魔性の天使と愉快な仲間たち
朝食を食べ終えたステラとサミュエルは複雑に入り組んだ古城の中を歩いて教室へ入る。
「あ、エマーソン…お、おはよう」
「おはよう!」
「お、おはよう!エマーソン!」
「おはよう!」
歓迎会以来、クラスメイトたちとは打ち解け仲良くなった。…一部を除いて。
「…ねぇ、邪魔なんだけど。」
「…あ、ごめん。」
「チッ……サミュエル様〜っ♡」
エレンとその信者たちはステラに牙を向いている。しかし、ステラ本人にはイマイチ効いていないのか、ふつうにスルーされる。
「あっ、おはようアーサー!」
「ん。おはよう」
鍛錬を終えたアーサーとも合流し、ステラはご機嫌で席に着いた。
「〜♫」
「今日のステラらやけに機嫌いいな。何かあったのか?」
「…さあ?」
アーサーとサミュエルもステラについての話題のときだけよく話すようになった。
「ステラ、どうかしたのか?」
「んー?実はね、今日のランチが、オムライスだったの!」
「「………(か、可愛い…!)」」
ステラは食堂のご婦人方と仲良くしているらしく、今朝教室へ行く途中で偶然メニューを聞いたらしい。
「楽しみだなぁ…!」
(そういえば昔、兄さんとオムライス作ったなー…懐かしいや)
ステラは昔の思い出を脳裏に蘇らせて微笑んだ。
「あ、でも今日は午後から魔力測定があったよな」
「あー、そうだったな。…ステラ…お前、味わってるヒマねぇな」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
ステラは口を尖らせて机に突っ伏した。
そしてブロンドの髪をふるふると振って小さくため息をつき、潤んだ瞳で2人を見つめた。
「むーっ…残念だなぁ…」
「………あ、あぁ、そう、だな。」
「ざ、残念だったな。」
((…後でオムライスの食券買いに行こ…))
そう固く決意した2人だった。