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メイド喫茶で働いていたクラスの可愛い雪田さん  作者: 絶対人生負け組


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22/40

22〜気持ちの告白〜

 〇side雪田〇




 日が落ち始め、家族連れなどが帰り始め段々と人が少なくなっていく。そろそろ中川くんのバイトも終わるだろうと思い、告白するために海の家に呼びに行った。




「すみません、って雪田さん?ごめん、もう今日は終わりだけど何か買いに来たの?」


「あぁいや、そのそろそろバイト終わる頃かなって見に来てみたの」


「え?そうなんだ?」



 やばい、告白するって決めたけど中川くんの顔見るだけで凄いドキドキする。まともに顔見れない……。



 チラッと見ると中川くんは困った表情を浮かべていた。



「あ、あの話があるから少しいいかな?」


「あー、ちょっと待ってて」



 そう言うと中川くんは作業を中断して奥の店長さんか誰かに声を掛けに言った。




「ふぅ……」



 中川くんの事が好きだと自覚し始めた途端に話すだけでも緊張するようになってしまった。


 不安から胸に手を当て深呼吸して速まる心臓の音を鎮めようとする。


 中川くんから変に思われてないか心配になって落ち着かない。メイド喫茶で働き始めた頃を思い出す。




「お待たせ少しなら大丈夫」


「あ、ありがと」


「それで話って?」


「えっと……ちょっと歩きながら話さない?」



 私は流石にこの場所ではお店の人もいるし気まずいので場所を変えることにした。それにまだ上手く話せないし。



「わかった」




 私達は夕陽に照らされ赤く光る海を眺めながら砂浜をゆっくりと歩く。



「バイトどう?」


「んー思ったより大変で、雪田さんはこれよりもっと大変な事してんだなって。改めて思わされた」


「そ、そっか。やっぱり接客業って大変だよね。変なお客さんとかたまにいるし」



 褒められて少し嬉しい。声がワントーン高くなってしまったけど変に思われてないといいな。



「俺はまだそんな人に遭遇してないけど、やっぱりいるんだ?」


「うんいるよー、連絡先聞かれたりセクハラされそうになったり沢山頼んだからチェキは無料にしてくれとかほんと色々」



「あー、思い出したら俺もやっぱさっき変な人に絡まれたな」


「え?!そうなの?大丈夫だった?」


「ん?あぁ」


 心配すると中川君はニヤっと片方の口角を上げて「俺の事お持ち帰りでとか言ってくる誰かさんの友達」とからかうように私の顔を覗き込んできた。


「里英のことかいっ!!」



 ドキッとしながらもツッコミを入れ、いつもの私達の会話を出来ていることに嬉しさを覚えた。



 二人の笑い声は風に乗って海に消えていく。ひぐらしの鳴き声が、さざ波の音が、人の談笑の声が、妙に大きく聞こえる。



「綺麗だね」



 私は立ち止まり、海の方を眺めながら自然とそんなことを呟いていた。



「そうだね」



 中川くんが隣に立ち止まり同じように海を眺める。その姿に見惚れていると視線を感じたのか目が合ってしまった。



「ん?」



 中川くんはどうしたの?と言うように小首をかしげながらフッと笑いかける。



 もう中川くんの一挙手一投足全てにドキッとして心臓はずっと早いままだ。



「今日楽しかった?」


「うん、楽しかったよ」


「そっかよかったね」



 そういう中川くんの声はどこか寂しげで不機嫌な子供の様な感じだった。


「どんだけ嫉妬してるのもう。また遊ぼうね?」


「いいの?俺なんかと遊んでもそんなに楽しくないでしょ。……俺もあんな風に陽キャだったらあの中に混ざれて遊べたのかな」


「でもきっとそんな中川くんだったらメイド喫茶に行ってないだろうし私達がこうやって話す事も仲良く二人で遊びに行く事もなかったと思うよ」



 今日は珍しく悲観的な気がするけど何かあったのかな。それとも私が他の男の子と遊んでいたのがそんなにショックだったとか……?それは流石に自意識過剰過ぎるよね。



「あぁ、確かに?雪田さんがいいならまた誘ってもいい?」


「だから言ってんじゃん。また遊ぼうって」


「よっしゃ」



 少し元気を取り戻したみたいでよかった。いつも元気で変態でからかったりしてくるけど中川くんも一人の人間なんだなと親近感が湧いた。まぁ変人なのには変わりないけど。




 二人の間に少しの沈黙が流れる。けれど不思議と嫌な気持ちにならないし気まずくない。お互いに今、景色を楽しんでいる。



 私は大きな夕陽を、遠くまで広がる海を見て勇気を貰う。拳を握りしめ中川くんの方に向き直り口を開く。



「あ……あのさ……」



 自分で思ったよりも緊張して、口が乾燥して声が掠れた。



「あ、あのね……わ、私……」



 怖い、怖い、怖い。振られたくない。今までの関係が壊れるかもしれない。そんなの嫌だ。ずっと今まで通り楽しく笑い合いたい。



 振られた時の事を想像すると恐怖の感情が再び襲ってくる。自分の気持ちを本人に伝える事、「好き」と言うたった二文字も伝える事がこんなにも難しい事なんて思いもしなった。



 言葉に詰まる。喉が締め付けられ次の言葉が口から出ない。

  私が言葉を発せないでいると突然中川くんが口を開いた。



「あ、ごめんそろそろ戻んないとだから。またね。暇な日誘うわ!」



 中川くんはケロッとそう言い残すと海の家の方に小走りに向かう。


「っ待って!」


  そう咄嗟に言葉を発しながら手を伸ばすが、掠れた声で中川くんには届かず、手も虚しく空を切る。




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