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職業【先導者】スキルに適応する

「アント! 私を置いていったなぁ!!」


 フラムが到着した頃には、辺りは騒然としていた。

 森は焦げてなくなっており、地上には八つのクレーター。


「フラム、蝶を召喚して! 私飛べないから!!」

「分かった分かった」


 フラムは『統御生多相』で草色アゲハを召喚した。するとレッカも羽根を生やして飛び始める。

 フラムの背中に生えている翼だが、四枚に増えていた。翼の細部に血管のような管が浮き上がっており、わずかに光っている。

 魔人としての翼に草色アゲハの翼を『始原同一化』で重ねているため模様が変わっていたのだ。

 フラムとアントは魔法を相殺していく。


「なぁ、リーダーのニーナってやつはどうなったんだ」

「倒した」

「はぁ!? 私が殺すって言っただろ! それにそこにいるのはなんなんだよ」


 三人はフラムの指さした方を見る。その男は本を握ると、魔法を唱えている最中であった。

 息を呑む。しかしフラムは笑みを浮かべた。


「【神契り:天光大魔再生(リジェネレーション)】」

「そうか……『猫騙し』だな」

「なんだよ、生きてんじゃねぇか!」

「お前ら!! 他のやつも『固有級(ユニーク)』のスキルを持ってるぞ!!!」


 そこにはニーナが上位回復魔法を唱えていたところであった。

 破いた本のページを乱雑に捨てる。


「俺だってやりたくねぇんだよ」

「じゃあなんで私たちに喧嘩ふっかけてきたんだよ」

「この野次馬どもが俺をリーダーに仕立てやがったんだよ」

「お節介な奴らだぜ」


 フラムは鼻で笑うと、高度を下げてニーナに斬り掛かった。

 ニーナも剣を取り出すと、金属同士がぶつかり合う音が響く。


「ほらな、俺が作戦を立てる前に行動を始める。誰かあの魔族を止めてくれ」

「フラムは大丈夫なの? 私たちも行ったほうが……」

「大丈夫だよ、フラムは僕よりも感覚派だからね」

「どういうこと?」

「フラムに渡したスキルだよ」

「で、でも」

「あの翼を見れば分かるよ」


 レッカが焦る気持ちで武器を持つが、カリナがそれを制する。

 フラムは剣を壊そうとしていた。流石に手斧を二つも叩きつければ簡単な金属であれば壊れると思っていたのだ。

 しかし遠距離から魔法が放たれる。それを避けようと動くと、ニーナがその隙を狙って斬り掛かってくるのだ。


「あぁもう面倒くせぇ……翼は増やさないほうが良かったか?」


 フラムはニーナから距離をとると、手斧を一つしまった。そして魔法使いの方へと飛ぶ。

 魔法にしか頼れない相手だとしても、体力を一撃で奪うには多少時間がかかってしまう。指先から蜘蛛の糸を出すと、顔を蜘蛛の糸で拘束した。

 これで詠唱はできないだろう。

 そう安堵していると、左右から二人の剣士が襲いかかってきた。フラムを影にするように飛びかかって武器を振り下ろす。


「安易に飛ぶんじゃねぇぞ」


 フラムは腕をドロドロに溶かす。その直後、その腕は爆発を起こしたように破裂して、剣士を襲う。

 スライムは二人を覆う。透過して落下した二人だったが、麻痺で痺れて動けなくなっていた。


「あれはスライムの粘性とヘビの麻痺か」

「スライムって強いんだね、僕って使いこなせてなかったのか……」

「それよりも前! 来てるよ!!」


 アントは余裕で魔法を避ける。三人は依然として他のプレイヤーを倒していた。

 フラムは満足げにニヤける。


「ニーナは譲らせてもらうからな! てめぇらは他の雑魚でも倒しとけ!」

「そんな言い方はないでしょ!!」

「まぁまぁ、フラムはリアルでもあんな感じだから……」


 カリナは冷や汗を流した。

 フラムはニーナがそばまで近づいて来ているのが分かった。近くのプレイヤーを糸で巻き付けると、余裕の表情で持ち上げる。

 それをモーニングスターのように振り回す、大振りな動作のためニーナは素早く動くとフラムの懐に入った。

 しかしそれはフラムの予想通りである。


「しまった!」


 翼には羽根がびっしりと生えていた。その羽根は燃えており、フラムのそばを離れると、弾丸のようにニーナ目掛けて飛んでいく。

 フラムは飛び上がると、回復する隙を与えないよう追撃する。


「【紙一重】」

「くそっ!」


 しかしその突進は遮られる。

 フラムはバリアを破るが、ニーナは距離をとり回復していた。


「治癒魔法はいっちょ前じゃねぇか」

「当たり前だろう」


 ニーナの肌から傷がなくなっていた。

 しかしMPは減っているはずだ、このまま叩けば殺れる。


「レッカ!!」


 カリナの声に振り向くと、そこには翼に穴を開けたレッカが地面へと落ちていく最中であった。

 フラムはすぐにその場へと飛ぶと、レッカを抱きかかえる。


「どうした! なにがあった!」

「プレイヤーがどんどん増えてる、逃げよう」


 レッカが苦い顔をした。

 高度を上げて戦場を見ると、フラムは息を呑んだ。

 アントのそばへと近づく。


「なぁ、これ何人だ……」

「ざっと五十人、それ以上かもな」

「クソっ」

「レッカ、飛べるか」

「な、なんとかね……」

「俺のそばから離れるなよ」


 止まるたび防御が跳ね上がる仕様に、レッカは振り回されていた。

 アントに回復してもらえてなんとか生きているが、手の届かないところで攻撃されればカバーするのは難しい。

 レッカが空を飛び始めたので、フラムは安心して戦場へと戻る。

 彼女は眉をしかめる。自分が飛び出したせいだと、自責の念に駆られる。

 そばにカリナが駆け寄ってきた。


「レッカは? 大丈夫だった!?」

「大丈夫だ、『不落要塞』のおかげだな」

「なら良かった。フラム、行くよ!!」

「……あぁ!」


 そう言ってカリナの隣で走る。フラムはカリナから離れられなかった。

 味方を一人でも失えば負けである。もし負けるなら抗って負けたい。

 フラムは自分を責めていた。しかし、そんな状態でも遊び人は心を踊らせる。



 スキル取得

【空中歩行】



「あっ、飛べた!」

「はっ!?」


 カリナが空中を歩いていた。

 フラムが混乱しているのを無視して話し始める。


「さっきまでアントに捕まって空を歩くスキルをゲットできないか試してたんだよね! 上手くいったよ!!」


 頭を掻いて照れるように解説する彼女を見て、フラムは口を開けて驚いていた。

 しかしカリナの表情を見て自分の頬を叩く。なにをくよくよしていたのだろうか、せっかくカリナが背中を押してくれたのだ。今度は自分が押す番だろう。


「ほら、行くよ!!」

「もちろん! やるぞ、やるぞ私!!」


 カリナが空中を駆ける。

 それを越して、フラムが叫ぶ。


「道を開けろ!! 私は魔王だ!!!」


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