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追放された魔法使いの巻き込まれ旅  作者: ゆ。
1章 商業都市フレンティア

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魔法を見せて (ルークside)

2026.10.18 改訂

「それで、私が『杖なし』か確かめに?」

「あぁ、証明書とかがあればもっといいんだが」


俺はテッドが逃げたことと、『杖なし』の場合、狙われている可能性があることをクレアに伝えた。

証明書、というのは魔法使いが所属している団体から実力を認められることで発行されるものだ。

すんなり杖なしで魔法を使うところでも見せてくれる方思ったが、クレアは渋った顔をした。


「魔法は、杖がなくても使えます。ただ証明書はなくて……」

「構わない。今から警備舎に行こう」

「え、あの、ちょっと……!?」


どうやら、証明書はないようだ。所属団体に届出していないのか、年齢的に認められていないのか。

それでも杖なしで魔法が使えるならば、皆の前で見せれば解決だろう。


テッドのことで頭がいっぱいだった。

申し訳なさそうな顔をするクレアの手を握って、シスターに孤児院を任せて後にする。


クレアは足を何度かもたつかせながら、手を引く俺の速さについてくる。


「あのっ、魔法を、見せ…、るのは全然、いいんですけど……わっ!?と、止まってください!!」

「すまない、急いでいるんだ」


話を聞く気がないほど急いでいる俺の様子に、クレアは「せめてスピードを落としてください!!!」と懇願してきたのだった。



──────



フレンティア警備舎に着くと、すでに何人かの部隊長がクレアのことを待っていた。

俺が戻ってきたのを見て、皆が後ろにいるクレアに視線を注いだ。

息が切れて膝に手をついているクレアは視線に気づかずにいる。


「ルーク、その子が例の『杖なし』か?」

「はい。証明書がないそうなので、魔法だけでも見てもらおうと連れてきました」


商業区域特別部隊の部隊長であり、警備隊の中でも地位が高いヒルゼ様の問いかけに俺が答えた。クレアよりもはるかに大きい巨体。

ヒルゼ様はクレアと目線を合わせるために膝を曲げた。

それでもまだ大きく、立っているクレアとの視線はクレアの頭ひとつ分ほど離れていて、結局見上げる形になる。


目の前に急に現れた大男にクレアは驚きつつもすぐにお辞儀をした。


「クレア=モルダナティスです。事情はルークさんから聞いています。私が『杖なし』か確かめたい、と」


物怖じしないクレアの態度に幾分か驚かされていたようだ。

十五歳はまだまだ子供だ。一番繊細な時期でもあるし、もっと礼に欠けた態度で接してくると思ったのだろう。


昨日一緒に回ったときにも思ったが、クレアは他の十五歳の子供より大人びている。

俺が十五のときは荒れに荒れていたから、もっと年相応の態度を見せてくれたっていいのに、と密かに思っていた。


ヒルゼ様は首を傾かせてクレアに視線を合わせる。

大人には頼もしい、子供には鬼だと恐れられているヒルゼ様の顔が近づいても、クレアは震えもしなかった。

ヒルゼ様はふっと笑みをこぼした。


「もっとはっちゃけてもいいと思うんだがなぁ……。協力してくれそうだし、こっちとしては嬉しいが、お前さん──クレアはいいのか?」

「こういうのは慣れているので大丈夫です」


気にしないでほしいといった顔でクレアが言うので、俺は余計に申し訳なくなった。



────



早速杖なしで魔法を使うところを見せるというので、俺たちは警備舎の奥にある訓練場まで移動した。

ヒルゼ様から「魔力がなく、魔法についてもあまり知らないからどんな魔法でもいい」と言われて、クレアは「簡単な魔法にしますね」と答えた。


訓練場の真ん中にクレアが立ち、少し離れたところで俺たちは動向を見守る。

同期のハースは、自分の隊の筆頭魔法使いまで連れてきていた。

……疑いすぎだろ。

とはいえ俺も遠目に見ていたから、こうしてクレアが魔法を発動するところを見るのは初めてで気になっていた。


クレアが「はじめます」と合図をすると、皆がクレアに集中する。


クレアは地面に向かって手をかざした。

射抜くように真剣な表情で地面を見つめると、クレアは『集まれ』と言い放った。


次の瞬間、クレアの足元にひとつの魔法陣が出現した。幾何学模様が何個も調和してできた複雑な魔法陣だ。

周りの気温が下がり始め、空気中の水分が視認できる程度になると、その水分がクレアのかざしている手に集まって行くのが見えた。

周辺の水分を集め切ったクレアは、指を鳴らした。

強い風が起こり、目を瞑ってしまう。

風が止んで目を開けると、そこには氷でできた騎士が立っていた。



一瞬のできごとに何度も瞬きしている俺たちに反して、ハースが連れてきた筆頭魔法使い、ゼルナは感動した顔で高速拍手をクレアに送っていた。


「………すっっっっごいです!!!

複数属性なのが驚きなのに、それを杖なし、ほぼ無詠唱で!こんなことあっていいんですか!?

しかもこの氷の騎士!空気中の水分を固めてできた氷を、さっきの風で削って表面を滑らかに研磨までしていますね!?氷の剣なんて全然刃こぼれしなさそうな硬さでできてます!氷でこんなにできるなんて素晴らしいです!!

極めつけに魔法陣です!!!あんなに緻密かつ繊細な魔法陣を見たことがありません!相当な場数を踏んでいないと作れません。本当に十五歳ですか?????


僕にも教えてください!!!!!」



ゼルナの高速語りはもはや詠唱のようで、聞いているこっちも圧倒される。クレアもここまで反応されるとは思っていなかったようでゼルナの反応に引いていた。

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