76. 問題児は優等生とやり合う 2
「レイシスさんっ!」
フレイヤが声を張り上げると同時、俺に向かって数発の《"弾丸射出"》が飛んでくる。
ミーリヤによる魔法だ。
ライエンと戦いながら回避動作に移るべきだろう。
そう考えていたのだが、フレイヤが放った《"天恵の石片"》が頬を掠めた。
「まさかな……」
瞬間、二つの魔法はぶつかり合い消滅する。
「ってまた!? あんた達、一体どんな練習をしてたのよ!?」
フレイヤにやり方を教えた覚えはないが、先ほど俺がやったことを反復した、という事なのだろうか。
ここまで来ると、彼女がどこまで真似出来るのか、ちょっと興味が湧いて来たな……。
「あーもう! そっちがそう来るなら――!」
次にミーリヤの魔法が飛んで行く先はフレイヤだ。
でもたった一発でどうする気だ?
少しライエンから意識を逸らした時だった。
彼はスキをつくように俺の剣を弾くと、大きく飛び退いた。
――なるほど、あの魔法はただの起点でしかないのか。
「――《"弾丸拡散"》!!」
彼女が最初に放った魔法がはじけ、周囲一体に飛び散っていく。
《"弾丸拡散"》は本来、手元に発生させた球体を利用する魔法だ
だがミーリヤは、その対象を《"弾丸射出"》に置き換えたらしい。
これなら離れた位置から、自由に攻撃の発生ポイントを作り出せる。
なかなか面白い使い方をするな。
そして狙いも上手い。
あの場所から拡散して行くとなると、俺の方に飛んでくる分はフレイヤじゃ防げない。
加えてこの距離では、先程のように《"フロスト・スピア"》で撃ち落とすのも間に合わない。
しかもミーリヤは俺に手の平を向け、さらに追加の魔弾を放とうとしている。
どうやらここで勝負を決める気らしい。
だとすれば……。
「――!」
俺は左手にもう一本、炎の剣を生成。
飛んでくる黒弾を躱し、避けきれない物は切り捨て――――。
それでもまだ足りなければ、逆立ちに近い体勢も織り交ぜ薙ぎ払っていく。
やがて……と言うほどの時間でもないな。
全ての攻撃を凌いだ俺は《"タービュランス"》で加速、ミーリヤの目の前まで迫りペンダントを叩き割った。
ペンダントには触れた魔法を、一瞬で無力化する特殊な魔法が掛けられている。
これは安全のために付与されているのだが、そのせいで俺の剣も消えてしまった。
が、まだ左手にはもう一本ある。
俺はさらに再加速。
ライエンも仕留めるため、彼の横を通り過ぎながら炎剣を振りかぶった。
だが……。
「くっ――!」
彼はバックステップで距離を取り、俺の攻撃を紙一重で避けたかと思えば。
続けざまに光の剣を放り投げ、逆に俺のペンダントを破壊してきた。
「おー、マジか」
正直言って驚いた。
慣れない戦い方をしていたとは言え、まさかカウンターを決められるとは。
「――第一節より引用!」
だがあれだけ無茶な姿勢で反撃したんだ。
「――《"天啓の石片"》!」
フレイヤの魔法を避ける余裕はないだろう。
こうして俺たちは予選を勝ち抜き、本戦への出場権を手に入れた。




