その136 メッセージを飛ばす
「……」
口を開けて唖然とする黒猫。
自分がやった事に驚愕しているが、黒猫はその事実を飲み込むと徐々にテンションを上げていく。
「のじゃ……のじゃ、のじゃ!のじゃあああ!やったのじゃ!やれば出来るではないかわたしゃは!」
コノルと久々に会話が出来る。それが嬉しくて心が踊る。
何の話をしよう?食べ物の話でもしようか?いつも通りの何気無い会話でもしようか?それともこれまでの苦労を話そうか?何を話すにしてもウキウキワクワクが止まらない黒猫。
弾む気持ちを抑えつつ黒猫はメッセージの内容を考える。
メッセージはそうじゃな……
黒猫は肉片を媒介にして出てきた自分のメニュー画面を操作してコノルにメッセージを飛ばす。
『久し振りコノルー!私は元気!ここは森!心配しないで!助けて!』
完璧なのじゃ。送信なのじゃ!
黒猫は取り敢えず頭に思い浮かぶ言葉を書いてコノルにメッセージを飛ばす。怪文書の完成だ。返事が気になる所である。
すると10秒もしない内にメッセージが返ってくる。
『意味わからんわ!それより面会謝絶の監獄にいるんじゃないの!?今何処にいるの猫さん!というかどうやってメニュー開いたの!』
コノルの焦りようが手に取るように分かる。
うむ。心配させてしまったのじゃ。もっと詳しく説明するかの。
『心配しないで!私は外!大丈夫だから!助けて!』
黒猫はまた中途半端な情報をコノルに向かって発信する。怪文書なお継続。
場所も教えてヘルプも出したのじゃ。これでコノルと会えるのじゃ。
しかし黒猫本人はこれで完璧だと思っている模様。
直ぐに返事が返ってくる。
『なんで外にいるのよ!?というか場所を言え!あと大丈夫なのか大丈夫じゃないのか分かんないから!』
コノルが黒猫のメッセージにキレている光景が目に浮かぶ。
これ以上はマズイのじゃ。仕方ないのじゃ。会って直ぐに怒られたくないからの。
『待ってます』
送信。ブチギレ確定。
またもや光の速度で返事が。
『話を聞け!待ってますじゃないのよ!何処にいて今何してんのよあんたは!』
うむ。
黒猫はそっとメニューを閉じた。