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第77話 吹雪の森

 そして次の日、私達は吹雪の森に行くために、街を出ていた。私は寒さ対策のために、ルージュちゃんのトレーダーショップで買ったクラシカルアウターというコートを身に付けていた。


 他の皆も防寒具を身に付けていた。寒さ対策はバッチリだ。


 朝の街は昨日と同じく、シーンとしていた。一昨日の騒ぎの影響はまだ残っているらしい。


 私達も街の空気に合わせて、声のトーンを落としていた。


「ユニークスキル、どんなのが手に入るかな?」


「爆弾系じゃない?」


 ルージュちゃんの問いに、私がそう答えると、ルージュちゃんは冗談っぽく笑いながら言う。


「もっと強そうなのがいい! 私の攻撃手段、ほとんど爆弾だし、違うのが欲しい」


「どんなのが欲しいんですか?」


 茶々さんの問いに、ルージュちゃんはうーんと首を傾げる。ルージュちゃんは考え始めてしまった。


「うーんとね、あ、私時間を操る能力とか重力を操る能力とか、チートなのが欲しい!」


「能力ものアニメで、強キャラが持ってる能力じゃん。しかもスキルじゃなくて、異能力になってるし」


「そういうアナちゃんは?」


「私? うーん、私は因果系を操る能力とか、相手の能力をコピーする能力とか」


 私達のやり取りに茶々さんは苦笑する。


「それってもはや、このゲームの話じゃなくなってますね……」


その後私達は、能力ものアニメの最強の能力は何かと いう論争で盛り上がった。やっぱりコピーじゃない? コピーは色んな最強の異能力をコピー出来るし。



 そんなくだらない話をしていた時だった、見知った集団を見かけた。あれは、フェリシモ王国の城で見た、正義の翼の人達だ。



 街の噴水の辺りで、何か話し合っている。こんなところで何してるんだろう。気にはなったけど、関わりたくないし、チラッと横目で見て、通り過ぎる。


 一瞬シロナさんがこっちを見た気がした。



 街の大通りを通り抜け、東門から吹雪の森へと向かう。門を出ると、雪景色の森が広がっていた。



 どこもかしこも白い。雪の色だ。雪が積もった落ち葉の上を歩くと、しゃりしゃりという音が鳴る。


「ここが吹雪の森か! すごい、全部雪だよ」


 ルージュちゃんはかなりはしゃいでいた。分かるよ。なんか雪見るとテンション上がるよね。街でも雪は見たけど、ここはもっとすごい。



「ね! そりすべりしたい」


 そりに乗って、雪を一気に駆け抜けたい。それをしようにも、そりはないし、そもそも平らだから無理だけど。



「迷いそうね。こんなに雪が広いと」


 マロンちゃんが気にしていたのは方向だった。


「まあ何とかなるでしょ。最悪私が木に登って、辺りを見渡せるし」


「それもそうね」


 私達がそんなやり取りをしながら歩いていると、さっそく魔物が現れた。熊みたいな見た目の魔物。さっそく鑑定を使う。


アイスベアーLv84

寒いところに生息する熊の魔物。

スキル 熊パンチ アイスブレイク 怪力 凍える吐息


「熊パンチとアイスブレイクを打ってくる。後、怪力を持ってるね。それから凍える吐息っていう氷の息を吹きかけるスキルを持ってるよ」


 いつも通り、私が鑑定して、皆に伝える。熊パンチってなんか可愛いなと思いながらも、それは心の中に留めてくる。



「【破滅の旋律】【呪い】」


 私は呪いスキルを重ねていく。いっけ、私の呪いスキル達。敵は呪い状態になった。



 敵は物理系の技しか使ってこない上、パワータイプで、素早さもないので、私達と相性がいい。


 私達よりレベル的には格上の相手だけれど、楽々勝てそうだ。



 茶々さんは、刀で斬りかかり、ルージュちゃんは爆弾、マロンちゃんは最近入手したライフルを乱射していた。華奢な体でライフルは重そうだけど、意外と持てるらしい。物理攻撃力が低い私は持てなかったけどね。


「【呪い】」


 私達の猛攻撃で、やがてアイスベアーのHPは0になった。アイスベアーを倒すと、レベルが1上がって、88になった。やったね。


 他のみんなは私よりレベルが低いので、一気に上がったと言っていた。


「やった! 私はレベル80になったよ」


「拙者もかなり上がりましたね、この調子でどんどん行きましょう」


 私達はレベルが上がったので、テンションが上がり始める。目に見えて成果が出ると、テンション上がるよね。


 私達がまた歩いていると、次に見つけたのはアイスベアーの群れ。4体のアイスベアーが群れになっていた。オスとメスと子供っぽいのが2人。家族かな?


