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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
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84 デッドエンド回避~事故を防ぐ2

 また、逆に『余裕(スラック)』を欠いた運転として、あおり運転があるね。2020年に厳罰化され、ドライブレコーダーもずいぶん普及した。しかし、忘れたころにニュースでドラレコ画像が流れる。厳罰化以降、2022年頃には検挙数は半減以下になったが、翌23年は微増。はてさて、今後どうなるやら。空理空論(スラックマネジメント)ですこし考えてみよう。

 たとえば、あおり運転を、運転的『余裕(スラック)』の(こじ)らせパターンに当てはめる。

 運転的『余裕(スラック)』というのは、運転にまつわる空間的・時間的・心理的・感覚的・体力的『余裕(スラック)』などなどをひとまとめにしたものだ。長いのでまとめちゃおう。

 運転的『余裕(スラック)』の全体を想像してみよう。

 適度ならベテランだし、過剰であればもっと運転が上手くなれるチャンスをフイにしているということだ。

 じゃあ、不足するとどうなるだろう?

 ここで、「前のめり運転」というのを考えてみよう。

 前のめり運転とは、最もありふれた、下手な運転である。車間距離は必要最低限を割り込んでおり、前の車が急ブレーキを踏んだら高確率で事故(じこ)る。だが、自分は反射神経でなんとかなると信じている――わけでもなく、そもそもリスクを想像する『余裕(スラック)』すら持っていないだけだ。

 これが最もありふれる理由はなんだろうか? 「(なぜならば)」という数学記号がある。意味はどうでもよくて、文字の形に注目して欲しい。逆三角に並んだ点が、人の顔みたいに見えてこないか? このような並び方は、社会性を持たざるを得ない人間にとって、ついクセで注目してしまう配置になっている。

 ところで、車の後部はどんなデザインになっているか? 左右のバックランプとナンバープレートの位置関係を思い出して欲しい。まるで人の顔みたいなんて考えたことはないだろうか? 目の前にある人の顔みたいなデザインには、思わず注目しちゃうんだよ。

 だから、運転初心者がさして上手くなろうとせずに、無目的に淡々と運転を繰り返してしまった場合、知らず知らずのうちに前のめり運転がクセになってしまう。

 前のめり運転がクセになっていれば、運転的『余裕(スラック)』が不足しているのが当たり前になってしまう。すると、かろうじて信号を見落とさないのが精一杯。さして関係のない(と思い込んでいる)交通標識なんて気付くことすらできない。バックミラー? サイドミラー? 言い訳のようになんか調整してあればいいんでしょ? 調整なんてしばらくした覚えないけど、気にならないってか気にする『余裕(スラック)』がない。そんなことより前の車がスピードを出さないのが悪い。自分の車の速度計に目をやる『余裕(スラック)』なんてあるわけない。運転の最中によそ見とか馬鹿じゃないの? これでもまぁ、近場の運転なら何とかなるかもしれない。安全装置搭載の車もあるしね。でも、長距離運転はきつい。肩に力が入りすぎてるわ、緊張状態が解けないわで心理的・感覚的・体力的『余裕(スラック)』を早々に使い果たしてしまうので、1時間も運転したら疲れが急に押し寄せてくるだろう。こんな状態でいくら運転を繰り返したところで、運転はさして上手くならない。多少上手くなっていたとしても、疲労感によるマイナス分を差し引くとかえって下手になってるまである。


 運転的『余裕(スラック)』について一通り考えてみた。

 改めて、あおり運転ってなんだろうか?

 おそらくは、2パターンありそうだ。

 あふれる過剰な『余裕(スラック)』が、他者(ダレカ)の運転を指導してやろう、みたいな思いつきに変化する。善意の押しつけに夢中になり、そのまま(こじ)らせてあおり運転になるパターン。悪い運転をしてる奴をお仕置きしてやろう、なんてね。すっかり自分の方が悪い運転をしているんだけど、本人はまったく気付くことができない。背景(やみ)に隠れてしまうからね。

 または、不足した『余裕(スラック)』が視野を(せま)くしてしまい、苛立ちが最高潮に達した結果、ちょっとしたことでストレスを(こじ)らせて思わずあおり運転をしてしまうパターンだ。

 前者に関しては、すこしレアパターンかもしれないね。ながらスマホ運転とか、他への派生も多そうだから。

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