第肆話 第一次東倭戦争 東瀛夜襲
「はぁ」
馬に乗って城に帰っている途中、雪影は何度目かわからないため息を付いた。
「やっぱりあんなことしなくてよかったよなぁ」
「いえ、敵を恐怖に陥れるためには雪影様があのようなことをしたのは重要かと」
もう何度目かわからない会話をしながら、雪影は考えた。
やはりあんな戦闘狂のような演技をしなくても圧倒的な力を見せつければ、敵を恐怖に陥れることぐらいはできるのではないか。
そもそも、あんなの俺のキャラじゃないんだよなぁ。
そんな事を考えているうちに、城に着いた。
この八洲城は首都・瀛州にある城で、東倭帝国が攻められたときにしか使われない詰城である。
着くと同時に、冬霞が飛びかかるように話しかけてきた。
「あんな雪影、初めて見たよー。何を食べたらあんなふうに演技ができるの?」
「え゙っ!?あれ撮ってたの!?」
雪影はとても驚いた。隣りにいた兵を見ると、目があった瞬間に目を逸らした。
「……」
その兵をジト目で見ていると、雪義がやってきた。
「あぁ雪影、帰っていたのか」
「はい、今帰ってきました。それと、今日の戦いで学んだことがあります」
「なんだい?」
「もう二度と戦闘狂の演技はしません」
それを聞いた瞬間、雪義が笑い出した。
雪影は雪義の脛を三割ぐらいの力で蹴る。
「痛っ!?父親になんてことをするんだ!」
「父上が笑うからでしょう」
「……まあいい、とりあえずこれからどうする?」
「東倭帝国に攻めてきた敵をすべて返り討ちにし、報復として大将の領土を攻めます」
雪影は冷ややかな声で言い放つ。
それに対し、重心の一人である東倭七星の筆頭、葛城景正が言った。
「その後はどうされるのですか?」
「そこを我軍の領土とし、そこから本州を攻めます」
「ふむ、この案に賛成の者は?」
雪義がそう言うと、そこにいた全員が手を上げた。
「わかった、だが遠くを見すぎると足をすくわれる。心してかかるように」
「「「「「はっ!!」」」」」
この瞬間、後に日東戦争と呼ばれる戦いが幕を開けた。
* * *
夜、東倭兵も本州兵も休む頃に二つだけ、動く影があった。
その影、雪影と冬霞は敵軍にたった二人で夜襲を仕掛けようとしていた。
「もうそろそろ本州兵が見えてくるかな?」
「多分そのはずだ」
二人の言う通り、すぐ近くには三百人ほどの本州兵がいた。
「いくぞ」
「うん」
二人が本州兵に襲いかかった。
「《零雪一連星》」
「《霜霞連穿》」
「ぐあっ」
「何だ!?ぐふっ」
「敵襲!敵襲!」
「もうバレたー?」
「そりゃバレるでしょ。まあ20人ぐらいで逃げるか」
「そーしよー!とりゃー!」
雪影と冬霞はそのまま2・3人斬り、舟に火をつけた。
「あああぁぁぁぁあぁぁ!」
「舟がぁぁぁあぁぁ!」
「一隻でも多く守れぇ!それに乗れるだけの者が帰れるぞぉ!」
「「「「「「おおぉ!」」」」」」
「さてと、もうそろそろかえるか」
「そうしよー!」
二人は城に帰っていった。
第一次東倭戦争 東瀛夜襲
勝者|東倭帝国軍




