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その159 死のカウントダウン

 狙っていたと言わんばかりの笑を零しながらブルーハートは2人に新たな指示を出す。


「今だ射場ザキ!羽崎!コイツの剣に攻撃を当てろ!」


 射場ザキは直ぐ様矢の照準をライトの剣に変えて弓矢を放つ。羽崎も攻撃目標をライトの剣に変えて攻撃してくる。


「何!?」


 さっきまで身体を狙ってきていたのに急に剣に攻撃目標を変えられライトは焦りの表情を顕にする。


 何故無敵なのに焦る必要があるのか?


 ライトの【十三星斬】は攻撃を13回当てれば無敵状態が解除される。自分から攻撃を当てさえしなければ解除はされない。


 たが、ここに大きな落とし穴があった。


 攻撃をするしないに関わらず、剣には攻撃の判定が付いているのだ。所謂当たり判定というもの。


 それはライトの意思に関わらず剣に物が当たれば、その当たった物に対して強制的に攻撃したという判定が出るのだ。


 ならば、剣を使わず拳や蹴りならば無敵は解除されないのかと言われればそうじゃない。これはあくまで剣を振る攻撃スキル扱い、つまりこの攻撃スキルを使用中は剣を振る以外攻撃判定が出ずダメージが与えられないのだ。


 だからブルーハート達はライトの剣を攻撃し、強制的に当たり判定を与えて【十三星斬】の無敵状態を解除させようとしているのだ。


 剣を庇って自分の身体を盾にする異様な光景。普通なら自分の身体を守る為に剣を振るうのに、その真逆の事をしなければならない状況に何とも言えない気持ちになるライト。


 くそっ!最初からこれが狙いだったのか!


 あまりに突発的な敵の標的変更に反応し切れず、剣に攻撃を当てられてしまったライト。



 残り11連撃



 ゲージが溜まっていなかったので、SGで【十三星斬】を使えなかった。つまり【十三星斬】の60秒のRTを無視する事が出来ない。この状態で無敵状態を解除されたら60秒間のRTが諸に掛かり動けなくなる。そんな事になれば必ず殺られてしまう。


「くっ!?」


 止まない怒涛の攻撃の数々。


 しかし剣を守りながらなので、さっきのような不意打ちでも無い限り無敵状態は維持し続ける事は可能だった。


 だが


「お荷物がなけりゃ、お前も助かったろうにな。『展開』」


 ブルーハートはガントレットをライトの仲間の佳代と呼ばれる女の子に向ける。そして青い炎の球を二発放った。


 やっぱりそう来るか!


 ライトは素早く動いて佳代の肉の盾になろうとする。


「あめぇんだよ」


 しかし、その咄嗟の動きで剣への守りが薄まった瞬間を狙ったのか、ブルーハートが放った青い炎の球は壁を跳ね返り標的をライトの剣へと変更して飛んでいく。


「なっ!?」


 その不規則極まりない動きに反応出来ず、ライトは再び剣に攻撃を当てられてしまう。



 残り9連撃



 死のカウントダウンが始まる。


「せ、先ぱぁぃ……」


 佳代は情けない声を出してライトの心配をする。


「……」


 大丈夫。その一言も出ない程のピンチ。ライトは頭をフル回転させていた。


 全員の首を狙って外傷ダメージによる一撃死に賭けるか?いや、コイツらはそんな甘くない。恐らく無駄に攻撃を当てさせて【十三星斬】を終わらせにくる。せめて佳代ちゃんだけでも逃がしたいが、弱点をみすみす見逃す訳ないだろうから全力で防がれるな。だが、今の攻撃から察するに、奴等は佳代ちゃんを攻撃しはするが、殺しはしない生殺しで放置する気だ。俺を倒す為に。


 いつでも倒せる状態の佳代を放置している理由。ライトの隙を作る為だ。


 ブルーハートは狡猾にライトを追い詰めていた。


 ……


 前にはブルーハート。後ろには羽崎と射場ザキ。


 どちらも容易に突破は出来ない。


 ライトは覚悟を決める。


 どちらも容易に突破出来ないのならば、前にいる1人だけのブルーハートを倒して佳代を逃がす。そう考えていた。


 それはつまり


 無敵状態解除を覚悟して残り9連撃全てをブルーハートにぶつける事を意味していた。


 そんな事をすれば確実に射場ザキと羽崎に殺られる。最悪ブルーハートも倒せない可能性だってある。


 しかしもう後がない。このままではジリ貧な上に、いつ仲間が殺されてもおかしくない状況だ。


 決断は迫っていた。ライトは剣を持つ手に力を入れる。



 その時



 ライトの足元から黒い刃が飛び出してくる。


 シュッ!


「!?くっ!」ガキン!


 鈍く鳴り響く金属と金属がぶつかり合う音。ライトは咄嗟に剣で黒い刃を防いだのだ。


 思わず剣でガードしてしまった!くそ!


 しかし、黒い刃は足元だけでは無かった。


 天井、壁の両側面からも多数の黒い刃が2人目掛けて迫ってくる。


「っ!?くっ!」


 バッ!


「せ、先輩!?」


 ライトは咄嗟に佳代に抱き着き攻撃を防ぐ。佳代は何が起こっているのか分からない状態だったが攻撃された事を理解すると心配の声を上げる。


 どうにか今回は剣への攻撃と佳代ちゃんへの攻撃を防げたが、



 残り8連撃



 ブルーハートを倒す為の貴重な攻撃回数をまた減らされた。


 一体誰が今の攻撃をしたのか。ライトは佳代から離れて3人に目を配ると、ブルーハートの後ろから人影が現れた事に気が付く。



「ひ、ひひひ……わ、私の……ふ、不意打ち……を……ふ、防ぐ……なん……て……だ、大体……わ、分かった……よ?……う、噂……の……こ、攻撃……スキル……つ、使って……るん……だ……ふひ、ふひひひひひひひひ」


 不気味な笑い声を上げながらブルーハートの後ろから現れたのは黒い刃の攻撃を仕掛けた張本人。



 棄世だった。


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