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172/231

その172 場は混乱。戦闘どころではなくなり撤退


黒猫がこうなった経緯


3階に辿り着いた黒猫。途中他のブラックギルドの連中に襲われかけたが、黒いローブで味方だと認識され難を逃れる冷や汗ものの出来事を体験しつつ、本人は未だ呑気に廊下を歩いていた。


「のじゃ。しかし袋が小さいのじゃ。これだけじゃとまた文句を言われそうじゃの。そうじゃ。これも入れてかさ増ししておくかの」


黒猫はブルーハートから渡された紫色の袋の中身があまりに少ないと思い、近くにある火のついた蝋燭を手に取り、それを紫色の袋ではなく、何故か腰にぶら下げたボロい袋に投げ込む。勿論火のついたまま。狂ってんのかコイツは。


因みに、このボロい袋には何が入っているか覚えているだろうか?


そう、ガソリンの様な火属性の攻撃が当たると燃え広がる特殊なアイテムである。


という事は、何が起こるか、文字通り火を見るより明らかだ。


ボオッ!


瞬く間に火に包まれる袋。そして隙間から少しづつ垂れていたガソリンの様なアイテムにも引火し、導火線の様に黒猫が歩いてきた道に沿って燃え広がり、廊下を瞬く間に火の海に変える。


「のじゃ?……のじゃあ!?なんじゃ!?なんなのじゃこれは!?あああああ!?熱いのじゃああああ!?こ、コノリュううう!助けてえええええ!!」


原因が分からない黒猫は、突如燃え広がる火に驚愕しながら、いもしないコノルに全力で助けを求める。そしてそのまま全速力で廊下を走る。袋を手放せば早いのに、バカだから燃え盛る袋を腰にぶら下げたまま炎から逃げようとしていた。


火の手は驚く程燃え広がり続けた。黒猫を中心にして。



これが経緯。しょうもなさすぎて同情の余地は皆無である。



そんな燃え盛る袋を担いでる黒猫はそのままライト達に気が付く事なく戦闘のど真ん中を走り抜けていく。



「のじゃあああああ!?誰か助けてなのじゃあああああ!?」ダッダッダッ!



「「「「「…………」」」」」



助けを求めるならもう少し冷静になれ。


そんな混沌を目撃しつつも、何が何やら理解が追い付かない全員は、その場で何が起こって何が走り抜けていったのか情報を整理する為、口を開いて固まっていた。


そしてブルーハートが口を開く。


「……あのバカ、まだ俺達がいるのに何してやがんだ。勝手に着火しやがって。あの様子じゃもう1階と2階は火の海だな。爆弾が火で着火しない仕様のアイテムを使ってて良かった」


「……え?……ぶ、ブルーハート?……そ、それじゃ……み、味方……は?」


「あ?【殺し屋棄世】が他人の心配か?笑かすな。仲間なんざいねぇよここにはな。それよりあの火達磨女(黒猫)のせいでここも直に火の海になっちまう。外に避難するぞ。影で外へと続く階段を作れ棄世」


「………………ああ……わ、分かった」


棄世はHPとSPが回復するアイテムを使用して、直ぐに影で外へと続く階段を作る。


それを確認するとブルーハートはいち早く火の手が広がる前に外へと脱出する。


「リーダーが引いた。俺達も撤退するぞ」

「あの英雄をここまで追い詰めたのに!?」

「あんな雑魚、いつでも殺れる機会はあるわよ。今は撤退が最優先よ。それに下に逃げたらまた襲えばいい」


その他のメンバーもブルーハートが逃げたのを目視すると自分達も撤退を始める。


「はっ!?佳代ちゃん!今なら俺達も逃げ切れる!行くぞ!」


「は、はい!」


その様子を見てライトもすかさず佳代を再び担いで3階から飛び降りる。


棄世はというと


「………………」


黒猫が走っていった燃え広がる廊下の先を静かに見つめながら、自分も階段で外へと脱出するのだった。

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