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第75話 情報交換

 アイテム争奪戦を終えた私達は、今日の城やオークションでの出来事を話していた。


「怪盗のルパン16世と脱獄サラリーマンとかいう変わった人に出会ったんだよね」


「どこかで聞いたことがあるわ。というか名前からして変わってそうね」


 私の話に、マロンちゃんや茶々さんは飛びついた。2人とも興味があるみたいなので、詳しく話す。2人はふんふんと聞き入っていた。


「そう言えば、アナちゃんと私は正義の翼の女の人と会ったんだよね、なんか2回くらい話しかけられたね」


「そう言えば話したね、名前なんだっけ」


「思い出せない、てか名乗られたっけ?」


「鑑定で見た。あ、思い出したよ、シロナさんだ」


 名前を思い出して、私はすっきりした。忘れてたことを思い出すとなんかすっきりするよね。


 私が1人満足していると、ルージュちゃんが「ああ!」と思い出したように言う。


「そう言えば、アナちゃんが名前言ってたね」


「正義の翼の人はオークションでも見ましたよ」


 茶々さんが反応する。


「オークションで見たって? なんか騒ぎがあったんだよね」


 私の問いに茶々さんはさっきより丁寧に答えてくれた。


「えぇ、確か目玉商品が登場した時に、正義の翼と死神の使いによって競りが激しくなったんです。金額はあっという間にふくれ上がって。お金は死神の使いの方が持ってたみたいなので、正義の翼が競りに負けそうになったんですが……」



 茶々さんはそこまで話すと、一呼吸置いて、お茶を飲み、話を始める。ちなみに私達が今飲んでいるのはあわてんぼうの侍女に貰ったお茶である。すごい美味しい……。


「近くのプレイヤーが正義の翼に力をかそうとしたんです。PKにいい印象を持ってるプレイヤーは少ないですから、何人かのプレイヤーが正義の翼にお金を貸すと言い始めて。それで怒ったPKプレイヤー達が、正義の翼に味方した人達を殺し始めて、あの惨状ですね」


「なるほど。茶々さん達もそれで帰ってきたのね」


「ええ、拙者達は少し野次馬してから、帰りましたね」


「俺らの城で起こした騒ぎが可愛く思えるな」


「城のことはプレイヤーの間で話題にすらなってないんじゃない?」


 ルージュちゃんの言葉に、リンクスさんが反論する。


「そんなことはないと思うっすよ」


「え、もう話題になってるの?」


 私の反応に、リンクスさんは勿体付けたような笑みを浮かべる。


「友達から聞いたんすけど、かなり話題になってるっすよ、城が崩壊したのと財宝が全部消えたって」


 城の崩壊は私達のせいじゃないが、財宝は私達が原因だね。もう広まってるんだ。情報の早さにびっくりだ。


「あれだけ騒ぎを起こしたら話題になるのは早いぜ。今回はPKプレイヤーの騒動に掻き消されつつあるが……」


「掻き消されてはないっすよ。むしろPK騒動が落ち着いたと思ったら、今度は城での騒ぎが話題になってる感じらしいっすから」


 そんな話をしていると、ノックの音が聞こえた。このノックの音は桜子ちゃんかな、勘だけど。


 何故わかったかって? ここに来そうな知り合いは桜子ちゃんくらいしかいないからだよ。


 そう思っていたら、入ってきたのはお兄さんの晴人さんの方だった。あ、そっちか。後から桜子ちゃんも入ってきた。


「聞いたよ、お城でのこと。僕達にも詳しい話を聞かせてくれないかい?」


 情報屋の2人はさっそく情報を仕入れに来たらしい。2人がアラトの目の前に立つと、どこか張り詰めた空気が流れる。なんか居心地悪いんですけど。


「いいぜ、それと引き替えっちゃあれだが、この辺りのレベリング場所を教えてくれよ」


 アラトは肩を竦めてそう言った。


「いいだろう、取引成立だ」


 アラトと晴人さんはにっと笑って、握手する。それによって場の空気は弛緩した。一体あのピリッとした感じはなんだったのか。


 さっそく私達は情報交換を始めた。晴人さんは城のことがどんな風に広まってるかも教えてくれた。城のことはかなり騒ぎになっているらしい。まあ、またあの悪魔アラトがやらかした、って感じらしいが……。


