1. 復讐を誓う
面白いと思ってもらえる作品を作っていきます。
これからどうぞよろしくお願いします!
俺には、親がいない。
聞くところによると、俺と妹を生んだ後すぐに俺ら捨てて何処かへ行ってしまったらしい。
「ゲホッ、ゲホッ……」
「おい、大丈夫か? フィナ!」
――フィナは難病だ。
伝染する病気では無い。
たが放って置くと、100%死んでしまうと、医師に告げられた。
どうしても治療をさせてあげたい。
だが俺の稼ぎではご飯代がやっとだ。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。私のことより学校に行ってきて」
「でもフィナがこんな辛そうなのに――」
「お兄ちゃんが学校行かないと、私元気でないよ~?」
「……わかった。行ってくる」
フィナは無理に、笑顔を作っている。
この国の学校を卒業すれば、働いた分の報酬の金額が何倍も上がる。
そのお金で絶対に、フィナを病から救ってみせる。
待っててくれ、フィナ。
神様は残酷だ。
こんな天使のような子に、厳しい試練を与えるなんて。
「はぁ、全然できない……」
――学校。2時間目、魔法実技練習。
この授業では、新しい魔法の習得を目的とした授業が学校の広い庭で行われる。
練習を全員でしばらくした後、先生がこんなにことを言い出した。
「さて、じゃあ今日習得してもらったCランク魔術を、一人づつ見せてもらう」
魔術は"Fランク"から"Sランク"まで存在する。
クラスの中心的人物が手をあげて、こう言った。
「俺からやらせてください。先生」
クラスの女子達がキャーキャー言い始める。
耳が痛いから辞めて欲しいものだ。
彼はイケメンで、トーク力もあり、
剣術も魔術もできる。
さぞかしモテるだろう。
だが俺は知ってるぞ、お前の女遊びが酷いことを。
彼は的に向かって、詠唱する。
「《エクスプローション》」
ピカン、と光った後、的は跡形もなくなる。
それを見て、歓声が湧く。
次々に、クラスメイトが魔法を使っていった。
みんな、目がとび出そうなぐらい、すごい威力だった。
それもそのはず、この学校は魔法を扱う学校の中でも世界二位と言われている。
「はい次、レンやってみろ」
俺の名前が呼ばれて、周りがニヤつき始める。
俺は的に向かって、手を伸ばす。
よし、やってやる。
「《エクスプローション》」
詠唱しても、魔法が発動しない――――
クラスメイトが大笑いする。
そう、俺は何をやってもダメダメな、この学校で最弱と呼ばれる人間だ。
「ハハハ。お前、こんな簡単な魔法すら使えねぇのかよ。見てるこっちが恥ずかしいわ」
たくさんの罵声を浴びせられる。
先生も、一緒に笑っていた。
何故、俺は皆より劣っている?――
授業が終わり、クラスメイトに学校の中でも目につかない場所に呼び出された。
俺は顔を蹴られる。
「うっ……」
「おい、お前早く退学しろよ。どうせ努力しても剣術も魔術も、ろくに使えねぇんだからよ」
「……俺は、卒業して……いい仕事に就くんだ!」
またもや蹴られる。
なんでコイツらは、俺を放っておいてくれないのだろうか?
「ハハハ、いい仕事? 身分が低いお前はこの学校を卒業してもいい仕事につけねぇし、誰も守れねぇよ」
「もう……やめてくれ……」
「身分が低いお前に指図されたくねぇんだよ!」
「グハッ」
集団で腹を殴られる。
何だこの馬鹿力。ゴリラかなんかか?
「じゃあな、また殴らせろよ。行くぞお前ら」
その仲間達は去っていく。
痣だらけになってしまった。
好き放題暴力を振りやがって。
クソ。クソ……。
昼休み。
みんな食堂へ楽しそうに行くが、俺は一人で魔法の勉強をしていた。
ご飯を食べてる時間が無いのも事実だが、そもそも家にお金が無いと言うのもまた事実だ。
俺はご飯なんか食べなくていい、
残りのお金で、フィナにお腹いっぱいになるまで食べてもらいたい。
するとガチャりと扉が開き、教室に先生が入ってきた。
「おいレオ、校長先生がお呼びだ。早く校長室へ」
「あ、はい」
何のようなのだろうか?
