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その165 絶望の輪舞曲

 

 黒猫が間抜けな事をして晴太に殺され蘇生されている一方で、ライトは未だに【シャドーフェイス】のメンバー4人と激闘していた。


 四方八方から現れる黒い刃と、ブルーハートから放たれる蒼い炎、そして無数の弓矢とギロチンの刃がライトの剣を狙う。


「くっ!」


 剣に攻撃が当たらない様に身体で攻撃を受けたり避けたりするライト。


「……ひひ……な、仲間は……ま、守らない……の?」


 棄世がニヤリと不気味に笑い、手を佳代の方へと向ける。


 すると、黒い刃が佳代の頭を目掛けて横の壁から現れる。


「しまった!?」


 ライトは咄嗟に剣を持つ手を延ばして黒い刃を弾いて佳代を助ける。



 残り7連撃。



 棄世が参戦した事により【十三星斬】による無敵状態解除が徐々に近付いていた。


「ブラックギルド相手に足手まといなんざ連れてくるからそうなるんだ!このまま捻り潰すぜ!【ワイルドボウ】!」


 射場ザキから強力な弓矢の攻撃スキルが佳代に向かって放たれる。


「くっ!」


 バッ!


 ライトは身体を張って弓矢を受ける。


 だが


「きゃっ!?」


 弓矢はライトの身体を貫通して後ろの佳代に当たる。


 幸い一撃死はしなかったが佳代の体力はヒーラーという役職も災いして体力は一気に3/4まで削り取られる。


「ハァハァハァ……」


 くそ!今の攻撃スキルを後3回使われたら佳代ちゃんが危ない!始末しようにも俺が攻撃すれば【十三星斬】のRTで殺られる!だが、あの女の子(棄世)が参戦してきて余裕がなくなった!このままじゃあと数分も持たないぞ!


 息も荒くなり、気持ちの余裕も無くなってきた。だが、少しでも油断を見せれば一瞬でPKされてしまう。ライトに残されたのは来るかも分からない仲間の助けが来るのを待つのみ。


「す、助っ人を……ま、待ってる……なら……む、無駄……だ、よ?……く、来る……と、途中……お、お前らの……な、仲間5人……げ、()退()……し、した……から」


「何だと!?」


 少ない人数を更に少なくされていたと知り、助っ人は絶望的だと分かりライトと佳代は絶望的な顔になる。


「さっすが棄世だ。さぁてそろそろ終わらせるか。って言いてえが、球を使い切っちまってまだ【蒼天の籠手】に球が補充されてねぇ。俺は余裕を持っておきてぇんだ。棄世」


「……わ、分かって……る、さ」


「!」


 ブルーハートのガントレットに着いてある硝子玉が全て白くなっており、ブルーハートの言葉から、今までの蒼い炎の球による攻撃はガントレットの硝子玉が青く光ってる時だけ放つ事が出来ると分かり、それには時間経過が必要だと考察出来た。


 RTが必要の無い強力な遠距離攻撃の球にはそういうカラクリがあったのか。そういえばギルド会議場で見た血死涼って呼ばれてたあの女性も似た様な攻撃でブラックギルド側の人間をPKしていたな。


 ライトはあの時の事を思い出す。


 ―――


『貴方々正規ギルドがブラックギルドへの対策を幾らしても幾度と無く失敗する理由がこれです。内通者がいたのですよ。我々はその異端分子を排除し、新たな提案を持ってここに来ました。しかしその提案にはブラックギルドのお仲間が邪魔なのです。血死涼』


『 了解だしー。『展開』』


 血死涼の背中にある片翼の装備から菱形のクリスタルが複数飛び出し【ハーベスト】と呼ばれるギルドの2人をクリスタルが囲む。


『 な、何だこ―――』


 次の瞬間、クリスタルから赤い閃光のレーザーが放たれ、2人の身体をを四方八方から貫くと2人はその場に倒れて動かなくなった。


 ―――


 あれは特殊装備による攻撃だった訳か。合点がいった。そういう攻撃が出来る装備シリーズがあるのか。まだまだこの世界(ゲーム)は分からない事だらけだな。と、集中しないと。今ならこの状況を打開出来るかもしれない。


 今はそんな事を気にしている場合じゃないとライトは思考を切替える。


 さっきまでとは違ってライトは落ち着いているように見えた。


 それもそうだろう。実は今この瞬間、いや、ブルーハートが攻撃への参加を止めた事により、活路が見い出せる可能性が出て来たからだ。


 敵は油断しており、ブルーハートだけでなく射場ザキもさっきの貫通攻撃スキルによるRTで動けないでいるのだ。


 4人中2人が攻撃に加わらない。その隙を狙うライト。


 今なら佳代ちゃんを担いで窓から飛び降りて逃げられる。普通3階から飛び降りたら無事じゃ済まないが、無敵状態の今なら逃げ切れる!


 ライトは直ぐ様行動に移す。


 それは本当に一瞬の出来事だった。


 ライトが逃げられた事が、ではない。


 ライトが佳代を担いで窓目掛けて走ったその先に、いつの間にか黒い人影がまるで窓から飛び出ようとするライトを止めるかの様に何人も立ち塞がっていたのだ。


「な!?何だコイツら!?いつの間に!?」


「……ふひ……わ、私の役職は……【ネクロマンサー】……そ、そして……特異スキル……2つ……持ちの……『英雄』……だ……ふ、ひひ……か、簡単に……に、逃げれる……と……お、思うな……『神人』……くひ……くひひひひひ!」


 不気味な笑い声は廊下中に響き渡り、ライトの顔には絶望の色が浮かぶのだった。

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