「アナさんのことも話題になっていましたよ、アナさんというか、謎のフードの女ってなってますけどね! アラトさんと一緒にいる呪いの魔女って言われてましたよ」


 桜子さんに詳しく話を聞くと、アラトとリンクスさんと謎のフードの女こと私、呪いの魔女の3人が盗みを働き、城のお宝を守る番人を倒したという話になっているそうだ。城も私達が壊したことになっているらしい。怪盗達やゼノンさんは話題になってすらいなかった。


 その後、アラト達は騎士達を倒しまくったみたいだから、それも話題になっている。


  NPC達にとって、今回の事件はとても大きな事件に違いない。プレイヤー達にとっては、PKプレイヤーの事件の方が大きな事件かもしれないが。



「そっちの話はよく分かったよ」


 晴人さんは目当ての情報が得られたのか、満足気である。そして、この辺りのレベリング場所についても教えてくれた。


「レベリングなら、この辺りでオススメの場所をいくつか知ってるよ」


「本当か?」


 アラトは食い気味に言う。


「ああ。オススメなのはアナトリアの湖だ。ここはレベルが120~150前後の魔物がいる。めんどくさい魔法を使う敵は多いが、経験値は多い。もう1つは氷の大地だな、ここは魔物のレベルは100~120くらいだ。ここは敵の力は強いが、魔法はあんま打ってこないから楽だと思うぞ」



 うーん、アナトリアの湖はなしかなあ。レベル120~150は高すぎるし、私達のレベルじゃきつそう。氷の大地は微妙なところだなあ。氷の大地は、アラト達が一緒ならなんとかなりそうだけど、私達4人じゃ厳しそうな気はする。



「アナトリアの湖だな、さっそく行くわ。アナちゃん達も一緒にいくか?」


「うーん、私達のレベルじゃきつそうかなあ」


「そうか? なら、レベルが上がったらまた行こうぜ」


「うん」


「もう少しレベルの低いレベリング場所はないかしら?」


 黙って聞いていたルージュちゃんが口を挟む。私も気になっていたことをよく聞いてくれました。


「あ、それならいい場所があるよ。吹雪の森。敵のレベルは80~100くらい。ちなみにだけど、吹雪の森を通って氷の大地にいけるルートがあるから、吹雪の森から氷の大地へ向かうルートでのレベリングはオススメだよ」


 晴人さんは丁寧に教えてくれた。吹雪の森からの氷の大地か。それはありかも。吹雪の森で、レベルをある程度上げてから、氷の大地って感じか。


「それいいんじゃない?」


 ルージュちゃんが呟く。私も大賛成である。私達4人は満場一致で、吹雪の森と氷の大地に行くことになった。


 ただかなり冷えるらしいので、多少は暖かくしていかなければならない。このゲームの世界では、暑さや寒さは向こうの世界より感じにくくなっているが、極寒の地に行けば、寒さは多少感じる。


 他にも吹雪の森のエリアボスのこととか、魔物のこととか色々教えてもらう。


「あ、それから装飾の職人を教えて貰いたいんだけど。魔法石で、装飾品を作って欲しくって」


 高価な魔法石だし、信頼出来る職人さんにお願いしたい。晴人さんなら知っていそうだ。私の言葉に、晴人さんは少し考え込むような仕草をした後、答えてくれた。


「あー、それなら、丁度いい職人さんがいるよ、その人はプレイヤーなんだけど、オークション目当てでこの街にも来ていたはずだ」


「その人はなんていうの?」


「彼の名前はスレイ。装飾職人だ、それもかなりの腕前のね」


「この街のどこにいるかは分かる?」


「うーん、それは調べてみないと分からないな、君が城で手に入れた魔法石1個で、場所を教えるし、紹介もしてあげるけど、どう?」


「その話のった!」


 魔法石はたんまり貰ったから、1つや2つあげるよ。それで紹介までしてくれるなら文句はない。


 私は晴人さんの希望にそった雷の魔法が込められた魔法石を渡した。晴人さんは満足そうにしていた。


「少し時間がかかる。明日の朝までには、なんとか連絡を取るよ」


「お願い!」



 こうして、私は晴人さんの連絡を待つことになった。職人さんと会ったら、すぐに吹雪の森へ行きたいところである。


ちょっと忙しくなってきたので、更新ペース2日に1話投稿にします。更新ペース下がって申し訳ないですが、読んでいただけると嬉しいです。

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