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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
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101 「才能がない」を笑い飛ばす5

 自我が芽生える前の話は、どうしようもないことだ。

 そのどうしようもないことに固執(こしつ)すると、人生もまたどうしようもないものになる。

 日々をあがく上で、確かに「センス」に対して無策でいることは、枯渇(こかつ)をまねくのだろう。よくあるたとえとして、結果(とは)努力×才能(努力と才能のかけ算)だ、なんて話を聞く。それなりに分からないでもない話なんだけど、少しだけ深掘りしてみよう。

 この場合の才能とは、ご都合主義よろしく、入手経験値100倍! みたいな努力の効果を何十倍、何百倍とかけ算してくれるチートスキルを指すのだろうか?

 私や君という現象を、事細かにみてみたら、そのひとつひとつは何らかの仕組みに従っているはずだ。流石神(さすかみ)さんはえこひいきをしてくれないし、世界の外からファンタジックな干渉はされていない。現実的な保存則だ。


 であるのなら。才能というのは、努力を無駄にしない感性のことではないだろうか?

 たとえば、私は才能が0.0001(1万分の1)で、君の才能を0.01(100分の1)としよう。1万時間ほど努力したとする。


 私は「努力1万時間」×「才能0.0001」=「結果1」を得る。

 君は「努力1万時間」×「才能0.01」=「結果100」を得る。


 なるほど、君は天才だ! 私の100倍の才能を持ち、100倍の結果を出した!

 私はそんな君に負けてられないと、君のことを真剣に思い巡らせ、いつ、どこで、なにを、なんで、どうやって? 真似(まね)して、やってみて、結果をはかってみて、かえてみて、やり直して、何度も、何度でも。そうやっているうちに、いつの間にかちょっとは結果が出るようになってくる。

 努力を無駄にしない方法を学ぶ。そして、結果から逆算すると? いつの間にか私の才能が0.01近くまで上がるわけだ。

 なにかもうひとつ、アイディアがあれば、もっといい方法に気付けたら、君より才能を発揮することができるかもしれない。もちろん君だって、今の自分に慢心せず、もっと良いやり方を見つけている。けれど、どうだろう? 「努力を無駄にしない感性」、「センス」は絶対に、努力を増幅させるようなことはない。どれだけ工夫を凝らしても、努力×1を超えることは絶対にないわけだ。

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