何か問題起こしたか、俺は今日の出来事を思い出す。
だが心当たりはなかった。
校長室。
「来たな、レオか」
「校長先生、どうされましたか」
すると、無表情で俺にこう告げた。
「一番低い身分の者を国から追放すると、先程この国の王が決定した。よって、お前を退学処分とする。以上」
――嘘だろ?
卒業まで、あと一年……。
あと一年で、フィナの難病を治せる金が手に入ったんだぞ?
「ちょっと待ってください校長先生!」
「話は以上といったはずだ。そもそもお前みたいな最弱で役に立たないやつを、卒業させるつもりはなかったんだよ」
先生は俺を思いっきり引きずり、校長室を出て、校門に向って歩きはじめる。
「やだ、なんでだよ!」
必死に抵抗するが、何も意味なんかない。
それを見た生徒たちは、俺を嘲笑う。
学校を退学させるだけでは無く、国から追放までされるのか?
もう、おしまいだ……。
「フィナ……ごめん……ごめん……」
「お兄ちゃんは何も悪くないよ」
俺は妹を抱え、この国を出ていた――
身分が低いというだけでこの仕打ちだ。
本当にこの国は腐ってる。
俺らは、どこにあるかもわからない、他の国に助けを求めることにした。
「フィナ、今日は何が食べたい?」
「私はもういいから、お兄ちゃんがいっぱい食べて」
「そんなこと言うな、今から魚とってくる」
「うん……わかった」
――だが旅の途中。
国の外へ出て体力が無くなったからか、
妹の病気は急速に進行した。
そしてある日、雨の中。樹の下で俺は、泣きながら言う。
「フィナ、お願いだ。俺を置いていかないでくれ」
「お兄ちゃん、私が死んでも私の分まで生きて。幸せになって」
息するだけでも苦痛のはずなのに、フィナは泣きながら微笑んでいた。
やめろ、やめてくれ神様。
妹を……どうか、助けてください。
「お兄ちゃんの妹で良かった。大好きだよ、お兄ちゃん。生まれ変わったら、お兄ちゃんと恋人になりたいな」
そう言い残して、フィナは死んだ。
俺は泣き叫び、妹を抱きしめる。
なんでフィナがこんな思いをしなければいけなかったんだ。
身分が低いせいか?
――――いや。俺が、何もできない弱者だったから、
妹を、守れなかったんだ。
クソ、クソクソクソクソクソ……ちくしょう!
雨の中、スライムに向かって短剣を振る。
だが全く当たらない。
「クソッ、なんで、なんでだよ!」
初めて見るスライムのスピードが想像以上に速すぎた。
数体のスライムからの攻撃に耐えながら、
半日ぐらい剣を振り続けて、やっと一体を倒せた。
「はぁ、はぁ……」
スライムがこんなに強いなんて知らなかった。
体の力が抜け、草むらに倒れる。
体力の限界が来たようだ。
「もう、ここで終わりなのか?」
俺はもうここで死ぬのだろうか?
短く辛い人生だった。フィナ……ごめんな。
俺は目を閉じる。
「……」
なんだ? 何か聞こえる
「き……」
誰かが喋ってるのか?
「ちゃ……き……」
うるさいなぁ、もう寝かしてくれよ。
「お兄ちゃん、生きて!」
妹との思い出が、フラッシュバックする。
……あぁ、意地でも生きてやる。
生きて、復讐してやる。
俺を酷い目に合わせてきたクラスメイトに、
フィナを苦しめたあの国に!
そしていつか……フィナを生き返す方法を探し出してやる。
俺はハッと目を覚ます。いつもより体が軽くなっていた。
そうして驚くべきことに、視界に謎のバーが映っていたのであった。
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