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職業【遊び人】作戦会議を行います

 第五階層、そこは海と島が永遠に広がるフィールドだった。

 二十四時間常に朝日が差すこの階層では、水棲族が地上のプレイヤーを睨んでいた。

 四人は島国に降り立つと、絶句する。

 それは島があまりにも少なく、今いる島でも直径が十メートルにも満たなかったからだ。


「アントもそろそろ飛ばないと駄目なんじゃないの?」

「うるせぇ、あんたもカリナの蝶が近くにいなけりゃ飛べないだろ」

「私だけかよ、ちゃんと飛んでるやつ」

「僕だって飛べるよ?」


 フラムが自慢するように翼を見せつける。

 しかしカリナだって飛べるのだ。そう思い空を歩き出すと、フラムは口をすぼめる。


「その飛び方は反則だろ!」

「そうだそうだー! 翼つかえー」

「飛べてるだけいいだろ」


 アントが寂しそうにそういう。

 初対面の頃は無表情な青年だと思っていたが今では彼の気持ちがよく分かる。

 カリナはダガーを指差す。


「ほら、僕の後ろを走ってきなよ、飛べるよ」

「あのなぁ……」


 レッカとフラムは腹を抱えて笑った。

 カリナもニヤニヤと笑うが、アントはそれを見て口角を上げた。


「まぁいいさ。あんたらだけで第五階層の探索が出来るっていうなら、俺は一人で第四階層でPvPの対策を練っとくよ」

「はぁ? あんたの手伝いなんてなくても出来るわ」

「待ってフラム、この階層って海の階層だよね。泳げなきゃ探索できないってこと?」

「アントは泳げんのかよ」

「あぁ、もちろん」


 彼は巨狼を召喚すると、それを纏った。

 頭が巨狼と重なっており、呼吸という概念がなくなっているようだ。


「そ、そうか……海だもんな、泳げないとだよな。余裕だよなカリナ?」

「僕は『無呼吸耐性』があるから行けるけど、二人が無理なら辞めておこ。これまでの階層で一旦PvPの対策を練ろうよ」

「カリナにさんせ―」

「ま、待て! そしたらアントの言いなりになるっていうのかよ!」

「行きたいなら勝手に行け」

「ちっ、分かったよ」


 第四階層へと『常連』で向かう。

 町へとつくと、一度集まったことのある座敷へと向かった。


「でも、PvP対策ってなにするんだ?」

「カリナの『固有級』のスキルを奪われないようにするためには、だな」

「たしか戦って負けたら奪われるんだよね」

「戦うことを拒否するってのは無理なのかよ」

「無理だ。逃げることは出来るが、戦いに負ければ後は神様の言うとおりだな」


 どうやらPvPでは同意がいるタイプと要らないタイプの二つがあるようだ。

 決闘か奇襲と捉えるのが正しい。決闘では互いの同意が成り立った後に戦闘が行われるようだ。もちろん報酬の譲渡も行われる。

 奇襲では同意の必要がない。


「でもペナルティがあるんだよね!」

「あぁ、そのプレイヤーの名前が大々的に開示される。あと、一定期間どのような手を使ってもスキルやアイテムがゲットできなくなるんだ」

「相当重いバツだな、それなら気にしなくてもいいんじゃねぇか?」

「そう思うか? あんたはカリナのスキルを手に入れるのと、一定期間スキルを得られなくなるなら、どっちをとる?」

「うーん……確かに一定期間スキルを得られないだけなら、確実に強いスキルを狙うか」


 彼女からすればスキルはあくまで補助なのだ。

 基本『技』を使って戦う彼女のような戦士は、スキルをメインに使う戦い方をしない。そのようなプレイヤーからすれば、カリナの戦闘を補助する強大なスキルは喉から手が出るほど欲しい代物であった。

 戦士以外も同じだ。例えばモンスターを召喚して素材を集めたり、瞬間移動を駆使して相手の背後を取ったり出来るのだ。必要ないわけがない。


「まぁカリナが赤の他人であれば、だけどな!」

「びっくりしたよ、僕仲間に裏切られるのは嫌だよ?」

「当然だ。だからこそ対策を練らねばならない」

「でもほんとに必要? 他のプレイヤーに顔がバレてなきゃよくない?」

「他のプレイヤー……」


 レッカのその言葉に思考を凝らす。

 浮かんできたのはサリアだった。彼女も同じことを考えたようで、気がついた様子で否定する。


「いや、顔バレてるね……」

「ん? そうなのか、しかし対策といってもなぁ」

「とりあえず体力は増やしておくべきだろう、今の遊び人の唯一の欠点だ」

「私と一緒にゲット出来るか試して見ようよ! ついでに武器がもうちょっとでできそうだから手伝ってね」


 レッカはウインクをする。そういえば、今装備している鉄の剣は仮の武器だったのだ。

 フラムはうーんとうなっていたが、直後に目を見開いて興奮した様子で話し出す。


「あー!! いいアイデアを思いついたぜ!」

「ほんと? フラムのアイデアってなんだか怖いんだけど」

「いいじゃんカリナ! で、なになに?」

「この作戦はカリナが重要なんだけどな?」


 顔を近づけると、小声で話し始める。皆が耳を立ててそれを聞いていた。

 内容を聞いたレッカとアントは眉を潜めて唸る。しかしカリナは意外にも乗り気であった。


「いいねその作戦! それなら僕も安心だよ」

「ほ、本当か遊び人……」

「PvP開始っていつからだっけ?」

「二日後の夜中十二時だ」

「なるほどね! カリナがいいって言うならやってみようよ!」

「そうだろレッカ!! どうせカリナが狙われるのは始めだけだ! それが過ぎれば無問題よ」

「……」


 アントは決断ができなかった。

 しかし四人中三人が賛成と唱えているので抗う余地などなかった。

 そして時間は過ぎていく。PvPの実装が報告されると共に、彼らは動き始めるのだった。


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