その171 待ちに待った助っ人?……え?助けた方がいいのか?
場面はライトとの戦闘に戻る。
じゃ、邪魔な奴は……み、皆……こ、殺す……それが……わ、私の……い、生きる……意味……コロス……コロスコロスコロス……コイツも……わ、私の……邪魔をする……奴等も……み、皆……ふひ……ふひひひ……
棄世は不気味な笑みを浮かべながら、ライトの逃走をシャドーマンによる影の数で圧倒して防ぐ。
一瞬のスキをついたのに、素早く対応され退路を塞がれたライトは一旦佳代を地面に下ろす。
「先輩ぃ……」
「そんな声を出すな。大丈夫。必ず切り抜けてみせる」
情けない声を上げる佳代にライトは気休めの言葉を掛ける。
しかし現状は最後のチャンスとも言える場面を潰され絶体絶命。切り抜ける手段を直ぐに探さなければ死が待っている。
「切り抜ける?お前はもうここで脱落すんだよ!ははははは!」
そうこうしていると射場ザキのRTも終わり自由になって高笑いをしていた。
そんな中ブルーハートは辺りを見渡す。
「…………チッ、おい!リョウケン!近くにいんだろ!何隠れてやがる!タンクのてめぇが逃げてどうすんだ!仕事しろ!」
ブルーハートが声を荒げてそう言うと、廊下の角からリョウケンが現れる。
「ちちちち、冗談がキツい。今更タンクの俺なんかいらないでしょブルーハートさん。それに奴の攻撃力じゃ、俺の【棘の鎧】を貫通しちまう。しかも俺の鎧は受けるダメージを防ぐんじゃなく反射させるのに特化したタイプ。余剰ダメージを受けて俺も死にたくはないんで見守らせてもらっただけですよ。ちちちち」
「言い訳すんじゃねぇ。てめぇがもっと早く参戦してたらもっと早く終わってるんだ。戻ったら覚悟しとけ」
「ちちちち、分かりましたよ……」
チッ……
そのやり取りを見てライトは更に追い詰められる。
また敵の増援!?こっちは仲間が来ないってのに!どうする?このままじゃ皆殺しだ!くそ!考えろ!
ライトが焦っていると、突如廊下の奥から人の大きさ並の火の玉が向かってくる。
「な、なんだ?」
「?」
「ん?」
「なんだ?」
ライトは目を細めてブルーハートと棄世の後ろを見ると、同じ様に射場ザキと羽崎とリョウケンも後ろから迫る火の玉に目を細める。
その様子を変に思い、ブルーハートと棄世の2人も自分の後ろを振り向くと
「のじゃあああああ!?誰か助けてくれなのじゃああああ!?」
黒猫が腰にぶら下げた袋を火達磨にさせながら全速疾走でこちらに向かってきていた。