241 隣国に呼び出されて4
食事後、厨房に案内してもらい香辛料を見せてもらった。
クミミン、コリャアン、ナツメ、シナモ、カイエン、ターメリクが、ガラマサ。おおー、似ている、まんまの名前で分かりやすい。シナモはシナモンだな。バターシナモンクレープが好きだから今度作ってみよう。
カイエンがあるということは唐辛子があるということだ。チリペッパーを作らなくては。この国はサルサソース作れるではないか。
「フェルおじちゃん、このカイエンの原料となるものが欲しいです」
「チリペか。辛いぞ」
「この前サルサソースを教えたと思うのですが、それに使う香辛料です。欲しいです。タバスコ作りたいのです。ピザにタバスコは必要なのです!」
力説してしまった。ピザやパスタにも使いたい。職に対する願望は強いのだ。
「なるほど、ルクセル、原産地などを調べてくれ」
「御意」
ぎょい?御意?御意だー。颯爽とルクセルさんがいなくなる。おー。
「ケビンどうした?」
「かっこいい。シュタッと行っちゃった」
ハーレクインのシークのようなイメージのフェルおじちゃん(これは僕のイメージなので、本当に白い服とかは着ていないよ)。この国に砂漠はないがフェルおじちゃんのイメージだ。そして従者の御意ときたもんだ。
「ケビンの何に琴線が触れたかはわからないが、ルクセルが探し出す。チリペをどうすればいいのだ?」
「粉末状にしてください。あっ、これで粉末にしてください。原料を入れそのままこのボタンを押し続ければ刃が回って粉々にします。止めたい時はボタンを離せば止まります」
僕は収納からミルサーを出してフェルおじちゃんに渡した。カルコーマの蛹を粉末上にする応用で小さいミルサーを作ったのだ。これで粉末にできるのだ。
「はぁ、ポンポン魔道具が出てくるのだな。ところで、ケビンは私にマジックバッグを渡そうとは思わないのか?ん?」
はっ、また目力に囚われてしまった。背中がゾワリとした。
「フェルおじちゃん、要りますか?えーと、どんな形のマジックバッグが似合うか考えていたのです。フェルおじちゃんはイケメンだからスタイリッシュに着こなさないといけないかなーなんて思っていたのです。ダサいマジックバッグではフェルおじちゃんのイケメン度を損ねてしまいますからね」
フェルおじちゃんが怪訝な顔をして見つめてくる。
「ケビン」
「はひ?」
「ケビンが言っていることが、まったくわからん。何語を話しているんだ?いけめん?すたい何とか?ださい?よくわからない用語を連発していたが」
まずい、余計おかしな方向へ行ってしまった。何とか挽回しなければ。
「イケメンは美男子のことです。フェルおじちゃんは大人のフェロモンムンムンしているので、それに合うマジックバッグの形を考えようとしたのです。カッコ悪いただの袋でいいですか?」
「極端すぎる。ルークやお義父上が使っている形で良い。頼めるか」
これは有無を言わせぬ圧ですね。”はい”としか言えねぇ。御意を使えばいいかな?御意、言えなーい。恥ずかしい。頷くしかない。今日、夜内職しよう。いろいろ貰えるみたいだし、まあいいか。僕は頷くしかなかった。夜なべをしよう。
その後、広大な、広大な公爵領へ行った。公爵領は王都に近い位置にある。立地的にいい土地だよね。温泉候補地を確認した。
「フェルおじちゃん、王都からくる人達に馬車というか幌馬車みたいなもので送迎定期便馬車を運営したほうがいいですよ。そうすれば人が来ると思うのです」
「なるほど、送迎馬車か。我が国も魔道列車を運営しようと案は出ているのだがなかなか利権がらみで進まんのだ。まったく。うちだけでも作ってしまいたいのだが、難しい状態なのだよ」
利権が絡むとややこしいよね。先を見据えて作ればいいのにそんな広い心がない人たちの集まりなのか?高位貴族たちは。
「フェルおじちゃんはここを平民にも開放するんだよね?貴族と平民を分けて作った方がいいよね」
「そうだな」
「でも、貴族用と平民用のつくりは同じにするよ。僕は貴族のだからって豪華絢爛なんてしないよ」
「ああ、ここは体や精神を癒しに来る場だ。避暑地とは違う。豪華絢爛などしなくていい。あとルービエンス様がおっしゃっていたのはその周りに一定価格の宿屋や食事処を作りなさい、と言っていた。それも豪華絢爛でなくてよい。ただ貴族の方だな。面倒なのは、あいつらの宿泊施設も考えてくれないか?」
どこもかしこも貴族用を考えなければいけないめんどくささ。予約制にすればいいのだから数棟でいいや。貴族の数を増やしてしまうと平民達が気を使ってしまう。ここに居る間はリラックスできる場でなければ癒されないんだよ。俺は平民ファースト。だから宿屋や食事処は少し多めに作って、送迎馬車も作るよ。ふふふ、ゴムタイヤ仕様。これ大事。クククク。
「ケビン、報連相が大事だからな。今、悪巧みを考えただろう」
「ひどいです。そんな悪いことは考えていないですよ」
念のため俺の意見を言ったらあきれられた。
「先に聞いてよかったよ。ごむたいや?というのはあの快適馬車だろ。それを送迎馬車に使うのか!貴族宿泊は数棟なのか。ケビン、お前の考えは私達が考えていることより先に行きすぎている。考えたことを全て報告してくれ。まったく、ルークとライアン殿の心情が分かってきたよ」
トホホホ。ここでも問題児扱いなのか?計画書を提出したよ。
夕方に騎士やメイド達も集め、ミニリサイタルを開催した。
イザークとピアノとバイオリン、ピアノの連弾などをお披露目した。芸術スキルは役に立たないと言われていたスキルだったが、イザークのバイオリンの技術はすごかった。
ジェラルディン様が涙して聴いていた。本当に心配だったのだろう。目の前いるイザークは最初に出会ったおどおどしたイザークではない。自信に満ち溢れ、音楽をこよなく愛する少年がいる。笑顔も絶えないイケメンである。
「ケビンちゃん、ありがとう。イザークがあんなに笑顔で楽しくしている姿をするなんて。ここに居た時はおどおどして自信のない子だったの。それが見違えるほど成長して。本堂にありがとう。あの子の生きる目標を与えてくれてありがとう」
「僕は何もしていないですよ。芸術スキルは本当にみんなを明るく楽しくするスキルなので、皆が知ってくれてよかったです。それにイザークは努力家なので、自分のスキルに驕らず、より高みを目指し頑張っているのです。もっとみんなに知ってもらいたいですね。劇場を作ったので、今度コンサート、リサイタルを行う計画もしています。その時はいい席で鑑賞できるよう招待状を出しますね」
「まあ、今日行ったものを劇場で催すの?すごいわね。確か王都商会の施設に併設していたわね。そこでするのね」
「そうです。まだいつになるかはわかりませんが、計画はしますので楽しみにしていてください」
たぶん、ボールドウェッジ公爵領で競馬祭りをした後になるだろう。それまではファンファーレの練習をしてもらいたい。それとも競馬祭りと合わせて、劇場を公爵領に作り、競馬を見たい人、劇場を見たい人など楽しみ分散してもいいかも。ご婦人方は劇場の方がいいかな?
絶対フェルおじちゃんは競馬祭りに来たいだろう。その時ジェラルディン様は劇場に足を運ぶかもしれない。いいかも。相談案件だね。勝手に決めるとまた怒られるので、報連相は大事。僕だって成長しているんだよ?




