第五話 同行
し、死神...?
な、なんで急に十大神の死神のことを俺に聞いてきたんだ...?もちろん俺は知り合ってもないし、出会ったこともない。
「し、死神ですか...?いえ、出会ったことはありませんね。」
「ふーむ....」
アヴェッサが腕を組んで黙り込んだ。
俺が出会っていなければ不都合だったのだろうか?
いや、十大神の二柱らしいし...出会うことなんて滅多に無いだろうけど。
アヴェッサがブツブツと独り言をしている。
そんなまずいことなのか?めっちゃ不安なんだけど。
不安の思いもありながら、アヴェッサの方を見つめる。
「まぁいいか...質問に答えてくれてありがとね君たち。」
「お、おわったんすか。」
「あ、うん聞きたいことは聞けたし...あ、待てよ。」
ん?どうしたのだろうか。
あまりいい予感がしないのだが気のせいだろうか。
「通行証の件は俺がどうにかするからさ、着いてきてくんない?」
「はい?」
わお、予想外の展開じゃねぇか。
てか通行証のこと聞いてたんだな...だが都合が良い。
どこに連れてかれるかは分からんが、蒼海騎士団の副団長だし大丈夫だろう。
白月の方を向く。
白月は少し悩んでいたが、縦に顔を振ってくれた。
「よし、決まりだね。ほら行くよ。」
アヴェッサが立ち上がり背伸びをした。
それに続き白月と俺も立ち上がった。
いざとなったら逃げればいい、逃げ切れるかは分からんがな...haha。
外で待っていたガルダスにアヴェッサが事情を話してくれた。
ガルダスは不満そうな顔をしていたがなんとか説得してくれたようで、俺たちは留置所から開放された。
「さて、君たちは晴れて自由の身なわけだが...」
「今から蒼海騎士団の本部に来てもらう。なぁに、拷問とかはしないよ。」
ジョークのようにペラペラと話してくる。
ほんとにこの人は副団長なのだろうか...今更だが不安になってきたぞ。
てか、サラッと本部に来てもらうとか言ってたな。
何をされるのか...ぁあもうどんどん不安要素が増えてくるじゃないかっ!!
白月は呆れ顔で聞き流しているようだ。
ま、そうなるわな。
てか腰をよく見たら剣が2つ携われているではないか。
まさか双剣使いなのか?
「アヴェッサさんは双剣で戦うんですか?」
「お、いい質問だね。そう、俺は双剣で戦うのさ。あ、流派はもろちん水神流ね。」
「水神流..ですか。」
「え、水神流?」
え、なんですかそれ。
流派なんてこの世にはあるのですか。
白月は当たり前かのように知っているし、いやいや俺はそもそも異世界転生者なんだから知らなくて当然....けどなんか悔しいィ!
「あれ君、水神流知らないのか?」
「え、えーと...そもそも流派自体が知らなくて...」
「...マジかよ!今どき剣の流派を知らないなんて..面白いね君!」
え、笑われた?ヤバい恥ずかしいんだけど。
今の俺、周りから見たらド田舎で何も情報を知らないガキンチョみたいに見られてねぇか!?
「仕方ないなぁ俺が教えてやるよ。まだ着くまでに時間あるからね。」
「..!あざっす!」
アヴェッサ副団長に感謝ッッ!!
