その180 ギルド会議場が燃えてますが?
ギルド会議場に着いてみると、目の前には火に飲み込まれた建物が。
「……なんだっけここ?バックドラフト?」
「おいおいおいおい!? なんだよこれ!? 誰がやったんだ!?」
呑気な事を言うコノル。そんなコノルと打って変わってレウガルと公共ギルドのメンバー一同は驚愕していた。
「ひ、人の影がチラホラ見えます!私達は逃げ遅れた人がいないか探してきます!」
「え゛!?まさかこんな時間に人いるの!?」
その言葉でコノルは事の重大さに漸く気が付く。人がいないならなんて事ないただの火事。ゲームの世界なのだから全焼とかもないし特に問題は無いと、そう思っていたが、人がいるとなると話が変わってくる。それも命が掛かっているなら尚更だ。
付いてきていた公共ギルドのメンバーも最初は驚きつつも人命救助に向かう。
だが、それをレウガルが引き止める。
「バカ!離れんな!これはどう考えてもブラックギルドの連中が絡んでる!こんな事一般プレイヤーがする必要もなけりゃ、やる方法も思い付かない筈だ!リアルと違って建物の火災なんざ炎属性の攻撃でもそうは起きねー!特殊なアイテムを使ってるからこうなってるだぞ!【デミウルゴンの油】ってレアなアイテムなんか常人なら誰も手に入れようなんて思わねぇぞ!クソ!って事は厄介な奴がいる!」
レウガルは額に汗を滲ませながら公共ギルドのメンバーを引き止める。
「最悪だ……可能性として……思い出せ……ブラックギルドで火を使う高レベルプレイヤーで、こんな事する糞野郎は……焼原の奴かブルーハートの奴かそれともスタックマンか……コイツらの内1人は間違いなくいるな。兎に角離れるのは無難じゃねぇ。助けに行くなら固まって行くぞ」
レウガルは冷静に自分の頭にある情報を整理して、敵の情報を話す。
「ですが!それじゃ遅過ぎます!」
「ミイラ取りがミイラになるって言ってんだ。武闘派ブラックギルドの連中には攻略組より強え奴等も沢山いるんだ。だから今まであんまり衝突したくなかったのが理由の一つだって事を忘れてんのか。兎に角落ち着け。それにこの火の手から見て、急げば問題ねぇ。固まって動いてもまだ全員助けられる。コノル、あの札持ってるか?」
「持ってるよ!大丈ー夫!」
「悪いな。そりゃ黒猫用なのに」
「使っても減らないし、誰に使おうが私の勝手だから」
コノルは【蘇生神札】をメニュー欄から取り出し手に持つ。
「あれ?でもレウガルちゃん、なんでこれの事知ってんの?流石情報屋ね」
「攻略組と関わった時点で情報も何もねーだろ。お前それで俺達攻略組助けてくれてたじゃねーか」
「うへへへへ〜レウガルちゃんすきぃ〜」
「褒めて損した。近寄んな。いいから迅速に救助に向かうぞ」
と、コノル達が屋敷の周りを見回り要救助者がいなかいか探していると、突如、目の前にライトが佳代を庇う様に抱き締めながら上から落ちてくる。
ドサン!
「うおっ!?何だよ!?お前、ライトか!?何で上から!?」
「くっ、助っ人……か……はっ!?危ない!」ばっ!
ライトは安堵したかの様な顔になったかと思えば、いきなり血相を変えてレウガルの前に身体を差し出す。
すると、突如何処からともなく青い炎の球が飛んできて、その球はライトの背中に直撃する。
「ライト!?」
何が起こったのか分からないまま、レウガルは驚きの声を上げる。
「大丈夫だ」
かなりダメージを負いそうな当たり方だったにも関わらず、当たった本人は全く効いてなかった。
その様子からレウガルが察する。
「はっ、無敵の攻撃スキル使ってたんなら言えよ。焦ったぜ」
「ごめんごめん。焦らせちゃって。それより気を付けろ。ブラックギルドの連中がいる」
「やっぱり夜襲か」
レウガルとライトは炎の球が飛んできた方向に目をやる。
すると、燃え盛る屋敷の炎に紛れて人影が5つ。
「まだ生きてるよコイツら。しぶてーな英雄は。ゴキブリか?」
「ふひ……ひひ……」
「ブルーハートさん。なんか増えてますぜ?」
「雑魚が数匹増えただけだ。構うな射場ザキ。それと、おいリョウケン」
「分かってますって……今回は命令には従いますよ」
ブルーハート、棄世、羽崎、射場ザキ、リョウケンがライトにトドメを刺すために近付いてきていた。
「ブルーハート!?ちっ、やっぱりいやがった。しかも暗殺ギルドの方かよ」
「知っているのかい?」
「ああ、ブルーハートはブラックギルド【Re:ペア】専属の暗殺専門ブラックギルド【ゲゼルシャフト】の元副ギルドマスター、火属性に特化したプレイヤーだ」