 これは、成長期にあるというだけで、常に『余裕(スラック)』が湧いて出てくる、ということである。自分の器が大きくなれば、当然空きが生まれるわけだ。これは、自覚がなければ「ゆとり」にすぎないが、それでも(こじ)らせなければ、『余裕(スラック)』は『余裕(スラック)』である。そこそこの効果がある。

 つまり下手なやり方であっても、ある程度の結果は出てしまう。


 根性論をふりかざせば、当然ながら『余裕(スラック)』を失っていく。追い詰められていく。すると、何が起きるか? まずは視野が(せば)まる。おそらく、細かなミスは増える。だが、これはデメリットばかりではない。集中できるからだ。量をこなすべきとき。集中できるならそれは、紛れもないメリットである。夏休み最終日にあわてて宿題をやるようなものだ。

 つまり、『余裕(スラック)』を失ったデメリットよりも、集中によるメリットが上まわるかぎり、根性論は正しいように感じてしまうんだ。

 もちろん、根性論をふりかざし続ければ、集中力も続かなくなってくる。メリットもだんだんと減じてくる。それに、いつかは『余裕(スラック)』を失いすぎたデメリットがふくれあがるわけだ。はたしてそれで、いつまで誤魔化(ごまか)しきれるんだ?

 まして、社会人になり、成長期を完全に終えてしまったらどうなるか? 『余裕(スラック)』はおよそ意識的に手に入れなければならない。そこから先の成長には、戦略が必要だ。だというのに、無策のままに根性論をふりかざす? そりゃあ、潰れるよな。身がもつはずもない。


 空理空論(スラックマネジメント)を知った今なら、このように理解できる。

 根性論でなんとかなったのは、成長期にありがちな誤学習である。

 それはたんに、集中すると成果が出るよ、というだけのことだ。

 追い詰められたから集中できて、集中できたから上手くいった。

 だから、追い詰めれば上手くいく、と間違って学んでしまったんだね。

 追い詰められるだけが、集中する方法ではない。気が散るものを遠ざけるだけでも集中しやすくなるし、なんなら耳栓をするという手もある。良い耳栓でも買ったらいい。集中力なんて、金で買えるていどのものだ。追い詰められるだなんて危険(リスク)をおかさなくても、集中さえできれば結果は出せる。

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