不安だらけだったが今はウッキウキな気分になっている俺であった。
「まず、この世界にはね四つの流派があるんだ。その一つが俺が使っている水神流。初代水神様が、編み出した流派なんだよね。」
「初代水神?じゃあ今の水神は何代目なんですか?」
「2代目だね。確か、100年ぐらい前に変わったはず。」
はへぇ、2代目とかあるんだな...受け継ぐことも可能ってことか。
「2つ目が炎神流だね。今は炎王だけど元々炎神だった時に編み出した流派なんだ。作った理由なんだけどね?それが水神様に負けたくないからだってさ!笑えちゃうよね!」
「けど、炎って水に弱くないですか?」
「そう、そこ!不利なのに、炎神は負けず嫌いていうのがあって何度も炎神流で戦ってたんだってさ。」
俺が推測するにその人は多分戦闘狂だろうね。
てか、炎王...やっぱ十大神から降格されたら違う称号になるんだな。
水神に負けて十大神の座を奪われた説を推すぞ俺は。
「そして3つ目が剣影流。多分白月君が使える流派だね。剣聖 琉月が編み出した流派だからね。」
「えぇ、たしかに俺は剣影流を使えます。」
「白月、お前結構凄い人だったんだな....」
「まぁね」
ドヤッてんなぁ。
腹立つが本当に凄いだろうし、あの時一瞬であの黒族の奴らをぶった切ったんだしそりゃ強いよな。
「最後に4つ目が剣神流だ。剣神が編み出した流派で、4つの流派の中で最強の流派だと水神様が言っていたんだよねぇ。ま、そりゃ剣の神だしね。」
剣神...白月が目指してるとこか...しかも4つの流派の中で最強の剣神流の達人...どんだけ凄いとこに行こうとしてるんだこの人は。
「俺は水神様に忠誠を誓ってるからね。水神流だけを極めてるのさ!」
誇らしげに言った。
そこまで水神に忠実とはな、水神はあんな怖そうに見えても本当はいいやつかも?
「楽白は見た感じだと剣士ではないよね。」
「あ、はい。」
そりゃあ俺は、転生して3日目でそのほとんどは山で遭難してたようなもんだしなぁ。
ほんま白月には感謝っすわ...。
「能力系...もしくは武術を扱うのかな?」
「え、いや...俺何も出来ないっていうか...」
「あれ、そうなの。」
この世界には武術とかもあるのか。
てか能力か...魔法とほとんど同じってことでいいのだろうか。
転生初日に何か出来るか試してたけど...何も出来んかったし、能力は使えなさそうだなぁ。
「やっぱ君面白いねッ!丁度いい、俺の仲間を見ていくといい。能力とか武術、剣術も扱ってる人がいるからな。個性豊かな騎士団で面白いぞ〜」
おぉ、騎士団=剣のイメージあったから意外かも。
いや、ファンタジーの世界なら能力とか使える騎士団があっても違和感ないかもね。
「よぉし、ここが蒼海騎士団の本部だ。」
「お、おぉ....」
ここが蒼海騎士団の本部...国会と少し似てる気がする。
水の都が栄えてるおかげでもあるのか、装飾とか壁の素材に力が入ってると一目見ただけで分かる。
「ほら、とりあえず中に入るぞ。」
「は、はい。」
本部の中に入ることができた。
ここは...受付みたいなとこなのだろうか。
アヴェッサが受付のところにいる人に話しかけに行ったようだ。
「白月ってここ来たことあるの?」
「いや、来る機会が無かったからな...今回が初めてだ。」
ここに来ることは滅多にないってことだろうか。
まぁたしかに、周りにあんま人はいなさそうだし結構静かなんだな。
さっきまでの賑やか雰囲気とはかけ離れているぞ。
後ろからコツコツと足音が聞こえてきた。
「あ!アヴェッサさん!戻っていたんすね!」
「..ん?おぉ!グレイヌ!丁度戻ってきたところだ。」
この人は...アヴェッサと同じ羽織りを着てる..ってことはこの人も蒼海騎士団の人か。
「なんですか、この人達は。」
指を俺たちに指しながら言った。
「ぁあ、こいつらは白月と楽白って言うんだ。さっきまで留置所にいたんだが俺が連れてきたんだ。」
「留置所から?罪を犯した奴らを連れてきたって訳すか。」
グレイヌが手を腰に当て、不満げに言いながら俺たちの方を見る。
「ぁあ大丈夫だ。別にこいつらは罪を犯してないから安心しろ。」
「ぁあ、紹介してなかったな、こいつはグレイヌ。蒼海騎士団の団員で炎を操る能力者だ。」
お、能力者か。
だが、それにしては能力を使いそうな人では無さそうだが....
