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その144 許さぬのじゃああ!はくせえええ!

 ……痛いのじゃ……蹴りじゃな……蹴りなのじゃ……まぁた頭に蹴りを入れられて起こされたのじゃ。


 黒猫は不機嫌な顔になりながら頭の上に首を動かし、蹴ってきた奴の顔を確認する。


 はぁ……やっぱりコヤツか……ヤレヤレじゃ。


 射場ザキだ。


 しかし射場ザキは蹴りを入れて黒猫を起こした事を確認すると、後ろに立っていた人物に道を譲るように直ぐ様横に動く。


「……のじゃ?」


「チェ、元気にしてたかイレギュラー」


 現れたのはゲバラと柏瀬だった。


「お主は確か………誰じゃ。ん?その腰の髑髏は確か………………のじゃ!?あの時の【受外宝珠(じゅがいほうじゅ)】を身に付けとる阿呆!?つまりわたしゃの首を切った奴ではないか!何しに来たのじゃ!ぶち殺してやるのじゃ!」ガバッ!


 黒猫はゲバラを覚えてなかったが、首を切られた時ゲバラが腰に身に付けていた髑髏は覚えていたようで、首を切られ殺された怒りが再熱し直ぐ様立ち上がってゲバラに掴み掛ろうとする。


 しかし柏瀬が前に出てそれを阻止する。


「誰じゃお前は!退くのじゃ!邪魔なのじゃ!」


 誰も覚えていない黒猫。


「覚えられてないとは……6時間前にスパイがいる可能性の連絡時に会ったでしょうが」


「知らんのじゃ!退けターバン!」


 黒猫は柏瀬の特徴的な頭に巻いてるターバンをアダ名にして柏瀬に退くように強く言う。


「てめぇ!ゲバラさんと柏瀬さんになんて口聞いてんだ!失礼にも程があるぞ!」


 達観していた射場ザキは黒猫のあまりに失礼な態度に口を開く。


「どっちがゲバラでどっちが柏瀬じゃ!はくせええええ!許さぬのじゃあああ!」


 黒猫はゲバラの名前が柏瀬だと思い、ゲバラを睨みながら柏瀬の名前を呼ぶ。2分の1を外していくスタイル。


「そっちがゲバラさんだ究極バカ!失礼にも程がある上を超えてくんな!すいません!今すぐ黙らせます!」


 射場ザキは冷や汗をこれでもかと掻きながら黒猫に近付き拳を振り上げる。


「チェ、やめろやめろ。時間の無駄だ」


 ゲバラは射場ザキにそう言って引き止める。


「し、失礼しました!」


 射場ザキはゲバラの言葉を聞いた瞬間まるで兵隊の様に直ぐ返事をして下がる。


「チェ、おいイレギュラー。おめぇこれに身に覚えはねぇか?」


 ゲバラは黒猫に赤いクリスタルのアイテムを見せる。


「知らんわ!ぶち殺してやるのじゃあああ!」


 よく見ようともせず、黒猫はゲバラの質問を一蹴し、柏瀬の横をすり抜けゲバラに向かって拳を振り上げ殴り掛かる。


「よっと」


 そんな黒猫の足を、柏瀬が後ろから引っ掛けて転ばす。


「のじゃあ゛あ゛あ゛あ゛!?」ズサー!


 顔面から盛大に転ぶ黒猫。


「なんでactが持ってた【受外宝珠(じゅがいほうじゅ)】の事知ってて、これの事を知らねぇんだコイツは?逆だろうが。チェ、まぁいい、お前にコレをやる。使い方は誰かに聞きな」


 ゲバラは赤いクリスタルを倒れてる黒猫に投げ渡す。それが黒猫の頭に当たり、更に怒る黒猫。


「ぬじゃあああ!痛いのじゃああ!!」


「良かったな。行くぞ柏瀬」


「はい」


 怒る黒猫を無視してゲバラは踵を返して出入口に向かう。


「……」


 受外宝珠……受外宝珠ってなんだ?actさんの装備って事は分かるが、なんでゲバラさんが?それにゲバラさん自らアイテムを渡すなんて初めて見た。


 ゲバラの後ろを付いていく柏瀬は黒猫がゲバラから赤いクリスタルを投げ渡される場面に疑問を抱きつつ、同時に黒猫に奇異の目を向ける。


「何も良く無いのじゃ!こんなもんっ!いらんのじゃああああ!」


 黒猫はその赤いクリスタルをゲバラに向かって投げ返そうとする。


「何やってんだてめぇはっ!」ゲシ!


 それを射場ザキが黒猫を蹴り倒して阻止する。


「ぬじゃああ!?」


 舞う様に倒れる黒猫。


 そして直ぐ様顔を上げて黒猫は悔しさを噛み締めるかの様な顔でゲバラに向かって怒号を上げる。


「はくせええええええ!絶対許さぬのじゃああああ!」


「ゲバラさんだっつってんだろうがっ!」ゴッ!


「のじゃ!?」


 こんな迫真の場ですら忌むべき敵の名前を間違え続ける黒猫に対して射場ザキは、黒猫の頭を踏んずけて止めるのだった。

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