20〜罰ゲームの定番〜
ご飯を食べ終わった後は、少しのんびりと過ごしてある程度お腹の中の消化が済んでから遊ぶことに。
男子達は一足先に海に飛び込んでいった。元気が有り余ってるみたいで凄い。
残った私達三人。すると里英が何か思いついたらしく口を開く。
「砂山崩しゲームしない?」
「それって真ん中に枝置いてそれ倒した人が負けなやつだよね」
「そうそう」
「なんでまた突然……?」
「んじゃ、負けた人は罰ゲームってことで!」
「ほう、いいじゃん面白い。その罰ゲームは?」
「負けた人に合わせて考える。事前に考えた奴だとその人にとっては罰じゃなかったりするからね~」
紗季も意外と乗り気だ。ここで嫌がって折角の雰囲気が台無しになるのも嫌だったので仕方なくすることに。
まぁ二人なら雰囲気悪くはならないだろうけど。そんな浅い仲じゃないし。それに少し罰ゲームも楽しみでもあった。自分で受けるのも紗季か里英が受けても誰が受けても面白そう。なんか青春って感じでワクワクする。
「よーしやるよー!」
そう言って三人でまぁまぁ大きな山を作り、適当に落ちてた枝を拾って真ん中に刺して完成。
ジャンケンをして順番を決める。
私→紗季→里英の順番になった。
「じゃあ最初だしこのくらい?」
「早く終わってもつまんないしね~」
何気にやるのは初めてで罰ゲーム付きともなると少し緊張する。
「瑠奈、こんな所で偶然中川と会うって凄いよね」
「それなーもうこれは運命と言ってもいいと里英ちゃんは思います!っておぉい!紗季それ取り過ぎじゃい!」
中川くんの事を聞かれ動揺するが、紗季の行動に里英が流れる様なツッコミを入れ笑いが起こる。
「んで、結局の所中川の事どう思ってるの?」
「好きなのか?」
話が流れたかと思ったが、二人は真剣な眼差しで前のめりに聞いてくるのに気圧され言葉に詰まった。
「…………」
自分の気持ちを誰かに言うのは怖いもので勇気がいる。静寂を打ち破るのが少し恥ずかしくて、二人から目を逸らしながら口を開く。
「正直な所よくわかんない……けど」
「けど……?」
紗季が急かすように、でも優しい声音で聞いてくる。
「嫌いではないし一緒にいて楽しいとは思う」
二人の反応が無く不安になった私は恐る恐る視線を戻すと目を瞑って胸を抑えていた。
「「はよ結婚しろ」」
「何でそうなるの?!」
好きとか一言も言ってないのに何で結婚になるのか分からない。ていうかまだ付き合ってもないんだけど?!飛躍しすぎでしょ。
「はいはい、次里英の番だよ」
「はいはーい」
「さっき紗季に取り過ぎって言ったのに自分もめっちゃ取るじゃん……」
「さぁここからだ。次瑠奈だぞ」
紗季と里英が滅茶苦茶山を削ったせいでもう殆ど取るところが残っておらず、少し間違えれば枝が倒れてしまうくらいだった。
負けたくないので少しだけ取って紗季に順番を回す。
「堅実だな」
紗季はそう言うと私よりも少し多めに山を削った。
「なっ?!紗季、お主やりおるな」
里英は一体何目線なんだよ……。
「とりゃぁぁ!!」
「「おぉぉ……」」
もういつ枝が倒れてもおかしくない状況で里英は倒す事なく順番を終えた。
そして私の番がやってくる。
これ……やんなくても分かる。私の負けだと。もうこれ以上やったら絶対倒れるって本能で分かる。
何か奇跡でも起きない限り無理だ。風だって吹いているんだから。
「こ、これ三回勝負にしない?」
「だ、め」
「男に二言はない」
「男じゃないでしょ?!」
里英はあざとく小悪魔系になるし紗季に至っては何故か男になってる。意味が分からん。
「はぁ……」
結果は分かり切っているけど、何か起これ~!!
「あ……」
「はい瑠奈ちの負け~!!いえぇい!!」
「罰ゲーム何にしようか」
やはり予想通りに少し触っただけで枝が悲しくも倒れてしまった。
「煽んなぁ!」
こんな事でも負けは負けだし少し悔しい。
「まぁ罰ゲームはアレしかないよね」
「アレって……まさかアレか?」
二人は顔を見合わせてニヤニヤしている。なんか嫌な予感がする。罰ゲームだから嫌な予感しかしないけど。
「待ってあれって何?」
二人がアレだけで通じる罰ゲームってなんだ?私の罰ゲーム、罰ゲームの定番。さっきまでの話の流れから考えて私もその答えにたどり着いた。
「ずばり」
「告白」
「ですよねぇ……」
二人の息の合った言葉に予想通りだったと苦笑する。
「実際好きなんでしょ?」
「よくわかんない。けど一緒にいて楽しいしもっと知りたいって思う」
「それが恋だ……多分」
紗季もよくわかってないんかいと心の中で一人ツッコミを入れつつ考える。
「別にそんなに重く考えなくても取り敢えず付き合ってみるってのもありだと思うよ。経験として。なんか違うなって思ったら別れればいいと思うし」
「なるほど、流石は里英だな」
「分かった、ちょっと怖いけど。それにOKしてくれる可能性があるかわかんないけど罰ゲームだし告白するよ」
怖いのも本当。この気持ちを中川くんに伝えてしまったら今までの関係が全てなくなってしまうかもしれない。でももし付き合えたなら嬉しいし色んな事をしたい。
罰ゲームという理由を無理やり作って私に機会をくれた二人には感謝しないと。多分私は一生この気持ちから目を逸らして逃げ続けていたと思う。
もしかしたら里英はそんな私を理解して背中を押してくれてるのかも。紗季に関しては多分ノリだろうけど。
「頑張って」
「応援してるぞ」
「ありがと」
私は海の家で今も頑張ってバイトしている中川くんを遠目に見ながら、二人の声援を受け覚悟を決めた。




