247 大人達の夜の会合(単なる飲み会ともいう)
(宰相シリウス視点)
夜の帳が下りる中、大人達の会合が始まった。子供達は寝ただろう、多分。
ここには国王陛下オスカー様、先の国王ドレイク様、ケンドリック様、ルシアン様、クリフォード様、フォーゲリア伯爵、義息子ルーク様、アルバート様、ダニエル様、その他にウェルス伯父上、ドバイン様がいらっしゃるのだ。私も末席を汚すことになっております。
メルシー様との関係が改善されてから忙しいのです。それにまさか私が宰相になるなんて。伯父上、ウェルス伯父上が宰相に返り咲けばいいのに、フォーゲリア領商会が忙しいから無理と言われた。なぜだ、なぜなんだ。
ボロレス公爵様が退陣され、それも南地域の者達もごっそりいなくなりました。まぁ、あいつらがいなくても、仕事は進む。むしろいなくなって良かったとみんなが思っているのだ。それほど横暴で無能な奴らだった。
そして今、おいしい料理とお酒に舌鼓を打つ。何ですか、このお酒は。私はこのエールよりも喉越しさわやかなびーるというものが大好きだ。これにビーフジャーキーとポテトフライ、唐揚げ、イカの一夜干し(マヨネーズ、七味唐辛子付き)、これがあれば何杯でもいける。日頃の鬱憤を晴らすようにグイグイ飲んでしまう。これはまずい、抑えていかなければ。皆さんはウィスキーやはいぼーる?ショーチューなるものを飲んでいる。みなさん、陽気に飲んでおります。
「競技会の騎馬戦は見応えあったな。剣術戦より力技だな。あと、名前はよくわからないがニンジャ競技。あれも一つ一つの競技に意味がある。あれを取り入れたら楽しいだろうな。シリウス、リバーシ・チェス大会を後方でしておったであろう。どうだったか?」
そう、私はルシアン様とご子息のレックス様と一緒にリバーシ・チェス大会を開催していたのだ。騎士団の中には優れた戦術を考える者がいる。いっけん、騎士団に頭脳派は少ないと思われがちだが、結構いることが分かった。表に出ないだけで頭脳を持つ者はいるのだ。その者達が集まったリバーシ・チェス大会を開催したのだ。ケビン様が会場となる施設を設営していたのだ。あの方は何者なのだ?騎士団対抗戦の競技種目を作り、リバーシ・チェス大会の施設まで作っていたのだ。凄いスキルだ。魔法が使えないと言われているが、魔法以上に素晴らしいスキルではないか!
「ケンドリック様、リバーシ・チェス大会は楽しかったです。皆さんいろいろな考えを持っていて勉強になりました。私もまだまだ、作戦が甘かったことが分かりました。今回4団体でしたが、これがこの国の頭脳が集まったら、幾重もの攻略方法が集まるのです。こんな楽しいことはありません。ただ人数を多くした場合スムーズな運営方法を考えていかなければなりません」
「そうだな、今回は体力・知力・剣術を備えた大会にしよう。あのニンジャ競技を競争方式にすればいいのではないか。今回はタイム内の踏破した者だったが、騎士団対抗戦はあれを競争方式にすれば盛り上がるのではないか?ケビンに提言してみよう。あの装置はケビンしか作れないだろう?なあ、ルーク」
「えっ、あー、ケビンしか作れないですね。あんなわけのわからないものを考えるのは。すみません、突拍子もないものを考え作るのがケビンですから。誰にも止められません」
ルークは苦笑いをしている。今は様をつけているが王太子ケンドリック、ルーク、近衛騎士団長ザッカリーは学園時代の旧知の仲だ。ご学友というものだ。私は次男のため爵位は継がないただの宮廷事務官となるはずだった。ルークはまあ貧乏伯爵嫡男と周りから嘲笑されていたが、騎士としての才能がずば抜けていた。ザッカリーと共に騎士団をまとめ上げる副団長になっていた。メルシー様と結婚を機に領地当主となり騎士団を退団してしまった。そのルークの子供がケビン様。あどけない小さい子供だな、先王様に似ていらっしゃるのか?というのが第一印象だった。しかしとんでもなく頭の回転が速く、いろいろな物作りに長けた子だった。大人顔負けである。いや大人以上の考えの持ち主だった。この子が考える物は面白い。だが、皆がケビン様の行動に振り回されていくんだ。ボールドウェッジ公爵様が一番大変なのではないかと思っている。勿論、親であるルークや兄のイザーク様やロナウド様はもっと大変なのだろうなと分かる。この数日だけで大変なのだから、一緒に居る人たちはもっと大変なのだろうことがうかがい知ることが出来る。
メルシー様と交流し、ケビン様と関わってから(悪い言い方ではないですよ)、ケンドリック様とアルバート様が大変お忙しいのだ。ケビン様に感化されたレオンハルト様の行動が幅広いのだ。特にフェンリルのリル様と従魔契約をしてから、隙を見てはケビン様のところに行くようになった。リル様が大きくなって、そう、大きくなって、レオンハルト様を背に乗せ、ケビン様のタウンハウスや王都商会へ行ってしまうのだ。阻害魔法がかかっているから気づかれないとリル様がおっしゃっていた。いや、そうじゃない。分からないから良いってものではないんだ。しかし、あのコンビは自由気ままに行動してしまう。だからアルバート様が追いかけて行くのだ。いつの間にかアルバート様までなんとドラゴンを従魔にされていた。卵を抱きかかえていた時は何の卵かわからずただ抱っこされていたのだが、産まれたそのお姿は黒龍。建国のドラゴン様だ。精霊様、フェンリル様、カーバンクル様、そしてドラゴン様だ。人が悪意ある行動を起こせば、皆、去ってしまう。そうならないよう後世に語り継いでいかなければならない。これは最重要事項なのだ。私にも精霊様が見えるのである。見えないのは南地域が多いらしい。ボロレス公爵一族とその寄子達は悪事を働いた。今だって、不正をしていた。昔も今もボロレス公爵一族は億時を働く一族なのだろう。だから精霊様は見限ったのだと思う。
ボロレス公爵様が退陣されてからの王城は雰囲気が違う。精霊様、フェンリルのリル様、カーバンクルのクル様、ドラゴンのバルス様が城のあちこちで見られるようになった。元々リル様、クル様、バルス様は見えるのだが、本当のお姿で歩き、飛んでいるのだ。リル様、大きすぎるので子犬になってください。クル様、子猫姿に戻ってください。バルス様も自由に飛び回っている。本当に自由人?いや自由獣?自由従魔達なのだ。これは絶対飼いぬ、ゲフンゲフン、契約者の性格と同じなのではないかと思ってしまう。
そして私はリバーシ・チェス部門担当にされてしまった。ルシウス様、レックス様と共にそちらをお引き受けした。ケンドリック様、アルバート様は騎士達の対抗戦を担当される。これからまた忙しくなることが確定した。しかし、楽しみでもある。わくわくすることが仕事なら楽しいことこの上ない。皆さんも楽しそうだ。
さあ、おいしいお酒と料理を食べて、また頑張ります。しかしケビン様、大事になるような言動を控えていただきますようお願い申し上げます。




