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93. 問題児は逃走する

本日より4章開始です。

「ふわぁ……ねっむ」

「顔を合わせて早々あくびってなによ」


「仕方ねえだろ、朝なんだから」

「はぁ……」


 昨日はあまり寝れなかった。

 騎士団からの逃走に証拠の隠滅、加えてテルラの応急処置。


 あとはアリシャと一緒に『ダアトの葉』の対処もした。

 まぁ結局、たどり着く前に持ち逃げされてしまったが。


 今日も居眠りで決まりだな。


「アリシャもサボるか?」

「いえ、わたくしは出席いたしますわ」


 いまだに休みゼロか。凄いな。

 もちろん見習う気はない。


「ロズウィリア、貴様……」

「ま、まぁまぁ! レイシスさんだってお疲れなんですよ!」

「でも逃げてただけでしょ? わたしたちなんか、四人も捕まえたっていうのに」


「おー、意外と頑張ったんだな」


 俺が校内で戦闘している間のこと。

 騎士団に保護されていたミーリヤたちは、自ら立候補して敵に立ち向かったそうだ。

 あとで父親もとい、騎士団長にこっぴどく叱られたらしいが。


「といっても、ほとんどライエンの指示通りに戦っただけなんだけど」

「騎士団の人間として、当然のことをしたまでだ」


 どうやら口だけじゃないらしく、本当にそう考えている顔だ。

 相変わらず真面目だな。やっぱり見習う気はない。


「というかレイの腕なら、一人ぐらい余裕で捕まえれたんじゃないの?」

「悪かったな、一人も捕まえれなくて」


 あいにくほとんど死んでしまった。


「ロズウィリア。まさかとは思うが、戦うことすら面倒になったのではないだろうな?」

「あのなぁお前ら、ただの学生に何を期待してるんだ」


 ミーリヤとフレイヤは団長の親族。

 ライエンに至ってはまだ正式じゃないとはいえ、一応騎士団関係者だ。


 対して俺に付けられた称号の数々。

 フレイヤに拾われたペット、ヒモ男、ゴミ、変な奴……。


 いや、もう止めておこう。

 周りに呼ばれている物を挙げただけだが、なんか少しムカついてきた。


 とにかく彼らは、俺とは地位も肩書も違う。


「一般人に戦えなんて無茶を言うな」


 ここはドラグシアじゃない。つまり俺の主張は間違っていない。

 だというのに。


「一般人……ねぇ?」

「ふむ」


 ミーリヤとライエンに睨まれていた。


「あれほどの戦闘技術を持っていて、その言い訳は苦しいと思わないか?」

「技術程度は練習でどうにかなる」

「でもレイシスさんって魔法も凄いですよね?」


 おいフレイヤ、余計な事を言うな。


「……無詠唱も練習で習得できる」

「いえ、わたしが言いたいのはそっちでは…………な、何でもないです!」


 察してくれたらしい。

 彼女は将来、いいお嫁さんになるだろう。


 なんて考えつつ彼女に笑顔を返していると、なぜかミーリヤにジト目を向けられた。


「レイとフレイヤ、最近やけに仲がいいわよね」

「別に前から変わらんと思うが」

「そ、そうですよ!」


 初めて会った時からフレイヤは優しかったからな。

 ライエンにも見習ってほしい所だ。


「一応言っておくが、睨まれたところでどうしようもないぞ」

「分かっている……」


 恋愛ってのは難儀なものだな。

 出来ればこれ以上巻き込まれたくない。


 その後も適当に話していると、いつの間にか校舎についていた。

 所々壊れているが、授業に支障は出ないレベルだ。


 どうせなら程よく壊した方が良かったかもしれない。

 いや、その場合は宿題が出るだろうし結局同じか。


「てことで俺は図書室に行く。アリシャ、ノート取りは任せた」

「了解ですわ」


 そう言って俺は彼女にノートを差し出す。

 だが突然、横から物凄い速度でかすめ取られた。


「は?」

「ロズウィリア……」


 ライエンは俺のノートを握りしめながら肩を震わせる。

 というか力を入れすぎだ。


「おいおい、俺の綺麗なノートにシワが入ったらどうすんだ」


 しかも新品同様なんだぞ。


「シワの一つぐらい、あって当然だと思うが?」

「んなわけないだろ。提出にしか使ってないんだから」

「そうか」


 グシャ。

 そんな音が小さく聞こえた。


「おい」

「すまない。ついやってしまった」


 絶対故意だ。十中八九わざとだ。


 まぁいい。


「とにかくそのノート、ちゃんと返しておけよ。アリシャに」

「貴様――」


 ライエンが説教を始めるよりも早く、俺はこの場から駆けだしていた。


 目指すは図書室、オアシスだ。

 迅速な行動あるのみ。これこそが戦略的撤退。


「ロズウィリアァアア――!」


 遠くから怒声が聞こえたが無視だ。

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