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職業【遊び人】ギルドを作成する

「と、言う感じだ」

「「は?」」


 第四階層のいつもの座敷で、四人は話していた。

 内容は二週間後に行われるイベントの概要説明である。アントがログアウト中に内容をまとめてくれており、画面を見ながらツラツラと話していた。

 しかしレッカとフラムの頭には疑問符が浮かんでおり、話を終えた頃には二人の頭から煙が立ち上っていた。

 フラムに関して言えば、最後まで人の話を聞いたことすら偉いと思う。


「な、なぁカリナ……結局どういうことだ」

「うーん、まとめるね」


 カリナはアントの話してくれた内容を理解していたので、それを要約して話す。

 アントが悲しそうな表情をしており、心が傷んだ。

 今回行うイベントは『ランキング・ゼロ』という。プレイヤー同士で戦い、戦闘に勝利するとポイントを得られるイベントだ。


「勝てば勝つだけいいってことだな!」

「フラムって、やっぱり戦闘狂だよね!」

「違う、戦士だ!」


 カリナにとっては戦闘狂も戦士も変わらないので、なにが違うのか分からなかった。苦笑いをしつつ続ける。

 イベントではチームを組むことができて、チームのメンバーがプレイヤーを倒すと、少しだけボーナスポイントが貰える。

 チームのメンバーが増えれば増えるほど得だが、メンバーが5人以上であれば、ボーナスポイントが固定になる。


「ん? どういうことだ?」

「とにかくチームが多ければ多いほど得ってことね」

「チームメンバーが二人ならプラス五パー、三人ならプラス十パー。五人のプラス二十パーで頭打ちということだな」

「あー! 余計わからん!!」


 そして最終ポイントがより多い人がランキングの上位になる。

 一位から十位は特別なアイテムやスキルが、十一位から百位はそこそこのアイテムが、それより下は参加賞が貰える。


「特別なアイテムかぁ、なんだか気になるね」

「武器とかは欲しいな! 後は防具か?」

「装備は私が作れるよ! アイテムって言ったら超強力な素材とか特殊アイテムでしょ!!」


 レッカが目を光らせて話を聞いていた。

 ちなみに参加賞は『練達』というスキルが得られる。

 アントが言うにはそのスキルを取得しているプレイヤーはまだおらず、名前からスキルの概要が考察されてた。


「『練達』? カリナ知ってるか?」

「あー……」


 スキル欄を見ると、『練達』の名前は載っていた。取得した記憶は夢ではなかった、なんならこれを使ってお金を稼いだ記憶もある。

 これを持っていることがバレると都合が悪い気がして、カリナは知らないフリを突き通すことに決めたのだった。


「と、とりあえずはこんなところかな!? フェーズってのもあるみたいだけど、時間経過で勝手に開始されるから今はいいかも」

「俺はちゃんと説明したからな、絶対今後は教えてやらん」


 彼は不服そうな顔をして銃の点検を始めてしまった。レッカが平謝りしている。

 フラムは好奇心が抑えきれておらず、体が自然に揺れていた。


「チームで組んだほうがいいんだったよな! 四人で組むか?」

「ちなみにギルドを組むことも出来る。先にそっちを組んでおこう」

「あんたまた難しいこというな、ギルド?」


 ギルドとはイベントとは関係なく親しい仲間同士で組むチームであった。

 これに参加していればスキルやアイテムの交換が簡単に済む。


「フレンドリーファイアもオフになるから今後は気にせず攻撃が出来るな」

「ふれ……ファイヤ?」

「フレンドリーファイアね、仲間に攻撃が効かなくなるんだよ!」

「あー。それは大事だな、アントの銃がたまに当たって痛いんだよな」


 古傷を撫でて言う。

 銃弾を素肌で受け止めるやつがいるかとツッコミたくなったが、ここは我慢だ。


「ギルドは賛成だよ! 一旦は私たち四人で組もう?」

「いいのか? 俺なんて成り行きで参加しているようなもんだぞ」

「ややこしいことはいいんだよ! ほら、参加だ参加」


『参加』と念じると、目の前に小さな光が発し始めた。

 それを手のひらで受け止める。それは指輪だった。


「指輪、ギルドの証か!」

「可愛いね」


 指輪は金属でできており、四葉のクローバーの形をした模様の石が付いていた。

 それを右手の薬指にはめ込む。


「それで、ギルドの名前はどうするの!?」

「ギルドの名前?」

「そうだな! カリナが決めろよ!」


 フラムが悪い顔をする。カリナのネーミングセンスが独特であることを知っていて指名したのだ。

 当人は焦った様子で他の三人に目線を配るが、皆カリナの言葉を待っており逃げる隙などなかった。


「そうだね、僕達の特徴ってなにかあるかな」

「役職がちゃんと分かれてる事とかじゃねぇか?」

「『遊び人』とか言う、意味の分からない職業がいること」

「それって僕だけの特徴だよね……」

「それを言うなら私だって分からねぇだろ? 『先導者』って言われて分かんのか?」

「『錬金術師』も特別でしょ!!」

「いや、動画で散々見た」

「うぐっ」


 レッカが固まった。フラムが不思議そうな様子で体を揺さぶっている。

『分からない』『特別』そんなことを頭の中で浮かべていたカリナは、一つの名前を考えた。


「『アンノウン』なんてどう?」

「ほう、『アンノウン』か。それってなにもないとか、未知みたいな意味があっただろ?」

「うん! なんか五感が気持ちよくない? 言いやすいし」

「さすが! カリナのネーミングセンスはやっぱり終わってるな!!」

「どうせ記号だ、なんでもいい」

「いいじゃん! 『アンノウン』ってかっこよくない!! 『ふ、またアンノウンが暴れたか』的な?」

「『アンノウン、なかなかやるな』みたいな感じな!」


 レッカがカッコつけて発音する。それに便乗してフラムがふざけだす。

 気に入ってくれたのだろう、アントもそっぽを向いていたが尻尾は正直だ。

 それに二人も気づくと、アントの背中を叩く。


「あんたも仲間だ! なにするかは分からねぇが、とにかく頑張ろう!」

「どこまでも適当な奴だ」


 フラムは豪快に笑いつけた。

 こうしてギルド『アンノウン』は誕生したのだった。


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