職業【遊び人】初バトルに苦戦します
結果から言うと、既に5回死んでいた。
スキル獲得
【素寒貧】【物理耐性】
さっきからスキル取得の音が脳内に鳴り響いて集中できていなかった。なぜ一匹しかいないモンスターに、それも最弱のスライムにやられなきゃならないのか分からない。
ともかくこれで最後の一撃! 彼女は拳をスライムに叩きつけようとして――
「しまったっ!」
スライムがおもむろに体を横に逸らせた。
彼女の拳はスピードを緩めることはない。勢いのまま体が倒れて無防備となった彼女のその隙を、スライムが着実にダメージを与えてきた。
体力が尽き、体が動かなくなる。六度目の死亡演出だ。世界が暗転して神聖な音楽が流れる。
【リスポーン】
心の中でYesと唱えると視界が開ける。
リスポーンの度に太陽光が目を刺激する。高原の匂いが鼻の奥をくすぐり心が安らぐ。妙なところこだわらなくて良いのだとため息をつく。
スキル獲得
【七転び八起き】
いや、おかしいよ、まだ六回しか倒れてないではないか。随分取得が早いのではないかと頭をひねると同時に、遊び人のスキルについて思い出した。
『スキルが得やすくなる』
そういうこと? 彼女はスライムを蹴るとやっとのことでスライムの討伐が完了した。どうやらプレイヤーが死んでもモンスターの体力は引き継がれるらしい。それもまぁフィールドの敵かつリスポーンポイントが近かったからだろう。これがダンジョンならこんなにも都合よくは行ってなかっただろう。
「六回もやられてるし、都合よくは無いんだけどね……」
彼女は不満で鼻を鳴らす。現実世界ではスポーツだってやってたし、運動神経も悪くないと自称していた。しかしゲームの中ではリアルよりも動きずらかった。おそらくステータスが運動神経に直接関係しているのだろう。今回の場合だと素早さだろうか? 素早さが1だとこんなにも不甲斐ないのかと頭を抱えた。
しかしこの戦いで何度かスキルを取得していた気がする。ステータス画面を開くと、案の定この一瞬で変化が起きていた。
【ステータス】
カリナ
Lv.2
スキル
【素寒貧】【物理耐性】【七転び八起き】
「三つもゲットしてる……これって多い方だよね?」
遊び人の説明通り、レベルは上がったが基礎ポイントは増えていなかった。これは説明通りのようだ。
次に取得したスキルを確認する。「素寒貧」は装備をしていないと攻撃力が上がるらしい。「物理耐性」はそのままの意味だ、物理攻撃への耐性を得た。しかしこうも簡単に取得できるのであれば効果のほどは期待できないだろう。
しかし「七転び八起き」となどんな効果があるのだろうか? 名前では効果がよく分からない。そう思いスキル欄にあるスキル名をタップしてみた。
スキル
【七転び八起き】
攻撃を受ける度に攻撃力上昇
「おぉ! これはなかなかいいんじゃないかな」
攻撃力が圧倒的に不足していた彼女にとってはありがたい効果だ。しかし攻撃が当たらなければ意味がない事が今回の戦闘で理解した。
どんだけ攻撃力を上げたとて、素手での成長には限度があるだろうし、スキルを取得しまくっても、攻撃が当たらなければ意味がない。
「辛くて長い戦いが始まるね……!」
表面上はめんどくさいと思っていたが、心の底ではこのゲームのできることの多さに感動していた。
このままスライムと戦っていても何も始まらない。
とにかく町へ行って、遊び人でも持てる装備を得ようと考えたのだった。




