第一幕 【私】
「……ハァッ、ハァッ、ハァ……‼︎…何なんだあの女は‼︎…化け物かよ‼︎‼︎」
「……………………逃がしません。」
銃を構え、男の眉間に銃口を向ける。
「私にそのブツを渡して下さい。」
「…ヒィッ‼︎いつの間にぃ‼︎」
「渡して下さい。」
「こっ、断るっ‼︎コレは命に代えても守らなきゃいけない物だッ‼︎アンタみたいな小娘如きに渡す訳にはっ………‼︎」
「…そうですか。嫌ですか。分かりました。」
男の眉間に向けていた銃を下ろし、澄んだ瞳で見つめる。
それはまるでーーーーーー。
未来を見据えているかの様な眼だ。
「…貴方には家族は居ますか?」
唐突に聞かれて驚く男。彼女は男の眼を見たままゆっくり口を開ける。
「家族は素晴らしいです。他人には無い『絆』があります。然し、その絆は時に狂気となります。」
「な、何なんだッ‼︎何を言って…‼︎」
「私には母と父はもう居ません。居るのは可愛い弟と妹だけ。」
男の思考は停止した。
「……。」
何と言葉を返して良いのか分からなくなったのだ。
「同情は結構です。然し、私も仕事人です。そのブツをボスに渡さなければ重い罰を受けてしまいます。」
少女は金髪の髪をかきあげて、耳にかける。
「コレは最期の問いです。あなたの持っているそのブツを渡して下さい。」
先程よりも強い殺気を醸し出している。男は思った。
ーーーーーーーーーー殺される。
………如何すれば良いのか。
Yesと答えた後、一度助かっても、ボスに殺される。
Noと答えた後は、すぐ目の前の少女に殺される。
……如何すればいい、如何すればいいんだ……‼︎
男は覚悟した。
「ハハ……。一度は自分に…背いてみようか………。」
男は引き金を引いた。