「あ、お前!俺が能力使えるのかって思っただろ!舐めんじゃねぇぞ!」
グレイヌが手のひらに炎を生み出し、見せつけてきた。
ありゃ本当に使える人だったとは、こりゃ失敬。
「ごめんって、武術とか使うんじゃないかと思っちゃってさ。」
「アヴェッサさん、こいつ何なんすか。」
どうやら腹を立てているようだ。
本当に能力を使えるとは思わんかったんだ...すまんなグレイヌよ。
「こいつはな、能力も武術も剣術も知らないやつでな?こりゃまたおもろいんだよ。白月は月聖のとこのやつだ。」
「へぇ...あんたが月聖の...剣影流使えるんでしょ確か。」
「え、まぁ教え込まれたんで使えますよ。」
「はへぇ、兄貴も確か使えるんよね確か。あんたと兄貴どっちが強いんかなぁ。」
お、グレイヌには兄貴がいるのか...俺は前世一人っ子だったからなぁ、どこか羨ましいと思っちゃったじゃねぇか。
「はいはい、今はここで立ち話しに来たんじゃねぇんだ。ほらついてこい。」
「あ、俺もついて行きますよ〜!」
本部に来たはいいものの、こっから何をするか...向かっているところ次第では警戒しなければな。
グレイヌを見る感じだと、アヴェッサのことを敬っていると見た。
アヴェッサの後ろをついて行きながら少し移動した。
やっぱ結構ここの建物は広いんだな。
さすが本部と言うべきか...迷子になりそうだ。
おや?アヴェッサがドアの前で止まったぞ。
「ここが団長室だ。なぁに、緊張することはないさ。下手な礼儀よりいつも通りの方がいいことがある。」
雰囲気あるなぁ。
The 団長室って感じだわ...前世では緊張しまくって怒られたことがあったからなぁ。
アヴェッサの言う通りかもしれん。
「団長!入るぞ〜」
アヴェッサがドアを開けた。
奥に団長らしき人が座っているのが分かる。
何かの本を読んでいるようでこっちを見る気はなさそうだな。
「見知らなぬ人が2人いるな、そいつらが例の奴らなのか?」
「おう、聞きたいことは聞けたからせっかくだし連れていくことにしたんだよ。」
冷たい声...ちょっと寒気してきたな。
氷でも操れるのだろうかこの人。
アヴェッサは良く耐えれるな...共に騎士団を歩んだから慣れてるのだろうか。
チラッとグレイヌの方を見てみた。
ちょっと震えてるな、まだ慣れてないってことだな。
「連れてきてどうするつもりだ。」
「ぁあ、この楽白ってやつが武術も能力も剣術も知らなくてさ、せっかく知り合ったんだしどんなのか見せてやろうと思ってここに連れてきたってわけよ...あとね。」
団長の方にアヴェッサが近づいて、ゴニョゴニョと小さな声で話している。
おっと、俺たちに話せないレベルかよ。
絶対裏あるっしょこれ。
「ふむ、アヴェッサ...それはあの方に話したのか?」
「こいつらに話したら話に行くつもりだよ。」
「あの、留置所の時から気になってたんだけどあの方って何ですか...?」
アヴェッサが団長の方を見た。
団長は肩を竦めて、知らん顔で本を読んでいる。
「水神様だよ、理由は俺たちにも分からない。俺もそん時はめっちゃ困惑してたからな。」
「マジすか。」
水神が...?いやいや、なんで俺たちを...目が合った時になんか思ってたのだろうか。
「んで、話なんだが....」
「明日の任務で同行してもらうことにした。」
「.....はい?」
白月も思った。
ーな ん で ?
え、蒼海騎士団の?なんの狙いがあるんだよ!!全然分かんねぇよぉ!
「え、ちょこいつら連れていくんすか!」
グレイヌがめっちゃ驚いて俺たちの方を指さす。
そりゃそうなるよな!なんで俺たちが?!
「まぁ詳細は後ほど伝える、グレイヌよ...知らない方がいいこともあるんだぜ★」
「ちょ、アヴェッサさぁんー!!!!」
haha...これからどうなる事やら....ガクッ...




