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その110 フゥの実力の一端

噛まずに読めたら貴方は有能なバファー


現れた2人の内の1人がフゥへとゆっくり近付く。そんな暗闇から現れた2人に黒猫は警戒し後退るがフゥは棒立ちのまま微動だにしない。


「副監、時間が押してます。早く退却しましょう」


そんなフゥの両脇に現れたフードで顔を隠している内1人がフゥに耳打ちしながらそう言うと、仲間のもう1人も頷き、フゥに撤退を催促し始める。


なんじゃ味方か。


それを聞いて黒猫は警戒を解く。


「厶!うるさいお!一々言わなくても分かってるお!お前らはソノダル(園田)の部下なんだお!私の癒し隊じゃないんだから指示するなお!黙って大人しく待ってるお!」


フゥはその言葉を聞くや否や、気分を害されたとばかりに怒った顔をしながら2人を叱責する。


「策士隊なのかの。何故癒し隊の部下を連れて来なかったのじゃ?」


策士隊。園田を筆頭とした計略部隊。


裏で暗躍するのに長けた部隊と言う事らしいが、指揮官がフゥという事に疑問を抱く黒猫。


普通なら癒し隊である自分の部下を連れて来るものだからだ。


「ノルコとネココはマスマスの指示で動かせないし、残ったあの子は隠密が、というより隠密出来るようなタイプじゃないんだおー。早い話人手が足りないんだお。必要無いって言ったんだけどソノダルが無理矢理付けたんだお。護衛だとか言って。まぁ護衛は建前でどうせネココの様子を確認するのが目的なんだお。そうだお?2人共」


「「……」」


黙り込む園田の部下2人。


「沈黙は認めてるって事だお。副監の私にくらい作戦を話せないのかお。プンプン!」


ジト目で黙る部下2人を睨むフゥ。


「じゃから2人に冷たい態度なのかの」


「そうだお!教えてくれないし反応冷たいし!策士隊はロボットみたいで私嫌いなんだお!ソノダルは別に嫌いじゃないけど、ソノダルの企みを腹んだ策士隊は苦手なんだお。この子達私と仲良くする気ないみたいだから」


「なるほどの。分かったのじゃ」


何が分かったのか謎であるが、フゥの嫌がり様から何かを察した黒猫は頷く。


「名残惜しいけど私はこれで撤退するお。ネココは引き続き頑張るんだお。バフいるかお?」


「この後戦闘じゃから掛けて欲しいのじゃ」


「分かったお!」


さっきまでとは打って変わった可愛らしい顔で親指を立てて了承するフゥ。


「副監、時間が押しています」


しかし部下2人に急かされ一気に不機嫌な顔になる。


「………だぁー……かぁー……らぁー……分かってるおっ!!何度も何度も同じ事言うなお!!お前らは本当にロボットなのかお?大人しくバフ掛けるのを黙って見ているお!!」


部下2人の催促に鋭い睨みを効かせながらフゥは変わった形をした杖を手に出現させてペン回しをする様にクルクル振り回しながら構える。


その杖は先に赤、青、緑、橙、桃、黄、白といった七色の球が串に刺す団子の様に積み重なっていた。


『【ワンドイズワンダーラ(★★★★★)ンド】杖  打、魔 攻撃力+1500 低ランク魔法を7つ収用し使用する事が出来る杖。収納した魔法は任意で発動可能。収納された魔法は効果内容がLv+1強化される』


攻撃力は低いが、補助効果が強力なフゥのメインウェポンである。


その武器を取り出すとフゥは超早口でバフ魔法の詠唱を始める。


「【ドレインアーマーバリアLv10】、【インフィニティスキルライズ】、【属性完全耐性Lv10】、【オールアビリティエンハンス】」


一旦魔法スキルをサブ役職に変更する事で一新して再び別のバフを黒猫に掛ける。


「【オールディスタンスレジスタンス】、【オートリアクションLv10】、【リキャストタイム減少(大)】、【強化の祝福】」


そして全ての魔法スキルによるバフを、詠唱とRT無しで掛け終えると、黒猫は色々な光に包まれる。しかし、バフを掛けたのが終わったのにフゥは再び同じ魔法のバフを唱える。


「【オールディスタンスレジスタンス】、【オートリアクションLv10】、【リキャストタイム減少(大)】、【強化の祝福】、【ドレインアーマーバリアLv10】、【インフィニティスキルライズ】、【属性完全耐性Lv10】、【オールアビリティエンハンス】」


真剣な表情で素早くサブ役職に切り替え合計8種類のバフを各々2回づつ詠唱し終えると、黒猫に同じバフが重ね掛けされる。


普通同じバフは効果時間が切れるまで重ね掛け出来ないはずなのだが、さも当たり前かの様に黒猫は同じバフの祝福を受けていた。


そしてそれに続いて、フゥは杖を掲げると杖の先に取り付けてある七つの球が順に光り出す。


「武器スキル発動。アイテム効果【アタックアップLv4】、【ガードアップLv4】、【マジックアップLv4】【アジリティアップLv4】、【ラックアップLv4】、【ヒットポイントアップLv4】、【消費スキルポイント減少(小)】特異スキル発動【天使と悪魔】」


そう唱えるとフゥの体が七色に光る。


黒猫の身体が光らない所を見るに自己強化バフのようだ。それを先程と同じ様に2回唱え終わると、フゥは片手で黒猫の身体に触れる。


「特異スキル【無音と有音】。有音発動。自身の祝福を他者へと模倣せよ」


すると黒猫の身体が、フゥと同じく七色に光る。


「ふぅ、一応終わりだお。他のアイテムによるバフはいるかお?」


「相変わらず凄い早口言葉なのじゃ。もう十分なのじゃ。ありがとうなのじゃ副監」


手をグーパーグーパーしながら、強化された事を強く実感しつつ黒猫は笑顔でお礼を言う。


「副監、そろそろ」


「だー!もう!分かってるおっ!じゃねネココ。後ろのロボット2体が煩いからそろそろいくお」


黒猫との会話に横槍を入れられキレれつつ、フゥは黒猫とのお別れを言う。


「気を付けてのー」


「はいだおー。【インビジブル】特異スキル発動【無音と有音】有音発動。自身の祝福を他者へと模倣せよ」


フゥは別の魔法スキルをセットして発動する。


そしてフゥの姿が消えると、少ししてフードを被った2人も姿が消える。


「あ、そうだお。私の特異スキルで普通のバフの効果時間は10分だけど、強力な特殊強化魔法は時間延長しても5分程度で効果が消えるから気を付けるんだおー!――――


何処からともなく聞こえてくるフゥの声は、徐々に徐々に遠くなっていき、最後には何も聞こえなくなった。

フゥは【特異スキル】のおかげで同じバフを2度まで重ねがけ出来て、バフの効果値を2倍にも出来るバランスブレイカー。詳しい内容は伏せますがコイツ1人いればバファーはいらないレベル。


つまり!バフを盛られた今の黒猫の戦闘力は!チワワと同等の強さです。

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