第二章の六
「あ、歩くのが速すぎる(もう限界)」
「いや貴様、レベルいくつだよ。カンストしてるだろ貴様。だったら相応に身体能力……」
ん、待てよ。
今の私の体はフェブリのものである以上、レベルは当然かつての私のものではなく、フェブリのものが適応されている。
それは当然、身体能力も相応に低下しているという事だ。
ならば。
「どうしてレベルの低い私の方が、貴様より疲れていないんだ」
「…………」
「おい黙るな、貴様歩くのが面倒くさいだけだろ」
「……ピコピコ」
「おい、黙ってゲーム始めるな」
ったく。
本当に厄介な奴を仲間にしたものだ。
『でもまおう様、メル様はレベル的にこのパーティーの最高戦力なのですよ』
『貴様に言われなくても、そんな事はわかっている』
前方を歩くマプル達を追いかけながら、私は腕を組んでしばし思考に入る。
考えることは勿論一つだけ。
おそらく今もぴこぴこしながら、私の後ろを付いて来ているであろうメルの事。
こいつは確かにレベル的に見れば、かつての私に匹敵するレベルに達している。しかし、だからと言って、本当に最高戦力とみなしていいのだろうか。
なんせ覚えて居るスキルが殆どクソだ。
いや、言い直そう――すべてクソだ。
メルのスキルは全て戦闘では使い物にならない。
なので、通常のレベル100の冒険者と比べるのは無理だろう――と、これだけ言ったは言ったが。
『スキルはクソとはいえ、レベルを100まで上げ切った実力は本物だろうからな』
『そうなのですよ!』
何が楽しいのか嬉しいのか、相変わらず尻尾をふりふりピョンピョンと、心の中で跳ねているフェブリ。
『あいつが逸材なのは認める』
あれほどのレベルと、そこまでレベル上げた戦闘経験があるのならば、ここいらに出るドラゴンなどおそらく圧倒出来るだろう……出来るはずだ、出来て欲しい、出来ると信じたい。
脳裏に過るのはピコピコしながら寝転がっているメルの姿。
『本当に大丈夫か、心配すぎる』
『大丈夫なのですよ!』
よくそこまで信じられるな。
まぁ信じないと始まらないか……と、私が後ろに居るメルを振り返……振り返……。
「って、誰もいねぇええええええええええええええええええええ!?」
え、あいつマジ?
歩くの怠くて帰った感じ?
嘘だろおい。
「おい、お前さん達! ドラゴンだ、ドラゴンが出たぞ!」
「…………」
嘘だろ、おい。




