110 「適性がない」を笑い飛ばす6
さて、ガチャを効率よく当てようと思ったら、効率よく引く必要がある。
1年に1回引くよりは、1ヶ月に1回。それより1週間に1回? 毎日? もっと?
ガチャにチャレンジしまくればいい。けれど、対価は時間だけかな? 私たちの精神的『余裕』はどうだろう?
ここで大事になるのは、ハズレを引いたときにストレスを感じないことだ。
「ダメかー……よし次!」という切り替えの早さが武器になる。
しかし、そうは言っても、すっかり気落ちしちゃう? それはどうしてだろう?
考えられるのは、うまく「きっかけ」ガチャを引けていない可能性だ。
種子をまくのではなく、よく分からないところで買ったひ弱な苗だとか、あるいは立派なところの果樹を丸ごと掘り返して移植して、なんてことをしてるのかもしれない。
コストを掛けた割に、日照や水質や土壌や季節が合わず、根付かなかった。もう嫌だ! となってしまうパターンだ。
原因は上手くいかなかったことではなく、割高なガチャに手を出したことだ。ガチャを引く回数を増やせなかったので、コストとリスクに振り回されて嫌になっている。
対策になるのは、稚気を愛することだ。心の少子化に負けないこと。
私たちの生きている現代社会は、VUCA時代……移り変わりが大きいうえに速く、確実なことが見当たらず、やたらと複雑極まりなく、はっきりした答えのない世の中と言われている。
過剰社会だ。私たちが抱え込んでいる問題が多すぎるうえに、そのどれもが主要なもの。
自分の人生のこと、家族関係、SNSのつながり、近所付き合い、級友や同僚などの人間関係、都市部の発展と地方の衰退、増税と通貨不安、収入の確保と金融危機、依存と自立、孤独と恋愛、地球温暖化、気候変動、食料とエネルギー、内乱と戦争、人工知能と人間の尊厳、歴史観の違い、世界観のズレ、価値観の不協和。
そのどれもが重大だ。忘れていたら、ひどい目に遭いそうだ。でも数が多すぎて、どれかはもう忘れてしまった。