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追放された魔法使いの巻き込まれ旅  作者: ゆ。
1章 商業都市フレンティア

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失踪 (ルークside)

2026.10.18 改訂

「………じゃあ、今日は俺たちここで待機か」

「歩かなくていいなんて……幸せです」

「そんなに巡回嫌なのかよ……」


翌朝。

俺たちは報告会のあとの事情聴取を終えて、今日の動きを伝えられた。

今日はメイウェル伯爵に令状を出して家の捜索、そしてアメニア伯爵令嬢の事情聴取を行う。

突撃するのはヒルゼ様の隊、特別部隊だ。

油断につけ込みたいから、と夜に決行することを伝え聞いた。


それ以外の部隊は昨日と時間と場所を変えて巡回をしている。

俺たちは今日はフレンティア警備舎で待機だ。


昨日今日で目立った動きはしないと思っているが、油断は禁物。

気を引き締めよう。



──────



結局、朝から真昼まで報告もなければ人も来なかった。

やっぱり、今日は何もないかな。


あぁー………テッドが逃げてなけりゃあ、今日はリリーの初めての外出に付き合ったのになぁ………。

夜中に孤児院に行ったときは起きててびっくりしたけど、あれは楽しみで起きちゃったんだろうな。

クレアのことも聞いてきたし……リリーはいい子だなぁ。


俺が夜中の出来事に思いを馳せていると、突然、警備舎の扉が開いた。



「───誰かっ!!子どもを知りませんか!?

7歳の女の子でリリーというんですっ!」

「…………シスター?何があった?」


入ってきたのはシスターだった。

後ろに子どもを連れている。

かごが空だから、帰りだろう。


俺が出てくると、シスターは涙を流しながら俺に縋りついた。


「ルーク……!リリーが、リリーがいないのよ!!」

「………は?」


その言葉は俺の頭を強く殴りつけてきた。


シスターの話によると、中央地区の孤児院の庭で遊んでいるときに、リリーがどこかへ行ってしまったという。

捜しても呼んでも出てこず、慌ててここまで来たらしい。


まだ泣いているシスターの背中をさする。もう80が近いのに、ここまで走ったせいで、体も限界が来ていたようだ。

子供たちを中央地区の孤児院に預けて、シスターを休ませることにした。


リリー……一体どこに行ったんだ?


俺はゼルナに頼んで、リリーの情報を共有して捜索を並行してもらうことにした。



────────



気づいたら、夕方になっていた。

あれから何の報告もなかった。


「くそ……どこなんだ………!」


俺は待機班のせいでここから動けない。

何か、手がかりがないのか……?


俺が憔悴しきった顔をしているところを、ハースが背中を叩いて元気を出そうとしてくれる。

ゼルナも探知魔法(半径4メートル)で、ちまちま捜してくれている。


俺だけ何もできない。

いつも迷惑ばっかかけている。


俺が2人に謝ろうとしたとき、ゼルナがビクッと体を震わせた。

耳を押さえてうずくまっているのを見る感じ、誰かが魔導具で連絡を送ったのかもしれない。俺はゼルナが連絡を終えるのを待つ。

ゼルナは連絡を終えて、俺たちの方を向いて口を開いた。


「メイウェル伯爵とアメニア伯爵令嬢が、行方不明だそうです」

「「!?」」


リリーの誘拐に気を取られていた。

メイウェル伯爵たちが行方不明……逃げたということだろうか。

罪悪感?もうこちらの動きに勘付かれた?


いっぱいいっぱいだ。


セイエ様からの連絡を伝えられたゼルナは、また情報を共有していく。

みんなが動いていく中で、俺だけ時が止まったみたいに何もできない。

俺にできることは……ないのだろうか。

俺が頭をリセットしようと外に出ると、俺の目の前を黒い蝶が飛んできた。


夕焼けに黒い蝶が映えて、とても美しい。

俺も空を飛んで、リリーも、メイウェル伯爵も、テッドも見つけられたら……。


俺がぼーっと蝶を見ていると、蝶は俺の目の前で急に光って、一枚の手紙に姿を変えた。

俺が宙に浮いた手紙を手にすると、浮遊感が消えて手に収まる。不思議な手紙だ。俺は不思議に思って手紙の封を切る。

手紙に同封されていた写真が落ちて、俺は拾おうとしゃがんで手が止まった。


リリーの写真だ。


俺は急いで手紙を開いて読む。


『こんにちは。いや、ごきげんよう。

あなたの大切な子どもは私の隣で眠っている。しかし、これからこの子がどうなるかは保証できない。


返してほしかったら、明日の夕方、北の森へ孤児院で匿っている銀髪の少女を連れてくること』



明らかな脅迫だった。

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