3-28 すれ違い、そして仲間割れ
古代神殿のすぐ外、夜の焚き火を囲む。
俺は、懐に隠した“輝く、トラペゾヘドロン”の冷たい重みを意識していた。
「なぁ」
ダリオが火を睨みつけたまま口を開いた。
「その石……ただの宝じゃねえな。 何を隠してやがる」
仲間たちの視線が一斉に集まる。
心臓が跳ねる。
真実を話せば恐怖を煽るだけ、黙れば不信を呼ぶ――その狭間で、言葉を失った。
すると、カイルが鼻で笑った。
「影の世界じゃ噂になってる。
“封印の石”を抱えて旅してる連中がいる、ってな。……お前らのことだろ」
空気が重く張りつめる。
「ほら見ろ!」
ダリオが拳を叩きつける。
「信用できねえ! 仲間なら正直に言いやがれ!」
その時だった。
焚き火を背に立ち上がったのはレンカだった。
迷いのない瞳で俺を見つめ、静かに言った。
「私は信じます」
皆が息をのむ。
「彼が嘘をつくはずがありません。
たとえ何を隠していようと、彼は……私を裏切らない人です」
揺るぎない声だった。
だが、その強さが逆に火に油を注いだ。
「お前は盲信してるだけだ!」
「仲間なのに、俺たちには秘密で……!」
レオンハルトやダリオが声を荒げ、ついにはカイルが背を向ける。
「俺は影の人間だ。 疑念の渦にいる気はねぇ。 ここで抜けさせてもらう」
【悪いが、お前たちの絆を、試させてもらおう】
そして、闇に消えた。
さらに、ミリアが涙ぐんで言う。
「私だって……信じたいよ。 でも、私……」
そう言って泣きながら飛び出していった。
残されたのは、俺とレンカ、そして重苦しい沈黙。
唇を噛む。
【……どうして言えないんだ。 彼女がこんなにも信じてくれているのに】
だが、その逡巡を嘲笑うかのように、古代神殿の周囲に黒い靄が渦巻いていた。
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