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職業【先導者】魔力の往来に会う

「その魔法使いはエレン! 素早い魔法が多い!」

「了解した! 私に効くかな!」


 フラムは飛び立つと、吹雪の中を駆け巡る。『魔族覇気』の影響でステータスが上昇しており、動きが素早い。

 エレンはそれを見透かしたように対応していく。


「稲妻よ、魔族の纏う闇の力を分散させよ! 『大雷魔線(スパークレイ)』」


 素早い紫紺の閃光がフラムの頬をかすめる。

 魔力が集中した線は肌に焼き付きダメージを与えるが、それで止まるフラムじゃない。


「その程度……っ!」

「『氷獄大(ギガブラスト)魔凍撃(・ブリザード)』」


 放たれた魔法は、フラムの眼前で弾ける。

 その魔法は上位魔法、抵抗できず翼が砕ける。


「カハッ……!」


 凍えたエネルギーが体を包み、フラムは地面へと着地してエレンを睨みつける。

 翼はまだ一対残っているため動ける。


「骨の折れる野郎だな」

「私の魔法を受けて命の尽きない魔族は初めて。深淵に送り返さなければ、いずれ天からの制裁を受けるわよ」

「なに言ってんだ、この程度で勝ちを確信するな」


 フラムは炎禽スパローの羽根を纏うと、体の氷を溶かしていく。

 その目は殺意に満ちており、エレンは固唾を飲む。

 これまでの緊迫は初めてである。フラムは早くカリナを助けたいが、魔力の圧に押し負けそうだ。


「炎禽スパロー召喚」


 辺りに召喚された鳥はエレンに羽根を飛ばす。

 羽根は勢いよく飛び出したが、凍える空間に炎がかき消される。少女に届く頃にはただの羽毛となっていた。


「その程度? 冥土の力を得て我が魔力に太刀打ちできないなんて、愚かなこと」

「なら倒してみろよ」

「えぇ、そうするわ。天の制裁よ、哀れな魔族を滅せよ……『大光魔珠(ルミナスシャード)』」


 光の珠が杖から発射される。淡い光を放つ球がフラムに触れる瞬間、フラムの頭に角が生えた。

 その角は光への耐性を持ち、魔力を吸収すると強く発光する。

 エレンは驚きを隠せない。


「し、鹿!?」


 刹那、エレンの体は蜘蛛の糸によって縛られる。糸は炎禽スパローから伸びていた。

 少女は杖を落とすと、糸を切ろうとして暴れる。フラムは笑って追撃する。糸はたちまち燃え上ると、少女の体を蝕んだ。


「ほら、魔法使えよ」

「くっ! なによクソ魔族! 早く解きなさいよ!」

「確か強い魔法は覚えるのが難しいから杖に覚えさせる、だっけなぁ。アントの野郎が言ってたなぁ」

「っっっ!! やめて!!」


 フラムは薄ら笑いを浮かべる。

 手斧を持つと、エレンの首にかけた。少女の鼻にかかる声を聞き、フラムは興奮する。


「や、やめてくだざい! お願い、おねがいだがら」

「あぁ、確かに愚かだなぁ」


 フラムの口角が徐々に上がる。

 その時、彼女の腕にパチンコの球が当たる。


「っ、あぁ!?」

「ごめんフラム! 避けて!!」


 フラムは直視するよりも早く、カリナを信じて体を後ろに動かす。

 そこには、大剣を振り下ろした銀髪の少女がいた。地面がえぐれて、砂埃が立ち込める。


「あの子はトト。二人に構われちゃって追えなかったよ、ごめん」

「カリナは悪くねぇ。それよりあの金髪、魔力の使いすぎだ」

「確かに、やるなら速攻だね」


 カリナは鑑定をしてエレンを見る。だいぶ無茶したのかMPが残り少ない。

 炎スライムを五匹召喚すると、自由に攻撃することを命令する。

 コロンが取り出したアイテムによってエレンが解放されていく。

 流れていた涙を拭き取り杖を握ると、二人を睨みつける。


「トト、ガチャを回すなら今よ」

「も、もう回してる。でもさっきから『C(コモン)』のアイテムしかでなくて……」


 空からアイテムが落ちてきている。

 カリナはそれを阻止するために走り出すと、フラムもそれに着いていく。

 炎スライムを集めて少年を囲うが、コロンは颯爽と飛び立つ。

 手元にはステッキを握っていた。


「『水打』! エレンも泣いてないで、トトを守って!」

「わかってる!!」


 水の魔法によってスライムが弱る。空高く浮かんだコロンを追いかけるために『空中歩行』で走る。

 刀を体に向けて打つが、今度は短剣に遮られた。

 武器を変えて戦うタイプだと理解すると、刀による連撃を行う。


「中々やるねっ!」

「当たると状態異常になるんだろ、俺には効かねぇぞ」


 コロンは素早く落下してカリナの連撃を受け止める。

 背後で雷が落ちる音がした。


「ハハッ! 焦ってんなぁ!」

「うるさい!! 『大雷魔線(スパークレイ)』」


 雷の閃光がフラムを襲うが、彼女は素早く避ける。

 フラムの斧がエレンを襲おうとした時、それは起きた。


「「――!!!」」


 流れ始めるBGM、カジノでジャックポットを当てた感覚。

 世界が夜に変わり、三人の少年達は集まる。

 二人は漠然とそれを見ている。


「引いたよ、『SSR』」


 カリナは鑑定でそれを見る。

 三人の体力と魔力が全回復する。

 トトの持つ剣がオーラを纏う、エレンの魔力が漲る、コロンが巨大な斧を構える。


「強くてニューゲームってか?」

「フラム、この子達は『エレメント』だ」

「ほう。知らねぇ名だが、一筋縄じゃなさそうだな」


 手斧を振ってフラムは意気揚々と応えた。

 彼らの勝負は、仕切り直しとなる。


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