3. 猫耳美少女
俺は街を歩いて、宿屋を探す。
すると、女どもに囲まれている可愛い少女を見つけた。
あーやだやだ。いじめだろうか?
自分が同じ立場だったから、いじめられている奴がいると、助けたくなる。
「おいお前ら、何やってんだ?」
「チッ、邪魔が入った。じゃあね、またいじめてあげる」
俺と同じぐらいの背の女だった。
どこの国も、いじめがあることは変わらないようだ。
「大丈夫か、君」
「は、はい……」
泣いている。
――おいまて、この子人間じゃない。
猫耳と尻尾が付いてるんだが……。
目は青く、サラサラとした白髪だ。
亜人と言うやつだろうか?
ここら周辺の国では珍しいな。
それにびしょ濡れで服が少し透けてる。
さっきの女に掛けられたのだろう。可哀想に。
「お前の家はどこだ?」
「無いです」
家がないだって?
ホームレスって言うやつだろうか?
この子は一体どんな暮らしをしてるんだ。
「しょうがない。お前の分まで宿を借りてやるから、俺について来い」
「……はい」
頼むからその可愛らしい顔で、怯えながら下から俺を見つめないでくれ。
妹以外の女子、しかもここまでの美少女と話すのは初めてだ。
俺と同じ立場のやつであれば、誰でも緊張するだろう。
数分歩き、亜人の少女と一緒に宿屋に来た。
「一部屋で500ゴールドだよ」
「えっと二部屋で」
「ごめんだけど、今は一部屋しか空いてないんだ」
宿屋の、ばあさんは困った様子だ。
マジかよ勘弁してくれ。
この美少女と同じベッドで寝るなんて、気まずいにも程がある。
まぁ、でもしょうがないか。
「じゃあ、それで」
「201号室だよ」
俺らは部屋に向かった。
まずは、名前を聞くところから始めよう。
「それで、名前はなんて言うんだ?」
「ココです……」
「そうか、俺はレンだ。ごめんな一部屋しか取れなくて」
ココは首を振り。
少し恥ずかしそうにしながら言う。
「ひ、一部屋しか空いていなかったんですから、しょうがないですよ。助けてくれて、ありがとうございます」
こんな俺と泊まらせてしまったこと、
心から本当に申し訳ないと思っている。
「そういえば、ココちゃんの家族は?」
「呼び捨てでもいいですよ」
彼女の笑みがこぼれた。
え、ちょっと待って、めちゃくちゃ可愛いんだが。
「ココ、笑ったな」
「……見ないでください」
目を逸らし、猫耳がペコっとたれてしまった。
てかその耳触りてぇ。
すると、しばらく経ってから、ココが話し始めた。
「私の親は、つい最近に死んでしまいました」
じゃあこの子は今まで何を食べて生きてきたのだろう。
「ご飯はどうしてたんだ?まさか体で払うなんてしてないよな?!」
「そ、そそそそそんなことしません!私は処女です!変なことは一切してません!そんなことするぐらいだったら死んだ方がマシです!」
ココの顔が赤く染まる。
本当か?
と思ったが《真実の目》で処女と表情されているので、事実のようだ。
てかそんな情報表示しなくていいわ!
「……今から食べに行くぞ」
まさか食べていないなんて思ってもいなかった。
少しぐらい美味しいやつを食べさせてあげたい。
レストランに来た。
周りはすごく賑やかだ。
「ご注文を伺います」
「俺は一番安いヤツ、ココはなにがいい?」
「私も1番安いやつでお願いします」
「だめだ。お腹すいてるだろ?いっぱい食べろ」
すごく申し訳なさそうな顔をする。
「そんな顔するな。俺はやりたいから、やっているだけ。俺の事は気にするな」
それでもココは、一番安いヤツを頼もうとした。
どうすれば、好きな食べ物を頼むのだろう。
そこで、名案を思いついた。
「なぁ、お前が好きな食べ物を頼まないなら、こちょこちょしちゃうぞ?」
「そ、それは流石にいやです……でも、私のせいでレオさんのお金が減るのは……」
やっぱ、知らない男に触れられるのは嫌だよな。
可哀想だからやめておこう。
「はいはいわかったよ、じゃあ安いやつで」
「ありがとうございます」
雑談をしていると、やがてご飯がやってきた。
ココは目を輝かせる。
「遠慮せず食べな」
「はい!」
小さなひと口で、味わいながらどんどん食べている。
なんか小動物みたいだな。
さっそく、俺もいただくとしよう。
「……よければ、あの女のことを教えて欲しい」
「私をいじめていたあの人は、元々私の友達だったんです」
友達にあんなことするなんて、最悪なやつだな。
俺は許せない。
「私の親が仕事の疲労で死んでから、私のせいだと言い出すようになりました。それから毎日いじめられて」
「なるほど」
親というのは、父母どっちなのだろうか。
それとも両親とも疲労で死んだのか?
――この子の目は悲しみに満ちていた。
ご飯を食べ終わったあと、宿屋に戻っていた。
「俺床で寝るから、お前ベッドで寝な。おやすみー」
「ちょっと待ってください、それは申し訳ないです!ココが床で寝ます」
「……今、自分のこと名前で呼んだ?」
え、この子自分のこと名前で呼んだよね?
照れ始めて言い訳をしようとする。
残念だったな、俺には言い訳は効かない。
「忘れて……ください」
「いや、ごめん無理」
「えっ……」
そうして、結局2人でベッドに寝ることにした。
背中を向かい合わせてる。
この子は美女というより美少女。
そう、ロリだ。
だからだろうか、どうにかしてでも守ってやりたいって。そう思った。
「まだ、起きてますか?」
「ん、起きてるぞ」
なんだ、ココ起きていたのか。
「今日はありがとうございました。明日からは、もう大丈夫です」
「そうか、だがご飯はどうするつもりだ?」
しばらく彼女は考えたあと。
こう言った。
「私は大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「いや、何も大丈夫じゃないだろ」
まさか餓死するつもりなのだろうか?
そんなの放っておけるわけが無い。
「……とりあえず、今日は寝るぞ」
「わかりました。おやすみなさい」
次の日、ココが姿を消していた――
そっか、先にここを出たのか。
宿屋を出る準備をして、
最後に宿屋のおばさんに聞いた。
「昨日、俺と止まった亜人の少女は、もう出ていったか?」
「ずっとここにたっていたけど、見なかったよ」
嘘だろ?
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