「あれを飲みますか?」


「そうね」


 茶々さんが言うあれとは、経験値上がーるという名のドリンクのことである。これを飲むと、10時間経験値取得量が2倍になるのだ。これは城でかなりの数を盗んできたので、大量にある。これを使って、一気にレベルを上げる。


 私達は一気にドリンクを飲み干すと、敵に向かう。茶々さんとルージュちゃんが前衛をしてくれる。茶々さんは斬りかかり、ルージュちゃんは爆弾と爪を駆使して、私とマロンちゃんの所に敵が来ないようにしてくれている。


「【破滅の旋律】【呪い】」


 私は呪いスキルを発動する。ついでに精霊を召喚するスキルも。


「『闇精霊の導き』『闇精霊の導き』『闇精霊の導き』『呪い精霊召喚』」


 頑張って、私の可愛い精霊ちゃん達。闇精霊が3体と呪い精霊が1体。それぞれが攻撃を始めてくれる。精霊召喚の1番の強みは、人数によるアドバンテージを与えてくれることだと思う。



 やがて、私達4人のコンビネーションが炸裂し、敵のHPを削りきった。私以外の3人は、敵の魔物よりレベルが低いが、楽勝だった。


 怪力だけが取り柄の魔物と私達4人は相性がいいのが大きいだろう。3人はレベル的に格上相手を倒しているので、レベルの上がりが早い。


 私は前いった城で、けっこうレベルが上がったので、レベルの上がりが遅い。もう少しレベルの高い魔物のいるところに辿り着きたいところだ。


 私達はその後も、魔物の狩を続ける。ひたすらに出くわす魔物を狩っていくという作業ゲー。



「熊ばっかりだね」


 ルージュちゃんは器用に、爆弾を手で弄びながら言う。


 確かにバラエティが少ないよね。まあ同じ魔物の方が楽っちゃ楽なんだけど、単調作業なので、飽きてくる。


「ゲームの周回ってこんなもんだよ」


 どのゲームも周回は必須だ。特に周回ゲーなんて言われているゲームはもっと過酷な周回が待っているのだ。




「あのドリンクの効果、もう少しで切れるよね」


「そうですね。ドリンクが切れたら休憩にしましょうか。もう暗いですし」


 私達は一日中狩りを続け、気が付くと日は沈みかけていた。ここは雪山。完全に日が沈んだら、灯りがないので、迷ってしまう恐れもある。


「とりあえず、木に登って、寝るのに良さそうなとこないか、見てみるね」


「お願い、ルージュちゃん」


 ルージュちゃんは器用に、木に登っていく。あっという間にルージュちゃんの姿は見えなくなる。ちなみにこの森の木は登りやすい木らしい。私には登りやすいとか登りにくいとか言われてもよく分からないけど。


 しばらく待っていると、ルージュちゃんが降りてきた。


「寝るのに丁度良さそうな洞窟を見つけたよ。そこで今夜は1泊しよっか」


「おっけー」


 私達はルージュちゃんの案内に従って、洞窟へ向かう。洞窟は屋根もあるし、魔物から隠れられるので、いいお泊まりスポットなのだ。


 私達は洞窟へ向かっている途中で、何体か魔物を蹴散らした。そしで洞窟に丁度着く頃に、ドリンクの効果が消えた。


 今日でレベルが89になった。他の皆も全員75は超えた。吹雪の森と氷の大地で、全員レベルを100にしたいね。


 そんなことを考えながら、洞窟の中を進むと、紙みたいなものが目の前を舞った。気になった私は紙を拾い上げると、何かが書かれていた。



プレイヤーの皆様へ!

この洞窟のゴールに辿り着くと、素敵な報酬をゲット出来るよ!奮って参加してね!



 こう書かれていた。





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