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3-30 仲間

 俺は、これ以上仲間に隠し事をするのが無理だと悟った。


 焚き火の炎を囲み、くつろぐ仲間たちに声を掛ける。


 「今から話すことは、他言無用に願いたい。それでも聞いてくれるか」


 皆がたたずまいを正し、話を聞く体勢を整える。


 ゆっくりと、言葉を紡いだ。


 「この宝石は、“輝く、トラペゾヘドロン”と言って、邪神を封印したり解放したりする代物だ」


 沈黙が訪れる。


 だが、構わず続ける。


 「そして、この宝石――トラペゾヘドロンには、今、邪神は封印されていない。

 何者かによって、既に邪神が解放された後の状態だ」


 レオンハルトが疑問を投げかける。


 「何故、そのようなことを知っている。それに、解放された後だとか」


 俺はレンカを見やる。


 彼女は頷き、秘密を打ち明ける。


 「俺とレンカには、前世での記憶がある。

 それは、前世でミスカトニック大学という学府に納められていた禁断の書物に書かれていたこと。

 “輝く、トラペゾヘドロン”には、“ナイアーラトテップ”という邪神が封じられている、と」


 レンカ以外は驚愕の表情を浮かべる。


 「俺とレンカが時折見せる不思議な術も、前世で習得した陰陽道や古神道などによるものだ。

 ミリアの職業、忍者も前世にあった職業だ」


 ミリアは声も出せないほど驚いている。


 「そして転生前、天界のヴァルハラで修業し、神々や英雄たちから技術、武術、呪術を習得した」


 「……」


 「転生後は、皆も知っての通りだ。

 俺とレンカは修行で得た力で、ツーク国立学園に入り、四天王の一人、戦鬼バルザグルを倒すことができた」


 「ハイ・エルフの長老たちとハイ・エルフ語で会話できたのも、そのおかげね」


 エリシアが言う。


 「ああ。彼らは俺たちの祖国の言葉――日本語を使っていた。

 だから何の違和感もなく会話できたんだ」


 ダリオが続ける。


 「それで、邪神がこの世界のどこかにいると」


 「ああ。恐らく今回の一連の動きには、背後に邪神がいると思ってくれて構わない。

 もし皆に知られたら、不要な恐怖や混乱が起きると思って黙っていた」


 「見損なうな! 俺たちはそんなたまじゃない。邪神! 上等だ、かかってこい」


 ダリオの言葉に、俺は頼もしさを感じる。


 周囲を見渡す。


 皆、委縮せず闘志を燃やしている。


 再びレンカを見やると、頷き、これで良かったと言っているようだ。


 「だが、他言無用に願う。俺たちならまだしも、一般人はそうじゃないからな」


 「うむ、分かった。そうしよう」


 ダリオ。


 「ああ、一般人に知れれば、確実に恐慌が起こる」


 レオンハルト。


 「エルフ族にも、要らない心配はかけたくないわね」


 エリシア。


 「そうだな。影の者たちにも黙っておこう。逆に崇拝するかもしれん」


 カイル。


 「私も、皆今はいないけど、邪神討伐したら探し出すね」


 ミリア。


 俺とレンカは、そんな仲間たちを見て、頼もしく思うのだった。

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