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その126 ライトはブラックギルド狩りを始める

 ライトは1人考え事をしながら歩いていた。


「……」


 天河さん……あんな奴等と一緒に……大丈夫だろうか?


 ライトはNN、血死涼、ライと邂逅した後、天河の命令で天河と離れて行動する事になった。


 明らかに1人にすべきでは無い。【希望の星】の頭脳で最後の砦でもある人物をぽっと出の、しかも実力が未知数な上に目的が不明確で得体の知れないギルドの連中と3対1で話し合うなど、どうかしている。


 しかしギルドマスターの強い願いからライトは離れざる得なかった。


 何を話しているんだろうか?もしもの時はどうするべきか?選択は誤りではなかったか?自分の力が通じる連中か?仲間は他にいないのか?本当にあれがコノルさん達のギルドメンバーなのか?天河さんは何故【KILLER】壊滅の一件を追っているのか?


 色々頭の中で思考する。


「はぁ……考えても仕方ない。今は任務に集中しよう」


 ライトは街中にあるなんて事ない建物の前に止まる。


 一見普通の建物だが、この建物はブラックギルドのギルドルームであった。木を隠すには森の中と言うように、こうした普通の場所にブラックギルドがあったりする。ライトはこのブラックギルドに用があった。


「ここか……」


 ライトはラフな格好から攻略時に着用する戦闘用の軽装鎧を装備すると、手に青いクリスタルを出現させて、そのアイテムを見詰める。


 あの時……


 ライトは青いクリスタルを見詰めながら【夢完進】がギルド会議に乱入してきた場面を思い出す。


 ――――


「ブラックギルドの掃除つっても、どうすんだ?ギルドルームに逃げ込まれたら対処のしようがないぞ?」


 ブラックギルドを処理する案をNNが提示して直ぐに、レウガルはブラックギルドの問題が対処出来なかった1番の理由を指摘する。


 フィールドや戦闘可能エリアならばPKは行える。更に名前が黒表示や赤表示になっているプレイヤーを普通のプレイヤーがPKしても赤や黒表示にはならない。


 だから積極的に犯罪を起こすプレイヤーは退治していく所なのだが、ギルドルームはそのギルドのメンバーか招待されたプレイヤーしか入れない為、そのルールの穴を利用して赤と黒表示のプレイヤーは他者からのPKを掻い潜っているのだ。


 その問題がある以上、ブラックギルドの問題解決は困難を極め、これまで放置するしかなかったのだ。


 ブラックギルドを狩る。口では簡単に言えるがその大きな問題を解決しない事にはブラックギルド狩りなど夢のまた夢。


 そんなレウガルの指摘に誰もが頷く。


 その問題提起に、園田が怠そうな顔をしながら答える。


「はぁ……あいつらは仕様外のシステムを使ってる。なら僕達も同じ事をすればいいだけだってば。分かる?」


「同じ事……だと?」


 言っている意味が分からない。ギルド会議にいる全員が園田の言っている事に首を傾げる。


 園田が言っているブラックギルドが使っているとされる仕様外のシステムとは、臓器のデータを個人の肉体へとインストールする事。これは拷問を効果的にするという目的でブラックギルドが行っている問題行為で、ギルド会議の議題にも上がった案件だ。その部分だけなら大半の者が理解しているが、やはり同じ事をするという部分だけは何を言っているのか分からず皆目検討がつかない様子だった。


「あー……めんどくさっ」ボソッ


 察しが悪いという意味合いを込めて、小声でボソッと呟く園田。その小声が聞こえた一部の人達は園田を睨む。


 その視線を特に気にする事なく園田はこれまた怠そうにしながらメニュー画面を開くと青いクリスタルを手に出現させて頭上に掲げ周りに見せ付ける。


「仕様外のアイテムさ。消耗品だし手間しか掛からないから流石に量産は出来ないけどね。馬鹿ね……もとい、うちのギルドメンバーの情報から偶然生まれた産物だけど、これさえあれば半径200m以内なら何処へでもワープ出来る」


「なるほど……そういう事か」


 illegalは園田の言いたい事を察して納得する。その他の者も少し後になって、ハッ!と気が付きその意味を理解する。


「そう。ギルドルーム内へのワープも例外じゃない」


 ――――


 奴等【夢完進】がギルド会議に突如現れたトリックの種。それがこの青いクリスタル。


 壊せば任意の方向へと瞬時に飛べる。難しい技術もなく行きたい方向を向くだけでいい。移動距離は固定で10メートル。上下方向は首を向けるだけ。上に行きたいなら上を向く。下に行きたいなら下を向く。移動先に障害物があれば移動出来ない。


 そんな説明で攻略組は青いクリスタルを必要数だけ渡されブラックギルド狩りに活用しているのだ。


 これがあればもうブラックギルドの連中に安置はない。好きな時にブラックギルドを摘発する事が可能だ。


 問題があるとすれば、青いクリスタルはそう多くなく、ブラックギルドの中に入る時少人数で入る事になる為、数で劣勢になる可能性があるという事。


 それを少しでも補う為に実力者のみブラックギルドに駆り出されているのだ。


 界ボス攻略の準備は出来てもボス討伐に乗りだせない理由はそこにあった。実力者が皆出払っているのだ。


 それは今のライトみたいに。


「さぁ……行くか」


 パリンッ!


 ライトは青いクリスタルを割り、アイテムを使うとブラックギルドのギルドルームへ入る事に成功する。


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